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叫び声を聞いた者は3日後に死ぬ…。都市伝説は本当か!?

『絶叫仮面』吉見知子 イラスト/平山けいこ

島田雄大くん(三重県立津西高校2年)

『絶叫仮面』(幻冬舎)
『絶叫仮面』(幻冬舎)

都市伝説はご存じでしょうか。例えばトイレの花子さんとか、口裂け女とか…。橋の下で女子高生が殺されていた。そんな恐ろしい事件とともに、あるうわさが町の中で流れ始めます。「絶叫仮面の叫び声を聞いた者は3日後に死ぬ」。絶叫仮面は、くちばしのついた仮面に黒くて長いマントという姿をしているそうです。

この都市伝説に興味を持った1人の少女がいます。名前は沙月、いわゆる「コミュ障」です。彼女はネットの世界にのめり込み、絶叫仮面の情報収集の場としてサイトを立ち上げます。そして、サイトの中に自分の偽った人格まで作り上げてしまいます。別人格のアヤメは明朗快活な女の子として、サイトを運営していきます。

そして、ある一通のメールがサイトに届きます。「絶叫仮面の声を聞いてみないか」…彼女にとってそれがどれほど魅力的だったのでしょうか。すぐにメールの送り主に会うことを決めた彼女ですが、鏡に映った自分の姿を見て思います。よれよれのTシャツにGパン。これからアヤメとして会いに行くのに、アヤメはこんな格好をするでしょうか。このギャップに沙月は悩みます。結局、その時は妹の服を借りて乗り切ることにしました。

メールをくれた少年と共に、事件の起きた橋の下に向かいます。何も起きません。あきらめかけた午後6時40分、金切り声に似た叫び声が彼女たちの耳元に届きます。声を聞いた者は3日後に死ぬ…。沙月は残された3日で、真実を追いました。焦りに焦ってつかんだ真実とは、いったいなんだったのでしょう。ぜひ、皆さんの目で確かめてください。

この本は、第何章という部分が「トラック」と表示されています。CDになぞらえて、物語が作られているのです。例えば、トラック6は『ミッシングレインコート』というタイトルですが、訳すと「なくしたレインコート」。このトラック6の中で、沙月のお母さんがレインコートをなくします。そして、どうやらそのレインコートというのは黒くて丈の長いものです。何かひっかかりませんか。そして、ある場所で仮面も見つけます。果たして、これらがどんな意味を持ってくるのでしょうか。

島田雄大くん
島田雄大くん

僕はこの小説を読み、ある一つの社会現象が頭に浮かびました。どうやら絶叫仮面はその社会現象と密接に関わりがあるようです。そして、僕は電車通学をする途中で、毎日、くちばしの付いた仮面と黒くて丈の長いマントが見えるように思えます。案外、絶叫仮面というのは、私たちの近くにいるのかもしれません。そして、おそらく絶叫仮面はこれからも数を増やしていくことでしょう。そうなった時、私たちの住むこの世界は一体どうなってしまうのでしょうか。ぜひ、この本を読んで、謎を解いて、皆さんなりの真実をつかんでいただきたいと思います。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル決勝大会の発表より>

さ・ら・に・島田雄大くん おススメの3冊

『モニタールーム』
山田悠介(角川文庫)
ある犯罪者の刑を執行する話なのですが、山田さん独特の世界観にどっぷりとつかってしまい、ラストがとても衝撃的でした。またこの話のようなことは、世界のどこかで行われているかもしれない、と思いました。

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『ココロ』
トラボルタ原作、石沢克宜著、イラスト/なぎみそ

(PHP研究所)
ロボットが心を持つという現実にはない世界がこの本の中にあります。少女型ロボットが心を手に入れるまでの多くの人の思いを味わい、最後ロボットが心を手にしたとき、彼女は何を思ったのかを読んでいただきたいです。

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『幻想郵便局』
堀川アサコ(講談社文庫)
アルバイト先は、山の上の不思議な郵便局。そこで出会った不思議な人々や幽霊…。この本は読むと、どこか懐かしさを感じる、そんな一冊です。登場人物一人ひとりの言葉に温かみがあり、読んでいてなるほどと思ったりもしました。

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島田雄大くんmini interview

好きなのは

ミステリーやファンタジーを読みます。理学書なんかも好きです。読んでいてワクワクします。


小学生のとき

山田悠介さんの本を多く読んでいました。『ドアD』とか『8.1』とか、『モニタールーム』とか、怖いけれど読んでしまう、そしてスッキリしないエンドが大好きでした。(今も好きです。)


これから

やはりミステリー、ファンタジーを読みたいです。『絶叫仮面』の作者吉見知子さんはこれ以外の本を出してないようなので、吉見さんの本が出ればぜひ読みたいです。