ニューリーダーからの1冊

分子腫瘍学(ガン研究)が専門の藤田恭之先生(北海道大)がおススメ

 

『部分と全体』

W.K.ハイゼンベルク 山崎和夫:訳(みすず書房)

高名な物理学者であるハイゼンベルクの哲学がちりばめられた名作。

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サイエンスの醍醐味は世界初であること。ガン研究で世界の先頭を走る

藤田恭之先生 北海道大学

<専門分野:分子腫瘍学(ガン研究)>

ガンにはナゾが多い。とくに正常細胞に囲まれたガン細胞との間で何がおこっているかは、ガン研究のブラックボックスだった。藤田先生らは、正常細胞がガン細胞を駆逐する能力があることを世界で初めて示し、大きな反響を呼んでいる。極真空手もやる藤田先生は「他の人がやっていない研究をしたい!」という強靭な精神力を持つ。

 

 先生

藤田恭之(ふじたやすゆき)

専門分野:分子腫瘍学(ガン研究)

北海道大学 遺伝子病制御研究所 分子腫瘍分野 教授 

1965年大阪府生まれ 東大寺学園高校出身

 


 研究

私は他の人がやっていないような研究をしたい!という強い情熱を持ち、他のガン研究者とは異なる視点から全く新しいガン治療法を開発したいと、ガン研究に挑んでいます。

 

ガン細胞は細胞の遺伝子に異常が起こることにより生じることは知られていますが、ガン細胞と正常細胞との境界でどのような現象が起こるのかはよくわかっておらず、ガン研究のブラックボックスとなっていました。私は、新たに開発した細胞培養系を用いて、正常細胞とガン細胞の境界で何が起こっているのかについて、精力的に研究を行いました。その結果、最近の研究で、周囲の正常細胞がガン細胞にストレスを与え、ガン細胞を殺したり体外に排出させたりすることがわかってきたのです。そう! 正常細胞にはガン細胞を駆逐する能力があるようなのです。これらのデータは2009年から私の研究室から複数の論文で発表し、現在世界から非常に大きな反響を呼んでいます。私の研究室がこの新しい分野で世界の先頭を走っていることはまちがいありません。サイエンスの醍醐味の一つは「国際的」であること。発見が世界初でなければあまり意味を持たないのです。

 

研究室の学生さんたちと
研究室の学生さんたちと

この道に入ったきっかけ

小学3年生頃から医学研究者になりたいと思っていました。とくにシュバイツアーの伝記を読んでから、病気を治そうと強く思うようになりました。大学当時、神経を研究するのが流行りでしたから、人と違うことをしたいという思いで、ガンを選びました。 

 


中高時代

高校2年生の時の日記を読み返すと、「夢は二つある。一つは外国の研究所でガンと闘うこと、もう一つは、アフリカで恵まれない人のために汗をかいて医療を提供すること」と書いてありました。子どもっぽい夢だと思うのですが、基本的には今もそうです。

 

高校時代は生物を選択していなかったのでほとんど勉強しませんでしたが、そんな私が現在大学で生物を教えているのも何だか人生って奇妙なものだと思います。

 


大学・大学院時代

学部学生のときから研究室に入りびたって研究の補助などをさせてもらっていました。大学院生の時も朝から深夜まで研究に没頭していました。実験を行うことによって、思いがけないデータが出ることなどに知的好奇心が刺激され続けていました。

 


趣味・休日は?

ロンドン時代に極真空手を始めました。肋骨を2回折るなどかなりハードなものでしたが、強靭な精神力を培う大きな助力となりました。

 


おすすめの本

『部分と全体』

W.K.ハイゼンベルク 山崎和夫:訳(みすず書房)

高名な物理学者であるハイゼンベルクの哲学がちりばめられた名作。

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