環境・バイオの最前線

水圏動物学が学べる大学

日本では古くから水産業は重要な産業であり、大学としても国立大が中心となり、その基礎を担う研究で水産業を支えてきた。学部としては、当然水産学部、さらには、水産という名称は減ったものの、農学部の水産系の学科。日本の理学部生物学科では、ほとんど魚の研究をしていないこともあり、この分野が理学的な研究も担う。特色のある大学としては、漁場に密着して実学傾向の強い北海道大、フグ毒研究の長崎大、理学色の濃い東京大など。最近は、私大を中心に、水産にこだわらない自由な研究も広がり、海洋学として水圏動物を捉える東海大、地の利を生かして海生ほ乳類の研究を行う東京農業大などが注目。


とくにおススメ

1.東京海洋大学 

海洋科学部 海洋生物資源学科

海洋科学技術研究科 海洋生命科学専攻

先端科学技術研究センター

【発生、魚病学・免疫、ゲノム解析、増養殖】日本唯一の水産専門大学だった伝統を有し、魚病学、ヒラメのゲノム解析、生殖幹細胞を用いた発生工学から、環境にやさしい飼料の開発を含めた増養殖・種苗生産学まで水産業を支援する研究がすべて揃っている。特筆すべきものとして、先端科学技術研究センターでは、サバにマグロを生ませる代理親魚技術の開発を行う。海洋資源研究としての水圏動物学をいかに発展させていくか注目。

<研究者>

・吉崎悟朗(鉄人)→研究室HP

・廣野育生(鉄人)→研究室HP(ゲノム科学研究室)

・ストルスマン カルロス アウグスト(鉄人)→研究室HP(集団生物学研究室)

・濵崎活幸(鉄人)→研究室HP(増殖生態学研究室)

・竹内裕   (若手)→研究室HP

・芳賀穣   (若手)→研究室HP(水族栄養学研究室)

・岡本信明(達人)(学長)

・竹内俊郎(達人)→紹介ページ

<関係サイト>

海洋科学部 海洋生物資源学科 HP

先端科学技術研究センター HP


2.北海道大学 

水産学部 増殖生命科学科

水産科学院 海洋応用生命科学専攻


【発生・生殖、魚病学、環境ホルモン、ウナギ】水産物の宝庫、北海道にあって、水産学研究の拠点として他を圧倒。ウナギの生殖研究が有名だが、現在は、野生集団でも低い頻度で出現するクローンウナギを用い集団遺伝学的な研究を進める。最近ではチョウザメを材料に実験遺伝学的研究も行う。魚の病気を引き起こすウイルスの研究も非常に強い。また、海洋生物の硬組織形成機構の解明とその産業応用に関する研究が盛んで、ウロコから再生医療用の人工角膜を作る研究が進展している。オホーツク海、ベーリング海など漁業の最前線での練習船実習が充実しているのも特徴。豊かな海の恵みを味わいながら、じっくり研究に取り組みたい。

<研究者>

・都木靖彰(鉄人)→紹介ページ

・荒井克俊(鉄人)→紹介ページ

・笠井久会(若手)→紹介ページ(産学・地域協働推進機構)

<関係サイト>

水産学部 増殖生命科学科 サイト


3.東京大学 

農学部 応用生命科学課程、環境資源科学課程

農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻、農学国際専攻

農学生命科学研究科 附属水産実験所

【魚病学・免疫、ゲノム、ウナギ】水産という言葉をはずし、関心の中心は魚を含めた海洋系生物の理解という、基礎志向、理学色の濃い研究ができる。魚介類の感染症の研究に特徴があり、病原体の感染経路を突き止め、免疫など生態防御機構の解明を進める。また魚介類の生物戦略を理解し、環境適応や生殖の生理学的メカニズムの解明をめざす。さらに効率的な増養殖や生物資源の持続的利用をめざす。福島原発事故に関連し、魚の浸透圧調節機構の観点から海水魚におけるセシウムの取り込みと排出の研究をしている。トラフグのゲノム研究も盛ん。農学国際専攻では、途上国の地域振興、特に漁村社会の自立的な発展のために、水産技術を役立てる研究をする。

