犯罪社会学

18歳成人問題として「『少年法』適用の低年齢化」について考えてみた ~高い貧困率なのになぜ?

『若者の気分~少年犯罪の〈減少〉のパラドクス』を読んで見えたことを踏まえ、犯罪社会学者・土井隆義先生と開成中学・高校生が語り合う

土井隆義先生

筑波大学 社会・国際学群 社会学類/人文社会科学研究科 国際公共政策専攻

 

[討論前編] 少年法の対象年齢〜18歳未満の改正派が優勢

土井先生:選挙権年齢の引き下げ実施に続き、少年犯罪の年齢引き下げを伴う少年法改正が、今ホットな議論になっています。毎日新聞によると、少年法の適用年齢を「18歳未満にする」という意見に8割の国民が賛成しています。

 

皆さんは、少年法改正に反対、賛成、どっちですか。

 

Aくん(賛成派):僕は18・19歳に選挙権ができたのだから、一人前の大人、罪も大人同様背負うべきだと思います。

 

Hくん(反対派):僕は反対意見です。理由は、犯罪が公になると、仲間はずれやレッテル貼りが進むと思うからです。

 

Iくん(賛成派):僕は少年法の年齢引き下げで、少年犯罪をさらに減らせると思うので、年齢引き下げに賛成です。前科者というレッテル貼りが問題になるのなら、刑務所を出た人に対し、更生の支援を考えたほうが良いと思います。

 

Aくん(賛成派):僕もそう思う。レッテル貼り、犯罪者を先入観で見るのは間違いであって、レッテル貼りをしない高校教育をすべきと思います。

 

Fくん(反対派):でも18歳に下げると、それでレッテルを貼られた二十歳前の少年の採用を企業がしなくなるから良くないと思います。

 

Iくん(賛成派):いや、やっぱり酒鬼薔薇事件のような動機のわからない少年犯罪が野放しされるのが怖いです。

 

土井先生:Iくんの意見は、実は誤解の多い部分なんです。少年法が適用される多くの事件は、実は酒鬼薔薇事件のような特殊な犯罪ではない。少年犯罪の大部分は窃盗犯であり、そのまた大半は万引きですから、そこが主要な対象となるのです。もちろん中には少年による凶悪事件もありますが、重大事犯については、今でも「逆送」といって成人と同じく刑事裁判にかけることができる仕組みがあります。

 

Hくん(反対派):僕はむしろ22歳に引き上げるべきと思います。

 

Aくん(賛成派):僕はその意見には反対です。大人自身が子ども化しているので、22歳に引き上げても効果はないと思います。

 

Hくん(反対派):いや、僕が引き上げるべきという理由は、22歳が大卒者の就職年齢だからです。社会に出る前に、犯罪はカウントされるべきじゃないと思うんです。

 

土井先生:補足しておくと、現在の日本の大学進学率は50%強ですから、もっと早く就職する若者たちも大勢います。しかし22歳引き上げは新しい意見ですね。成熟した社会ほど、人間の成熟年齢も上がっていきます。肉体的には早く成熟したとしても、一人前の社会人になるための条件が増えていくからです。これは先進国に共通の問題ですね。

 

Bくん(反対派):犯罪だけじゃなく、自殺が多いのは自分に自信が持てないということで、それは大人じゃないと思うので、少年法の年齢引き下げにはやはり反対です。

 

Aくん(賛成派):いや、有権者年齢を下げたことの意味をもう一度考えるべきではないでしょうか。

 

Eくん(賛成派):うん、18歳を未熟と決めつけるのは間違いと思います。

 

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