緊張も失恋も乗り越えられる!すぐに使える4つの心理術
『シロクマのことだけは考えるな!』植木理恵
吉行雄太くん(神奈川・横浜サイエンスフロンティア高校1年)

私は人前でしゃべるのが結構苦手で、今も冷や汗が出て、マイクも滑りそうなくらい。お腹もなんだか不安。しかも視界がだんだん狭くなっていきます。膝がかくかくして、できたら座りたいくらい。
でも、解決策があります。今まで自分はこういう状況を、「そんなことない、大丈夫だ!」と、気合いで乗り切ってきましたが、逆に、押し寄せる苦しみに身を委ねるという方法です。そして、それをやりやすくするのが「ひとり実況中継」。例えば今の状況を、「ああ、手汗が」「ああ、手が冷たくなってきた」とか、「膝、めっちゃガクガクじゃん」とか、盛り上がるように実況していくのがおススメです。
なぜおススメと断言できるかというと、本書に書いてあるから。『シロクマのことだけは考えるな!』という本。変なタイトルでしょう。このタイトルの由来にシロクマ実験というものがあります。昔の実験ですが、被験者にシロクマのムービーを1時間ほど見せます。その後、被験者を次の3グループに分けます。(1)「シロクマのことは絶対に覚えておきなさい」と言うグループ、(2)「まあ、覚えても覚えなくてもどちらでもいいよ」と言うグループ、(3)「シロクマのことだけは考えるな!」と言うグループ。半年後、テストをしてみたら、ムービーを一番覚えていたのは(3)のグループでした。
やはり、考えまいとすればするほど、逆に考えてしまう。それは、さっきの解決法、「大丈夫だ、俺はそんな変なふうになっていない。気合いだ!」みたいな方法と似ていませんか。否定しようとすればするほどかえって「うわ、俺やべえじゃん」となってしまう。
実は考えたくないことを忘れる方法は、とことん考えることだったのです。とことん考えて、例えば失恋の悲しみも、ためらいもなく「くそ、あのやろう!」とか、「なんで私、こんな思いしているのよ!」とか、そう考え続けることによって解決できるのです。
本書は、大きく分けて4つのことが書かれています。一つが元気になる心理術。ここにシロクマ実験のことも含まれています。次が、頭が良くなる心理術。3つ目が人をコントロールしてしまう心理術。4つ目が人をとりこにしてしまう心理術です。

気に入ったエピソードを一つ紹介します。「飴と鞭」って本当に効果があるのかという実験についてです。ネズミにあることをやらせて、「飴と鞭」の与え方を3つに分けます。(1)「できたら飴を与える、できなかったら電気ショックを与える」グループ、(2)「できても何もやらないけど、できなかったら電気ショックを与えるグループ」、(3)「できたら飴をあげるけれど、できなくても何もしない」というグループ。さて、どのグループが一番できたのでしょうか。結果は、本で確かめてみてください。
全国高等学校ビブリオバトル関東甲信越大会予選の発表より
さ・ら・に・吉行雄太くん おススメ

『数の悪魔―算数・数学が楽しくなる12夜』
ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー(晶文社)
小学生の時、自分は算数が嫌いだったのですが、この本のおかげで数学嫌いが治り、この高校に進む一歩になったと思います。1回では理解できなくても、何回か読むとだんだんわかってきます。
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『大人も知らないお金のカラクリ/お金持ちになるにはどうするの』
内田正信(朝日新聞出版)
自分が好きなキャラクター「コリゴリはかせ」がお金のナゾを解いていく形で、わかりやすく経済を説明しています。
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『大どろぼうホッツェンプロッツ』
オトフリート・プロイスラー(偕成社)
シリーズ全3巻。最初は悪者だったドロボウが最後には……。小学生の時は、「どろぼうがっこう」(かこさとし/偕成社)が気に入っていました。
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