<研究者>

・菊池潔 (鉄人)→研究室HP (附属水産実験所)

・マーシー ワイルダー(鉄人)→紹介ページ

・良永知義(鉄人)→研究室HP(魚病学研究室)

・金子豊二(鉄人)→研究室HP(水族生理学研究室)

・黒木真理(若手)→研究室HP(水産資源学研究室)

・塚本勝巳(達人)(名誉教授)

・小川和夫(達人)(名誉教授)

<関係サイト>

農学部・農学生命科学研究科 水圏生物科学 HP

農学生命科学研究科 農学国際専攻 HP

農学生命科学研究科 附属水産実験所 HP


4.長崎大学 

水産学部 水産学科

水産・環境科学総合研究科 水産学専攻

附属環東シナ海環境資源研究センター

【増殖・養殖、フグ毒】西日本の水産学部の代表格。何といってもここは、フグ毒研究の拠点。今なお実績を出し続け、化学分野のフグ毒研究ブームを引っ張る。また、増養殖に貢献するエサの研究、魚類では珍しいブリの稚魚の共食い行動研究も。

<研究者>

・阪倉良孝(鉄人)→紹介ページ

・石松惇 (鉄人)→研究室HP

・荒川修 (鉄人)→研究室HP(水産食品衛生学研究室)

・萩原篤志(鉄人)→紹介ページ

<関連サイト>

水産学部 HP

附属環東シナ海環境資源研究センター HP


5.京都大学 

農学部 資源生物科学科

農学研究科 応用生物科学専攻

 

【生殖、生物濃縮・代謝機能、生態学、系統発生】水産学に限定せず、水圏生物に関する研究なら何でもあり。海洋生物の新規機能の開発、それらの分子生物学的な解明から、インド洋や太平洋の魚類の生態や系統発生などまで多彩。新領域の開拓にも意欲的なので、学生にもがんばり次第で独自の分野を拓けるかも。

<研究者>

・田川正朋(鉄人)→研究室HP(海洋生物増殖学分野)

<関係サイト>

農学部 資源生物科学科 サイト

 

6.九州大学 

農学部 生物資源環境学科

生物資源環境科学府 資源生物科学専攻、生命機能科学専攻

 

【魚病学・免疫、環境問題】魚の免疫機構研究のメッカ。自然免疫のメカニズムの解明から、魚病のワクチンや免疫強化剤の開発まで、バイオの先端技術を駆使した研究が盛んだ。また、魚の繁殖時の性転換を研究。その成果は、環境影響評価の貴重なデータとなっている。実際に海に潜って観察する機会が多いのも魅力だ。

<研究者>

・松山倫也(鉄人)→研究室HP(海洋生物学研究分野)

<関係サイト>

農学部 HP

農学部 動物生産科学コース 水族生化学研究室 HP


7.広島大学 

生物生産学部 生物生産学科

生物圏科学研究科 生物資源科学専攻


【魚病学・免疫、行動学】魚の病気の治療や予防に、特定の病原菌だけを殺して他には無害のウイルスを使う技術に挑む。実現すれば抗生物質に頼ってきた養殖漁業を画期的に改善できると期待大。また、まだ謎の多い魚の成長に伴う泳ぎ方の発達について、神経生理学の視点からアプローチできるのは日本ではココだけ。

<研究者>

・植松一眞(鉄人)→紹介ページ(水族生理学)

<関連サイト>

生物生産学部 水産生物科学コース サイト


8.三重大学 

生物資源学部 生物圏生命科学科

生物資源学研究科 生物圏生命科学専攻


【魚病学・免疫、ゲノム】養殖漁業の盛んな伊勢湾をひかえ、三重県の真珠産業として重要なアコヤガイの品種改良、精子冷凍保存の研究を行う。水生生物の進化をゲノムレベルで解明する研究も行っている。

