高校時代にしておきたいこと、読んでおきたい本
~大学生が大学の授業と本を紹介
湯川 晟さん(東京大学文科二類2年) ※学部・学年は2016年3月現在

湯川さんが薦める「進路を決めたら、高校時代に読んでおきたい本」
『思考の整理学』外山滋比古(ちくま文庫)
東大生・京大生に読まれている本のトップ3以内にランクインすることで有名な本です。新たな発想をするためにはどのような生活習慣を持つべきであるか、ということを筆者の実感たっぷりに語っています。大学生になると高校生までと異なり、アウトプットを求められる機会が増えてきます。そんな時に、いきなりおもしろい案をひねり出すなどというのは難しい話で、日頃からおもしろい発想の種を探しておく必要があります。この本は、そんな発想の種探しのヒントとなる内容が沢山詰まっています。読み物としてスラスラ読めるので、一度読んでおくと自身の発想の役に立つことでしょう。
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大学の授業を紹介! 面白いと思った授業はこれだ
<東京大学文科二類編>

◇ミクロ経済学 [2年生後期]
ミクロ経済学の基礎について学ぶ講座です。 個人がどのような選好に則ってものを買う量を決めるのか、といった世の中の身近なレベルでの経済事象について学びます。
まず初回の授業で、町の景観保護のために看板の配色を制限すべきかといった身近な問題の是非を経済学の知識なしに考えます。その後、各回の授業でミクロ経済学の知識を学んでいくと、初回の授業で取り上げた問題の是非をミクロ経済学の観点から読み解くとどうなるかということが紐解かれていきます。こうして謎解きのように講義が展開され、非常に知的好奇心をかきたてられます。教授の解説もとてもわかりやすく、物語を聞いているかのようでした。
◇記号論理学 [1年生前期]
様々な命題文について、正しいかどうかというものを判定する上で、その文の各パーツを記号化して、その記号化したものを定理に基づいて形を簡単にしていくことで、その真偽をわかりやすくしたり、複数の命題からあらたな命題を導き出す方法を学んだりする授業です。
日本語の文章を記号化して定理に則っていじくり回すという行程は非常におもしろく、一見して正しいのか否かわからない文でも読み解くことができる「記号論理学」という非常に強力なツールを手にすることができました。
大学生になって

大学生になって、国際交流系の学生団体に打ち込むようになりました。そこでは、海外の大学生を日本に招致して、日本の魅力を体感してもらうようなプログラムを作成しています。この活動は、僕が高校時代に運動会実行委員会でやっていたような、大きなプログラムを有志で集まって作り上げるというところにつながりを感じます。今までといかに違うものを作り上げるか、当日どのようなことが起こりうるかということを想像しながら作り上げるイベントは最高の経験になります。
進路について話そう
■進路に影響を与えた本
『ドラゴン桜』の影響は多少なりともあるかもしれません。自分でも、勉強をうまくやれば東大に受かることは可能なのではないかと思わせるのには十分でした。内容自体も、勉強の参考になる点が多く含まれており、お勧めです。
■進路を決めるにあたって、とった行動
東大の学園祭である「五月祭」に行ったり、オープンキャンパスに訪れたりしていました。そこで、この大学のキャンパスの重厚な感じに、学問をするには何て素晴らしい雰囲気なのだろうと思ったのをよく覚えています。
■進路や大学を決める際に、大事だと思うこと
進路を決める際に重要なのは、大学でのキャンパスライフを想像することはもちろん、その後自分がどのような人生を歩みたいかということまでを見据えて考えることです。僕の場合は、まだまだ多様な学問分野に触れてみたいという気持ちが強かったのと、東京大学に入って各界のリーダーとなるような人材と揉まれながら自身が成長し、卒業後それぞれの人生を語り合えたらとてもおもしろいだろうなというのが東大を選んだ大きな要因です。
■大学に入る前にやっておくとよいと思うこと
大学に入る前、高校時代にやっておいてほしいのは、大学に入ったら自分はどのようなことを達成したいか、そのためにはどのような生活をすればよいのか、どのようなコミュニティに入るべきなのかを、入学前までにぼんやりとでもいいので考えておくということです。大学は、誰かに導かれるということはなく、放っておくとただただ漂って終わりということに陥りやすい環境です。自身で行動の指針を立て、それに則って主体的に動かなければ、あっという間に日々が過ぎ去っていきます。ぜひ、大学入学前に自身の行動指針を立てましょう。
■高校時代に読んでおくとよい本