地球宇宙化学・惑星化学

松田准一先生 オーサーインタビュー

『隕石でわかる宇宙惑星科学』(大阪大学出版会)

元大阪大学大学院 理学研究科 宇宙地球科学専攻(理学部物理学科、大阪大学名誉教授)

◆著書『隕石でわかる宇宙惑星科学』はどんな内容の本でしょうか。どんな人におススメでしょうか。

 

アリゾナにて
アリゾナにて

隕石のやってくる宇宙とは何か?宇宙の始まりは?次元は?宇宙の果ては?ということから、最近の太陽系探査の成果の紹介、そして、隕石は宇宙のどこからやってきて、一体どんなものなのか、火星や月から来る隕石があること、隕石落下による生物の大量絶滅、鉄隕石からわかる小惑星の冷え方、隕石の中にもダイヤモンドがあるがその成因、隕石からわかる太陽系ができる前の歴史など、隕石がどのように研究されているのかを著者自身の描いたイラストとともに紹介しています。大学の教員時代に経験した面白い話もたくさん入っていますので、隕石からどんなことがわかるのか、また大学の研究とはどんなものかを知りたい人におすすめです。

 

◆高校生に特に読んでほしい箇所はありますか。

 

本には、少し本題から外れた話題のコラムやコーヒーブレイクなどもたくさん入っているのですが、その中で私のいたシカゴ大学の先生の話で、隕石カフェ3(P.202-203)を読んでほしいと思います。読んでほしい一文を挙げるなら、P.203の9-10行目の「語学でも学問でも、何歳からでも努力すれば大成できるよ!」というものです。

 

◆先生の研究分野との関係で、この本から、どのようなことを知ることができますか。

 

『隕石でわかる宇宙惑星科学』(大阪大学出版会)
『隕石でわかる宇宙惑星科学』(大阪大学出版会)

隕石の研究成果を紹介した本は、実は宇宙や地震・火山などの本と比べて驚くほど少ないのです。それは、隕石の研究が結構専門的なのと、惑星探査などと関係して最近になってようやく大いに進んだことにもよります。私は隕石中のダイヤモンドの成因や太陽系形成以前の歴史を隕石から探るという研究をしていましたが、その研究の様子や大学教員時代のこぼれ話なども入れて、優しく解説したつもりです。

 

また、イラストも自分で描きました。こういう自然科学の本では専門のイラストレーターがイラストを描くことが多く、著者自身が描くことはまずありません。そのため、遊び心もたっぷりいれた楽しいイラストができました。

 

◆この本全体で伝えたいことは何でしょうか。

 

惑星探査など巨大科学による最新の研究成果を知るということももちろん必要です。一方で、ちょっとしたアイデアや思いつきで研究が進むことがあり、それが本来の科学研究の面白さや楽しみでもあります。研究というのは、単に当初の計画通りに進むものではなく紆余曲折があり、試行錯誤の上、様々な工夫をしながら進めていくものです。そういった自然科学研究本来の醍醐味や面白さを知ってもらえればと思います。

 

何よりも自然科学研究の楽しさや面白さが伝わること、また、科学者というのは単に浮世離れしたことばかりを考えているのではなく、実生活の中にあって楽しんでいるということもイラストから伝われば良いと思います。

 

 

◆先生は研究テーマをどのように見つけたのでしょうか。

 

いつも何かを考えていることが大事だと思います。私は、大学で隕石中のダイヤモンドの成因についての研究をしましたが、当時隕石中のダイヤモンドの成因については議論があり、それがいつも頭の中にありました。そういう状態で無機材質研究所の研究室を訪ねた時に、ダイヤモンドが高温高圧下でなくむしろ真空に近い低圧でできることを偶然知って、これが隕石中のダイヤモンドの成因になるのではと考えました。いつも、そのことを考えていると、何かのことがきっかけとなりそれと結びついて、発想のヒントのなることがあります。

 

◆ところで、先生の高校時代はどんな高校生だったのでしょうか。

 

高校時代は、写真部と化学部でした。結構良い写真を撮るということに燃えていました。また、数学が実は苦手でしたが、ある時にがんばって試験勉強をして大変良い点をとることができ、それから大好きになりました。努力をしてうまくいった時の快感を今も憶えています。

 

 

◆この分野に関心を持った高校生が、「では、どうしたらいいか」、具体的に教えてください。

 

最近では、大学のオープンキャンパスなどがありますから、その時などに行って、実際に大学の研究者と話をしてみたらどうでしょう。また、学会などにも最近は質問コーナーなどがありますから、そういうところを積極的に利用したら良いと思います。また、大学の研究室も前もって連絡すれば、喜んで迎えてくれるはずです。

 

 

松田先生の記事を読む

★連載

隕石の中にダイヤモンドが! 隕石から太陽系形成以前の歴史を解明

 

★松田先生も出演!こちらもどうぞ

NHK衛星放送のコズミックフロントNEXT

「金もダイヤもざっくざく 大宇宙の宝探し!」(youtube)

 

地球宇宙化学・惑星化学が学べる大学、研究者

興味がわいたら

『隕石でわかる宇宙惑星科学』

松田准一(大阪大学出版会)

宇宙の解説から太陽系内探査、そして隕石の最新の研究成果までを著者自身の手による楽しいイラストとともに解説。隕石について興味を持っている人、また隕石について実際どのような研究がなされているのかを本格的に知りたい人におすすめです。

[出版社のサイトへ]

『天体衝突』

松井孝典(講談社ブルーバックス)

恐竜が滅んだのは隕石の衝突によるものですが、隕石の地球への衝突というのがどのようなものか、どのぐらいの頻度があり、どのようなことが起こるのかなどについて詳しく書かれています。隕石のことに興味のある人におすすめです。

[出版社のサイトへ]

『隕石の見かた・調べかたがわかる本』

藤井旭(誠文堂新光社)

写真が大変豊富で、日本に落下した隕石について特に詳しいです。隕石とはどういうものかをまずは写真などで見たい人にはおすすめです。

[出版社のサイトへ]

『コズミックフロントNEXTNHK衛星放送の番組

難しい知識を優しく説明することを心がけ、海外ロケやコンピュータグラフィックなどもふんだんに取り入れて毎回面白い番組に仕上げています。宇宙全般の知識を楽しく学びたい人におすすめです。

 

松田先生から中高生へおススメ本

『生きること学ぶこと』

広中平祐(集英社文庫)

文化勲章をもらった世界的な数学者による自伝。数学というとスマートな学問と思いがちですが、学問に対する彼の真摯な姿勢と努力がわかり、多いに励みになる本です。

[出版社のサイトへ]

『すべてがFになる』

森博嗣(講談社文庫)

大学の工学部の先生が書いた推理小説で、テレビでもドラマ化された話題作。理系の人が小説を書くと、こういう面白いものができるのだということがわかります。

[出版社のサイトへ]

『大放言』

百田尚樹(新潮新書)

私達はテレビや新聞などの影響を大いに受けていますが、自分自身のしっかりした意見を持つことが必要です。そういった意味で、こういうはっきりした意見の本を読むことも良い機会になると思います。

[出版社のサイトへ]