<関連サイト>

生物資源学部 生物圏生命科学科 水圏生物生産学講座 HP


9.東北大学 

農学部 生物生産科学科

農学研究科 生物産業創成科学専攻、資源生物科学専攻

附属複合生態フィールド教育研究センター

【免疫、遺伝育種学、発生】特産のカキやホタテ、ウニなどの貝類や無脊椎動物の免疫というユニークな生理学的研究で有名。水産動物の免疫機構の解明を生理学・生化学・分子生物学のアプローチから取り組む。また、遺伝研究からは、有数の漁場、三陸の沿岸域の女川で、世界に例のないナマコやアワビなどの海産無脊椎動物の養殖適品種の樹立を目指し、遺伝育種学的研究を行う。ヒラメ・カレイの身体の非対称性形成を分子や遺伝子のレベルで解き明かしていく研究も。それは増養殖魚の安定的な生産にも繋がる。

<研究者>

・鈴木徹(鉄人)→研究室HP(生物生産情報システム学分野)

<関連サイト>

農学部 生物生産科学科 海洋生物科学系 HP

附属複合生態フィールド教育研究センター HP


10.北里大学 

海洋生命科学部 海洋生命科学科

海洋生命科学研究科 海洋生命科学専攻

 

【魚類内分泌学、水産化学、神経行動学】光に対する魚の本能行動を内分泌系の情報伝達として捉える分子生物学的研究、魚類の増養殖に役立つ性成熟機構の解明、あるいは神経行動学の視点で、魚の食欲を解き明かす研究まで、研究のレベルの高さでも定評がある。

<研究者>

・高橋明義 (鉄人)→研究室HP(海洋分子生物学研究室)

・阿見彌典子(若手)→紹介ページ

<関係サイト>

海洋生命科学部 HP


おススメ

11.鹿児島大学 

理学部 生命化学科

理工学研究科 生命化学専攻

水産学部 水産学科、水産学研究科 水産学専攻

【魚病学・免疫、稚魚】黒潮の分岐点で亜熱帯と温帯の両水域にまたがるという地の利を生かした、魚病学や栄養生理学の研究等が活発。漁業現場の信頼も厚く、病気の魚が研究室に持ち込まれることも。鹿児島・佐賀・琉球大からなる連合大学院は水産学研究の拠点なので、さらに研究を深められる。

<研究者>

・池永隆徳(若手)→紹介ページ(生命化学科)

<関連サイト>

理学部 生命化学科 サイト

水産学部 HP


12.日本大学 

生物資源科学部 (1)海洋生物資源科学科、(2)獣医学科

(1)生物資源科学研究科 応用生命科学専攻、生物資源生産科学専攻

(2)獣医学研究科 獣医学専攻

【魚病学・免疫、内分泌】研究室の多彩さは全国の水産系学科の中でもトップクラス。魚の病気や海洋微生物が生産する生理活性物質研究、水族の生命現象を分子のレベルから研究する進化生物学研究などユニークな成果を上げている先生が揃っている。東京大から移った世界のウナギ博士、塚本勝巳先生のウナギ学研究室で学べる。また、獣医学科では、中西照幸先生のもと、獣医学科にしては珍しく魚の病気に関する基礎的な研究に取り組める。魚を扱える獣医は貴重な存在だ。

<研究者>

・(1)森司  (鉄人)→紹介ページ(海洋生物機能化学研究室)

・(1)塚本勝巳(達人)→紹介ページ(ウナギ学研究室)

・(1)杉田治男(達人)→研究室HP(増殖環境学研究室)

・(2)中西照幸 →研究室HP(魚病学/比較免疫学的研究室)

<関連サイト>

生物資源科学部 海洋生物資源科学科 HP

生物資源科学部 獣医学科 HP


13.福井県立大学 

海洋生物資源学部 海洋生物資源学科

生物資源学研究科 海洋生物資源学専攻

 

【増殖・養殖、ゲノム、免疫】全国の水産系学科の中では比較的新しく、熱心なスタッフが集まった。京都府の水産試験場との結びつきが強く、ヒラメやカレイの養殖稚魚に染色体異常が発生するしくみをバイオの技術を駆使して解明しようとする研究が盛んだ。世界でも有数の先進的な養殖施設や実験機材で思う存分学ぶことができる。

<研究者>

・青海忠久(達人)→研究室HP(水産資源生物学研究室)

