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お見合い3回断ったらテロ撲滅隊へ!?そんな法律あり!?

『結婚相手は抽選で』垣谷美雨

中村彩音さん(神奈川・鎌倉女学院高校2年)

『結婚相手は抽選で』(双葉社)
『結婚相手は抽選で』(双葉社)

少子化が急速に進む日本で、とうとう「抽選見合い結婚法」という法律ができます。対象は25歳から35歳までの独身の男女で、離婚歴がなく子どもがいない人。本人の年齢プラスマイナス5歳の範囲内で、抽選によって相手が選ばれますが、気に入らなければ3人までは断ることができます。けれども、どうしても気に入らずに3人断った場合は、テロ対策活動後方支援隊(通称テロ撲滅隊=自衛隊のようなもの)に2年間従事しなければなりません。

この本はそんな法律が施行されたあとの、様々な人の様子を描いたものです。特定の主人公はいませんが、何人か紹介します。

まずは、過食症の肥満の女の人。彼女は痩せるためにこの抽選見合いを3回とも断って、テロ撲滅隊に入り、実際にスリムになります。2人目はセレブで美人の女の人。この人はあと1回断ったらテロ撲滅隊行きですが、それだけは絶対に嫌だというところまで追い詰められました。そこで、3回目のお見合いで男性に嫌がらせをして、わざと相手から断ってもらうように仕向けます。そんな人間の意地汚い様も描かれています。もてないアキバ系の男の人も登場します。この人は10回以上断られ、精神的に病んでいきます。そこで、同じ立場のアキバ系の男の人たちと結託して、こんな抽選見合いなんておかしいという抗議行動を起こします。

しかし、ついに断られる側にも制限ができます。3回以上断られたら、その人もテロ撲滅隊行きというルールができるのです。そして、「もてない人間に無駄な税金を使えない」という少子化対策担当大臣の発言が問題になったり、「東北童貞同盟」とか「もてへん女でわるうおましたな連盟」などの連盟ができて、毎日のようにデモ抗議が起きたり…。このように抽選見合いによって国民が翻弄されていく様子が面白おかしく描かれています。

登場人物は10人以上いて性別も年齢も様々。もちろん、ちゃんとカップルになる人もいます。それぞれの視点で描かれているので感情移入したり、自分だったらどう行動するか想像したりしながら読むと面白いと思います。私は、友人がこれを読んで「私だったら3回とも見合いなんて断って、さっさと撲滅隊に入るわ」と言ったので、けっこう衝撃を受けました。人によって価値観が全然違うということが身をもって感じられる本だと思います。

 

中村彩音さん
中村彩音さん

ところで、作者の垣谷美雨さんは、発想が斬新過ぎて万人には受け入れられにくいのかもしれませんが、この本は少子化や憲法改正、人権問題などの社会的要素を織り込みつつ、彼女独特のユーモアあふれる文体で読みやすい内容となっています。国語が苦手な私でも2、3時間で読み終えることができました。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル関東甲信越大会予選の発表より>

さ・ら・に・中村彩音さん おススメの3冊

『利休にたずねよ』
山本兼一(PHP文芸文庫)
学校で茶道をやっているのでとても興味深い内容でした。日本人の見意識があらためて特殊なものだと気づきました。

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『昨日のカレー、明日のパン』
木皿泉(河出書房新社)
特別な出来事を描いているわけではないのに、とてもあたたかい内容で、一気に読めないほどジーンとくるものがありました。良い意味で人生を達観できるようになる本。

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『百年法』
山田宗樹(角川書店)
命とは何かを考えさせらます。人間は極限状態に陥ったとき、どういう行動をとるのかということが私にとってはとても面白かった。

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中村彩音さんmini interview

好きなジャンル

推理小説、物語系なら基本好きです。最近になって理系的な本も読むようになりました。


小学生のとき

東野圭吾を、ドラマや映画の影響で読みあさっていました。


2014、印象に残った本

『ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験』

大鐘良一、小原健右(光文社新書)
先生のイチオシで読んでみて、社会で必要な人間力とは何か、考えさせられました。試験の具体的な内容が興味深かった。

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これから

ニーチェといった倫理哲学的な本を読んでいきたい。