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応用昆虫学

飛ばないテントウムシの育種に成功! 害虫アブラムシ防除に役立てる

 

農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センターの若手研究員、世古智一先生ら特命チームは、ナミテントウの成虫80匹を交配。飛行能力の低い個体を選んで交配を繰り返した結果、約25世代でほぼすべての個体が飛ぶ力を失った。それが応用昆虫学界のニューウエーブと期待されるのは、次の理由で、農薬を使わない害虫防除に役立つ画期的な開発だということだ。

 

昔から、農業害虫のアブラムシの天敵であるナミテントウムシはアブラムシの防除に利用できないかと考えられていた。しかしナミテントウムシは農業現場で放してもすぐに飛んでいってしまう。そこで世古チームは育種改良によって飛翔能力のない「飛ばないテントウムシ」を作り出した。採集したナミテントウの成虫80匹を交配。飛行能力の低い個体を選んで交配を繰り返した結果、約25世代でほぼすべての個体が遺伝的に飛ぶ力を失ったという。

 

そして農業現場で実際に実験を繰り返した。その結果、通常の飛翔するナミテントウを放った栽培地では1カ月後、アブラムシの数がナス1葉当たり30匹ほどに達していたが、飛ばない個体のケースではほぼゼロ。キュウリのハウス栽培でも同様の結果だった。2012年のことだった。

 

2002年に研究センターに採用されたばかりの世古研究員は「天敵育種とその利用法の開発は、発展が見込まれる分野です。今後は飛ばないナミテントウだけでなく、他の天敵類に対しても有用系統を確立し、実用化をめざしたい」と言う。

応用昆虫学

応用昆虫学ってどんな学問?

 

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◆トピックス2
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◆学問ことば解説
  昆虫分類学/昆虫生態学/昆虫生理学、生化学、遺伝子工学

 

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