いじめ問題を考える

尾木ママが高校生と語った なぜ、いじめはなくならないの?

vol.4 なぜ、いじめはなくならないのか(2) ~大人社会の競争原理と共生社会

女子高校生A 
今は小中学校でも外国人の子どもが増えてきています。人種差別もいじめの一つと思います。自分と違った個性が受け止めきれないことも私は問題と思います。

女子高校生B 
私はいじめがなくならないのは、その子だけじゃなく、まして親が悪いのでもなく、親が働いても働いてもお金がないとか、そういう職業の格差の問題も関係しているんじゃないかと思うんです。

 

尾木ママ
いじめの問題は、大人社会にも問題があるんじゃないかという話ですね。これはそのとおりとぼくも思います。だいたい大人社会そのものが競争原理で、競争で相手を蹴落とさなければいけないという価値観が渦巻いているわけです。

学校文化、あるいは先生の価値観そのものにいじめ体質があるんじゃないかと思う。これを言うと、学校を否定しているみたいに思われますが、今の学校の集団一斉教育の中では必然的に、いじめは生まれてしまいます。だって、先生が熱心に指導して学級をまとめようとすればするほど、合唱コンクールや体育祭で燃えるぞと言って、それについていくことができない生徒には、ものすごいストレスがかかってしまうんですから。

あいさつ運動というのがありますね。生徒が3秒ですぐにあいさつが返せるように“3秒ルール”ということを考えた学校がありました。尾木先生、あいさつをすぐ返せるようにするにはどうしたらいいでしょうと、相談を受けました。そんなアホなことやめなさいと、ぼくは答えました。

競争で蹴落とさなきゃいけない社会でなく、ケアしあう体制とか困っているとき声をかけてくれる社会というのはすごく大事なことと思います。それを共生社会と言います。日本は共生社会のビジョンをなかなか打ち出せないでいるんですが、OECD(経済協力開発機構)の加盟34カ国で、共生社会をめざすということは今や世界の共通認識になっています。EUは国境を越えて鉄道が走り、ユーロという1つの通貨を使っているわけです。国境をなくし、みんなで第二次大戦みたいなアホなことをやめようと、一つになろうとしている。共生社会をめざすことは、いじめをなくすことと、どこかで繋がると思います。


尾木直樹さんが中高生に贈るBooks

『古代への情熱―シュリーマン自伝―』

シュリーマン 訳/関楠生(新潮文庫

言葉を探求する情熱と語学の学び方がヒントになります

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『人生論ノート』

三木清

(新潮文庫

人生を悩み考える羅針盤

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『論語』

孔子(岩波文庫)

声に出して読むと、人生が見えてきます

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尾木直樹さんの本

『尾木ママの「脱いじめ」論』

尾木直樹(PHP文庫)

尾木ママによれば、いじめ問題の解決のポイントは3つ。
(1)加害者にやめさせること。加害者のゆがみをいやすこと。
(2)生徒が主役で克服すること。君たちが主役。
(3)LINEのルールを決めよう。

「現代では誰でもいじめの加害者にも被害者にもなりえますし、簡単に入れ替わります。中高生のキミたちには、いじめについて、特に現代のいじめの特徴と、 なぜ思春期ほどいじめはエスカレートしやすくなるのかを、発達段階の特性から知ってほしいと思います。それが、『脱いじめ』を考える第一歩になることでしょう」

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