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応用昆虫学

アトピーの原因となるダニはじゅうたんで大量繁殖


日本の衛生環境は良くなっているが、今なお病気の原因に関わる昆虫は非常に多い。今最大の難敵は、日本だけでも約2000種いるダニだ。ダニは昆虫ではないが、昆虫に非常に近い生態を持つため、この分野で研究されてきた。

 

特に、畳やじゅうたんに棲み、アレルギーの原因となるヒョウヒダニ類をいかに駆除するかは大きな問題だ。コナヒョウヒダニは体長約0.5mm、人間の皮膚からはがれ落ちたフケやアカ、カビなどをエサに、気温が20~30℃、湿度60~80%という条件で大量に繁殖する。畳の上に座ることはダニの上に座るようなものともいわれるほどだ。そのダニのフンや抜け殻、あるいは卵がどうやらアトピー性皮膚炎や喘息(ぜんそく)などアレルギーの原因らしいといわれている。

 

さらに、最近では家庭内で放置されたお好み焼き粉やたこ焼き粉がこれらのダニの発生源になり、ダニの混入を知らずに調理し食べたところ、ぜんそく発作が起こった症例が報告されている。

 

古くは、新潟県阿賀野川流域で頻発した、かまれた部分が壊死(えし)し時には死に至るツツガムシ病など、ダニが媒介する病気は多い。野原にいるマダニ(体長約2mm)は体に食いつき皮膚に約1cmのコブを作る。痛くもかゆくもないのだが、どうも風土病を媒介しているらしい。

 

近年北海道で発生したライム病、四国で起きた紅斑熱はともにマダニが原因で、細菌とウイルスの中間的存在であるリケッチアを運んでいることがわかってきた。また最近中国で報告されたマダニ類が病原体ウイルスを媒介して発症する「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)が日本でも症例があることが明らかになり、致死率が高いことから、マダニに刺されないように注意が必要である。

 

応用昆虫学

応用昆虫学ってどんな学問?

 

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◆トピックス1
  アトピーの原因となるダニはじゅうたんで大量繁殖

◆トピックス2
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◆学問ことば解説
  昆虫分類学/昆虫生態学/昆虫生理学、生化学、遺伝子工学

 

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