日本をユニバーサルデザイン社会に

~大学3年で起業。視線の高さ106センチの挑戦

株式会社ミライロ代表 垣内俊哉さん

第2回 バリアフリー発想のシャンプーボトルのギザギザも、今ではユニバーサルデザイン

プレゼンテーションで使うパワーポイント(スライド)の背景を黒にすると、白地に比べ目が疲れにくいと言われています。この背景を黒にする手法はもともと、メガネをつけても両目の視力の合計が0.03以下の弱視者への配慮から生まれたものです。今では障害者のためだけではなく、皆さんにも目が疲れず情報を得やすいようにと配慮され、皆さんがお持ちのiPhoneやiPadにもこの機能は搭載されています。これはバリアバリューとしてのユニバーサルデザインです。

 

ここでバリアフリーとユニバーサルデザインの言葉の意味を説明しておきましょう。バリアフリー、つまり障害を取り除くという言葉は、1970年頃から日本で使われ始めました。障害者や高齢者の不自由を取り除くという考えから生まれたもので、バリアフリーという言葉が使われるのは日本だけです。ただこの言葉は障害者だけを前提にしているので考え方は狭いんです。もっと対象を広げようと、バリアフリーを包括する形で、1990年頃生まれたのが、ユニバーサルデザインです。

 

ではユニバーサルデザインとは何か。例えば、タバコを吸う時に使うライターも実はユニバーサルデザインなんです。第一次世界大戦中、腕を負傷した兵士はタバコに火をつける際にマッチしかなかった。片手で火をつけることができるように生まれたのが、今や世界中で使われるライターです。

 

シャンプーとリンスのボトルのデザインを注意して見てください。必ずシャンプーにだけはキャップにギザギザがあります。もともとは目が見えなくても、ちゃんとシャンプーとリンスを識別できるようにデザインされたものなんです。2リットルのぺットボトルの中央にくぼみがある。なぜかというと2リットルのペットボトルは子ども、お年寄り、女性が片手で持つには結構重い。今では500mlにまでくぼみがはいるようになりました。それだけより多くの人に使いやすさを求めたユニバーサルデザインなんです。

 

実はみなさんの身の回りにはそうしたユニバーサルデザインの観点で作られたモノ、サービス、建物がすごく広がっています。僕の会社「ミライロ」では、ユニバーサルデザインのコンサルティングを主な事業の柱としています。対象を障害者・高齢者だけに置くのでなく、国籍、年齢、性別に関係なく誰にとっても使いやすい精神のユニバーサルデザインはこれからますます求められていくことと思います。

垣内さんおススメBookguide

『道をひらく』

松下幸之助(PHP研究所)

あえてユニバーサルデザインの解説本ではなく、経営の神様と呼ばれる松下さんの本を選びました。「自信を失ったときに」「困難にぶつかったときに」「運命を切りひらくために」など、松下さんの人生観や経験から、自分が励まされるエピソードが多いです。


松下さんは経営を行う上で「貧乏で、体が弱く、学歴がなかったことが幸いした」とおっしゃていました。何故かと聞かれて、「まわりの人がみんな賢くみえるし、皆の協力がないとやっていけないと自然に思えた」と答えたのです。これを読んだ時、自分の障害はマイナスだと思っていたけれど、見方を変えれば価値になるのかもしれないと想いを強くしたことを覚えています。バリアバリューにも繋がる考え方です。

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『トコトンやさしいユニバーサルデザインの本』

宮入賢一郎(日刊工業新聞社)

私たちもユニバーサルデザインに関連する事業を行う始めに見たのはこの本でした。これから勉強する方には最適な本だと思います。

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