タイムトラベルは可能か

~その実現に向けて研究する大学も紹介

今井元先生 元日本女子大学 理学部

第3回 時空間のひずみが解かれると元に戻れない ~タイムスリップは非可逆過程

次にタイムスリップについて考えてみます。タイムスリップは、時空間が歪んで現在と過去の空間がくっつくために生じると考えたらよいと思います。SFに出てくるワープ(これは実空間が歪んで任意の場所とくっつくことによる瞬間移動現象です)と同じように考えるとわかりやすいかもしれません。「宇宙戦艦ヤマト」がよくワープすることを思い浮かべてください。どうして、このようなひずみを作れるかです。

 

時空間を歪めるエネルギーは特に触れておりませんが、『テルマエ・ロマエ』『バブルへGO!!』では渦水流です。昔のテレビ映画の『タイムトンネル』は、らせん状のトンネルに主人公が入っていくと、どこかの時代へ移動するといった話だったと思いますが、この場合は強力な電磁場が時空間を歪めていたように思います。重力場やアインシュタインの相対性理論で示される統一場理論から時空間の歪みが説明できると興味深いですね。

 


タイムスリップで現在と行き来をするためには、時空間がくっついている間に移動することになります。このひずみが解かれると、元には戻れないものと思います。時空間の歪みを発生させることが人為的に難しいとすると、タイムマシンと比べて元に戻れないと考えた方が自然かと思います。

 

タイムマシンとタイムスリップを比較すると、タイムマシンは容易に時間移動ができるのに対して、タイムスリップは超常現象が生じたときに移動ができ、行き先を決めたり、現在に戻ったりすることは自由にできないということになります。

こうしてみると、タイムマシンは定められた時空間との行き来ができるということで可逆過程であり、タイムスリップは偶然の移動ということでは非可逆過程と言えるかもしれません。

 

いずれにしても、どちらの場合も時間移動した時代の中で事実を変えてしまうことの危険性を取り扱っている作品が多いようです。歴史が変わってしまう、あるいは変わることを阻止することに面白さがありますね。

 

連載つづく・・・

 

今井先生 プロフィール

今井元先生 元日本女子大学理学部/元富士通

 

香川県立丸亀高等学校卒、東京大学工学部電気工学科卒、東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻修了。株式会社富士通研究所を経て日本女子大学理学部教授、現在名誉教授。

 

専門は、半導体工学、特にⅢ-Ⅴ族化合物半導体を用いた半導体レーザダイオード(LD)。LDは通電することでレーザ発信して単色光を発する小さい素子です。光ファイバー通信用光源には赤外光、DVDには青色光、ポインターには赤色光が使われます。科学の研究者にならなかったら、音楽家とか医者とか夢はたくさんありました。子供のころは花火が大好きで花火師になりたいと思っていました。