高校時代にしておきたいこと、読んでおきたい本
~大学生が大学の授業と本を紹介
吉田奏海さん(早稲田大学法学部1年) ※学部・学年は2016年3月現在

吉田さんが薦める「進路を決めたら、高校時代に読んでおきたい本」
『銃・病原菌・鉄』ジャレド・ダイアモンド(草思社文庫)
この本は、これまでの世界で起こった様々なことに対して「なぜ」を突きつけ、筆者が考える答えを見出だしていくものです。例えば、「世界の富や権力は、なぜ現在ある形で分配されてしまったのか?」、「なぜ新大陸の病原菌は、ヨーロッパ人の侵略者を滅ぼせなかったのか?」といった問いが投げ掛けられています。この問いに対する筆者の考えをここで示すような野暮なことはしませんが、これらの些細な、しかし、答えに窮してしまうような、疑問が人類史を大きく動かしてきたのです。学校で歴史を学ぶ際に、「なぜ」を追求していくためにも、一度この本を手に取って欲しいと思います。大学で学ぶことには、必ずしも絶対的な答えが存在するわけではありません。自分自身で調べ、考え抜く力を高校生の時期からつけていくことをお薦めします。
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大学の授業を紹介! 面白いと思った授業はこれだ
<早稲田大学法学部編>
◇導入演習 [1年後期]
法律の難しさに戸惑っている1年生という時期に、一つの専門領域に関して詳しく丁寧に学ぶことができます。私がとっている導入演習では、TPPやFTAといった日本が対峙している経済政策に対して、10人という少人数で資料探しから自分たちで行い、日本が今後どのような行動を取ればいいのかを考えています。これらの演習には、3年次に始まるゼミ授業へスムーズに参加できるようになる、という狙いもあります。
何よりも、1年の時期に志を同じくした同級生と一つのことに対して共に学ぶことができるということは、とても面白いです。この授業においては、法律の知識を習得できるのにとどまらず、議論を進めていく方法などといった、大学生活に限らず社会に出ても必要になる実用的技能を伸ばすことができます。
◇リーダーシップの軌跡 [1年前期]
早稲田大学を卒業した著名人が、リーダーシップとは何たるかを教えてくれる講義です。今年は、森元総理をはじめとして、味の素の代表取締役など様々な方が招かれました。
これは早稲田大学だからこそできる講義だと思いますが、地方出身の自分にとっては、有識者の講演は非常に貴重な機会であり、大学1年生のうちに、社会で活躍している卒業生の話を聞けるということはすごいことです。
大学生になって

私は、学生団体GEILという、政策立案コンテストの実施運営を行う、学外の団体に所属しています。全国から集まった参加者とともに、日本の未来を考えた政策を立案します。今年は、現場へのフィールドワークや有識者のコンサルティング、そして財務省や厚生労働省への官庁訪問を通して、より実現可能性の高い政策の立案を目指しました。「未来のための政策提言フォーラム2015」も実施し、河野太郎氏、石井啓一氏、細野豪志氏、柿沢未途氏といった政治家を招き、決勝に勝ち抜いた政策案を発表しました。また、後日財務省や厚生労働省に政策提言を行いました。このGEILの活動が評価され、今年度の第10回マニフェスト大賞にて優秀マニフェスト賞を受賞しました。
進路について話そう
■進路に影響を与えた本

私は、ずっと経済学部、商学部、法学部のどこに行くかで迷っていました。しかし、高校で日本史を学び、そこで日本や世界を率いてきたのはいつでも法律であることを思い知りました。だから、進路志望を決めることになるほどの影響を与えてくれた本というのは、山川出版社の日本史の教科書ということになります。
■進路を決めるにあたって、とった行動
オープンキャンパスへの参加、先輩や志望大学のOBであった先生への質問、ネット上での評価の調査、実際の授業への参加などです。
■高校時代にやっておくとよいと思うこと
高校時代に受験勉強しかやっていない、ということは非常にもったいないです。今のうちから様々なことに興味を持っていろいろな本を読んでください。また、余裕があるなら、資格をできるだけ取っておくとよいでしょう。これは、英検や漢検といったものではなく、日商簿記や秘書検定など、より実務的なものが望ましいです。高校時代にそういう類のものをある程度知ることができていれば、大学進学後にいろいろなことに挑戦しやすくなると思います。
■進路を決めたら、高校時代に読んでおくとよい本
