環境・バイオの最前線

循環型社会工学/リサイクル工学/ゴミ問題

学問講座

循環型社会を目指す最新の学問は、ライフサイクルアセスメント

あらゆるものを資源として再利用する循環型社会をめざす日本が、こうした課題に真正面から挑戦している学問手法に、ライフサイクルアセスメント(LCA)がある。製品やサービスの環境負荷を定量的に評価する方法の1つで、その特徴は製品やサービスの製造時や使用時のみだけでなく廃棄時を含めたライフサイクル全般にわたって環境負荷を考慮すること、地球温暖化や資源の枯渇、有害物質による健康影響など、様々な種類の環境問題への影響を総合的に考慮することである。1990年代から本格化したLCA研究を専門に取り組む若手研究者が現われてきており、様々な政策課題や技術開発課題に一定の見解をもたらしつつある。


避けることのできない廃棄物管理は永遠の課題

循環型社会形成の中核対策である3R(リデュース、リユース、リサイクル)を講じたとしても廃棄物管理が無用となる社会は存在しない。形を変えることはあっても、廃棄物管理は永遠の課題とも言える。リサイクルや処理にともなう環境汚染物質も一種の廃棄物とみなせば、廃棄物管理の対象は非常に幅広い。

 

20年くらい以前に大きな問題となったダイオキシン類は、ゴミ焼却処理の過程や金属精錬の過程で副生成する残留性の有害物質であった。この問題に対しては、環境工学や化学工学分野において高度制御技術を開発、応用することで、日本では1997年の発生量から現在までに95%以上を減らすことができた。しかしながら、ダイオキシン類と類似の構造を持つPCBについては、まだ解決していない。20世紀後半で使用した廃PCBの分解処理を続けているところである。ダイオキシン類やPCBはPOPs(残留性有機汚染物質)条約という国際条約の対象となっているが、制御しなければならないPOPsは目白押しである。中でも最大の問題は、水銀とアスベストである。2013年には国際条約が締結される見込みの水銀、毎年千人以上の中皮腫による死亡者の原因物質であるアスベストは、これから半世紀以上にわたってアスベストを出す建築物の解体や廃棄が続く。こうした廃棄物管理には、相当に注意して臨まねばならない。

 

廃棄物管理を永遠の課題とみなければならない今1つの大きな理由は、最終処分しなければならない廃棄物はゼロにはならないことである。日本の埋め立て処分量は、この20年余りで見事に減らすことができた。現在の処分量は、2000年の処分量に比較すれば50%以上の減少、1990年比では約80%減という実績である。経済界や行政、市民の努力の賜物であるが、これほど処分量が減っても処分容量の残余年数は、それほど余裕が出てきているわけではない。つまり、新たな処分地を確保することができていないということだ。この点も、廃棄物管理の中で考えるべき大きな課題である。

 

原発の放射性廃棄物問題は循環型社会工学でなぜかこれまで取り扱わなかったが、福島原発事故以降、放射能汚染の循環問題を研究する人が出始めている。今後、何ができるのか、循環型社会工学という分野そのものの力量が問われるところである。

 

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