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大リーグの貧乏球団が強豪チームにのし上がったワケとは

『マネー・ボール』マイケル・ルイス

砂川諒くん(神奈川県・向上高校1年)

『マネー・ボール』(ハヤカワノンフィクションズ文庫)
『マネー・ボール』(ハヤカワノンフィクションズ文庫)

『マネー・ボール』は、アメリカの大リーグチーム「オークランド・アスレチックス」の物語です。お金のないオークランド・アスレチックスが、なぜかここ数年目覚ましい成長を遂げて、資金が潤沢な球団と肩を並べるほどに強くなったという話なのです。

アスレチックスは「従来の球団のやり方と同じ方法をとっていたら、資金が多い方が勝つのは当たり前だ」と考え、例えば評価の方法を変えました。従来の野球の評価方法の一つが打率(100本中何本ヒットを打ったかという数字)ですが、アスレチックスはこれを出塁率で見ることにしました。フォアボールとデッドボール、プラスさきほどのヒットの数で、どれだけ塁に出たかというのを見るのです。

打率と出塁率というのは、どう違うのか。わかりやすい例でいくと、松井秀喜選手とイチロー選手です。2010年の年俸を比べてみると、松井選手が6億円、イチロー選手が18億円もらっています。やはりお金がある球団というのは、それだけスター性のある選手をとることができるわけです。それにしても、これだけの年俸の差は何なのか。打率を見ると、松井選手が2割7分1厘で、100本中、27本くらい打ちます。イチロー選手が3割1分5厘。100本中31本ヒットを打ちます。けっこう差があります。しかし、出塁率を見ると、松井選手が3割6分1厘、イチロー選手が3割5分9厘。意外なことにほとんど差がないのです。球団を経営する側から見た場合、どちらをとるかと言ったら、やはり塁に出られる方をとりたい。そこで松井選手を選ぶと、12億円も得するというわけです。12億円といったら、何でも買えますからね。それだけ球団を楽にできる。

 

砂川諒くん
砂川諒くん

ほかにもいろいろと方法があり、もちろん投手の見方も違います。従来、投手を評価する際の指針となっていた勝利数や防御率では、いろいろな要素が関係してしまいます。そこで、純粋に投手だけの責任となる被安打数や被本塁打数など、そういうものまですべて見て判断することにしたのです。こういう工夫が、この本の中にたくさんつまっています。そして、それが全部科学的に証明できるのも面白いところ。野球を知らない人でも、たとえば少し数学が好きだと思っている人などは十分楽しめると思います。

 

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<全国高等学校ビブリオバトル関東甲信越大会予選の発表より>

さ・ら・に・砂川諒くん おススメの3冊

『お任せ!数学屋さん』
向井湘吾(ポプラ社)
身のまわりに起きる事柄をすべて数学を使って解決してしまうところに魅力を感じました。

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『夢をかなえるゾウ』
水野敬也(飛鳥新社)
だめだめサラリーマンが、ぐうたら神様ガネーシャの教えに従い成功をめざすお話。ガネーシャの軽快なトークが面白い!

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『マンガでわかる「7つの習慣」』
フランクリン・コヴィー・ジャパン 監修

/小山鹿梨子 まんが(宝島社)
どのような行動をとったら相手はどう感じるのかということが、漫画でわかりやすく書かれています。

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砂川諒くんmini interview

好きなのは

強いて言えば自己啓発本ですが、様々なジャンルの本を幅広く読みます。


小学生のとき

『デルトラ・クエスト』(作:エミリー・ロッダ 訳:岡田好恵)。小5のときに読んで冒険小説が好きになりました。


2014年印象本

『暗殺教室』松井優征(集英社)
漫画ですが、内容が良く、コミカルなところが面白いです。

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これから

自動車工学の本が読みたいです。