環境・バイオの最前線

植物病理学

期待の次世代防除法=植物にも、人間と同じようにワクチンを

 

農薬に頼らない防除技術をいかに作り出すかが大きな課題となってきている中、現在までの注目は、病気に対する抵抗性遺伝子を導入した遺伝子組み換え(トランスジェニック)植物を作ることだった。ここにこそ、遺伝子組み換えへの最も大きな期待がかけられている。しかし、日本やヨーロッパでは遺伝子組み換えの野菜や果物に対する抵抗感が大きく、また、研究そのものへの規制も厳しく、現在日本では自由に遺伝子組み換え植物の作出研究はできない。

 

そこで、今新たに注目されているのが、人間のワクチンのように、病原ウイルスを弱毒化したものを接種する方法だ。植物には血液もリンパ球もないので、免疫のシステムがあるとは想像しにくいかもしれない。しかし植物にも「干渉効果」という、一度あるウイルスに感染すると、同じかあるいは似た種類のウイルスに感染しないという性質がある。弱毒ウイルスは、1965年に北海道農業試験場の大島信行先生がトマトモザイク病用に開発したものに始まる。現在では野菜や果樹などで、たくさんの植物防除用弱毒ウイルスが使われている。最近は、病原微生物を退治するために他の生物を使おうという、生物農薬の考え方も注目されており、病原性のないカビをつけておくことによって病原菌が感染できないようにしたり、カビを殺すウイルスを使って材木を腐らせるカビを防除したりする研究も行われている。

 

まだまだ広がる学問の世界

植物病理学の研究者

植物病理学を学べる大学