<関係サイト>

海洋生物資源学部 HP


14.水産大学校 

生物生産学科

水産学研究科 水産資源管理利用学専攻


【増殖・養殖、魚病】下関にある修業4年の大学校。卒業生には大学とほぼ同等の資格が与えられ、他大学の大学院への入学も可能だ。エビ・カニ類の生体防御についてユニークな研究が行われているが、これらは食糧としてのほかに有用物質源としての期待も高い。新物質の発見に立ち合えるかも。

<関係サイト>

生物生産学科 サイト


15.宮崎大学 

農学部 (1)海洋生物環境学科、(2)応用生物科学科

農学研究科 農学専攻

 

【免疫、さんご礁生態系】魚の分子生物学的研究で地道な成果を上げているが、最近は魚類バイオの最前線である免疫学にも力を入れている。南国、宮崎の海をフィールドにした実習も充実している。

<研究者>

・(1)安田仁奈(若手)→紹介ページ

・(2)酒井正博 →紹介ページ

<関係サイト>

農学部 海洋生物環境学科 HP

農学部 応用生物科学科 HP


ユニークな大学

16.東海大学 

海洋学部 (1)海洋生物学科、(2)水産学科

海洋学研究科 水産学専攻

 

【行動学】何といっても村山司先生のイルカ研究が目玉。イルカの知能や行動生理の研究を行っているのは日本ではココだけ。学生にとっても魅力あふれる研究だ。また、田中彰先生はサメやエイの環境適応研究の第一人者。ゆくゆくは同大学の誇る海洋科学博物館の水族館でサメにお目にかかれるかもしれない。

<研究者>

・(1)村山司 (鉄人)→紹介ページ

・(2)秋山信彦(鉄人)→紹介ページ

<関係サイト>

海洋学部 海洋生物学科 HP

海洋学部 水産学科 生物生産学専攻 HP


17.近畿大学 

農学部 水産学科

農学研究科 水産学専攻

水産研究所

【マグロ養殖】水産界の1つの夢でもあった、卵から育てるクロマグロの養殖に成功!世界の注目を集める。いけすでマグロを飼うという発想がユニーク。立派な研究施設や養殖場を持ち、大学離れしたスケールの大きな研究ができる。水産学の最前線を実感できる。

<研究者>

・太田博巳(鉄人)→研究室HP(水産増殖学研究室)

・宮下盛 (鉄人) 

・村田修 (達人)(顧問)

<関係サイト>

農学部 水産学科 サイト

水産研究所 HP


18. 東京農業大学 

生物産業学部 アクアバイオ学科

生物産業学研究科 アクアバイオ学専攻

 

【増殖・養殖、魚病学】全国の水産系学科の中で比較的新しく、若く熱心な教員がそろっている。オホーツク海に隣接するキャンパスと臨海研究センターや関連施設で、充実した実験・実習ができる。狭い学問領域にこだわらず、生理学、魚病学、遺伝学、さらには生態学までを複合的に取り入れ、自然の力を上手に活用した視点で、増養殖技術に関する教育・研究が注目される。

<研究者>

・千葉晋(鉄人)→研究室HP(水産増殖学研究室)

・松原創(若手)→研究室HP(水圏生産科学研究室)

<関係サイト>

生物産業学部 アクアバイオ学科 サイト


19.愛媛大学 

農学部 生物資源学科

農学研究科 生物資源学専攻

南予水産研究センター

【増殖・養殖、水産生物環境学】水産養殖生産額日本一を誇る愛媛県で、水産業を持続可能なものにするための環境にやさしい養殖業の技術開発など、水産生物の利用と保全の両立を果たす研究について学べる。ニホンウナギを用いた精子制御形成、卵形成の制御機構を分子レベルで解析する研究も行える。

<研究者>

・松原孝博(鉄人)→研究室HP(南予水産研究センター 生命科学部門)

・三浦猛 (鉄人)→研究室HP(水族繁殖生理学研究室)

<関係サイト>

農学部 生物資源学科 生物環境保全学専門コース  HP

南予水産研究センター HP


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