ニューリーダーからの1冊

化学工学が専門の児玉大輔先生(日本大)がおススメ
「科学者の日常がわかる1冊。」
『科学者たちの奇妙な日常』
松下祥子(日経プレミアシリーズ)
若き女性博士ブロガーが、科学立国日本を支える研究者たちのリアルライフを紹介。
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福島から二酸化炭素排出量を削減する技術を発信
児玉大輔先生 日本大学
<専門分野:化学工学>
児玉先生のグループは、様々なガスのなかから、温室効果ガスのCO2を効率よく吸収する液体の開発と評価に取り組んでいる。大学キャンパスのある福島県郡山市から、地球温暖化防止対策など独自の技術を広く情報発信し、グリーンイノベーション実現に貢献する。
先生
児玉大輔(こだまだいすけ)
専門分野:化学工学
日本大学 工学部 生命応用化学科 准教授
1970年福島県生まれ 秋田県立秋田南高校出身
研究

火力発電所など大規模な発生源から排出されるガスの中から、CO2を効率よく吸収する液体(イオン液体)の開発と評価を進めています。従来のガス吸収液は、再生処理するために莫大な熱エネルギーをともなうプロセスが必要になりますが、私たちが開発中の吸収液(イオン液体)は、圧力の変化のみでガスの吸収分離を行えるため、熱エネルギーコストを大幅に削減できます。今までの経験や研究室独自の実験装置・測定技術、他分野における知見や既存技術の組み合わせなどから解決方法を見出し、低コスト型の二酸化炭素分離回収プロセス実現をめざしています。
私の所属する大学のキャンパスは、福島県郡山市にあり、原子力発電所事故の被害(大半は風評被害)を受けました。今回の大震災、原発事故を受け、地球環境問題、特に温室効果ガスの排出量削減や固定化、二酸化炭素変換技術の確立は急務であり、福島発の技術を発信し続け、復旧復興につなげなければならないと考えています。また復旧復興に貢献できるエンジニアの養成も大学の使命と感じています。

この道に入ったきっかけ
“有機化学”を勉強したいと思い、大学に入学しましたが、大学の講義に幻滅。後に恩師となった教授から、高校では学ぶことがなかった“化学工学”の重要性を教わり、プラントエンジニアとして活躍できたらと考えていました。
大学時代
全日本学生スキー大会入賞をめざし、夏は遠征費用捻出のためにアルバイト、冬はスキー場でパトロールやインストラクターをしながら練習にはげんでいました。プラントエンジニアとしての活躍を考えていましたが、スキー業界で生きることも夢見ていたのです。
最近読んだ本
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