環境・バイオの最前線

植物病理学

感染すると細胞は敵もろともに無理心中!?

 

植物に病気を起こす主な病原微生物は、カビ、ウイルス、細菌の3種類だが、カビが植物病の原因の7割を占める。植物の細胞は、動物と違って固い細胞壁を持つため、細菌やウイルスは傷口がないと細胞内に侵入できない。一方、一部のカビは大きな圧力で細胞壁を破って中に入り、毒素を放出して植物の細胞を殺す。しかし、植物も必死に抵抗する。

 

そのユニークな防衛反応の1つに、病原体が侵入するとその部位の細胞が急激に死ぬという、動物におけるアポトーシスのようなものが知られている。これは「過敏感反応」と呼ばれ、細胞群が死ぬことで病原体を封じ込めるのだ。

 

この現象は1956年に名古屋大の富山宏平先生の研究によって広く知られるようになったが、過敏感反応を開始するスイッチは長らく謎だった。それを、同じく名古屋大の道家紀志先生が、80年に活性酸素が生成されるからだと明らかにした。この成果は、発表後10年もその重要性が理解されなかったが、その間先生が行ってきた地道な研究は、現在では遺伝子導入による病気に強い植物の作出に応用されている。この研究は吉岡博文准教授が引き継いで、感染の分子機構の解明で世界的な成果を挙げている。

 

 

まだまだ広がる学問の世界

植物病理学の研究者

植物病理学を学べる大学