環境・バイオの最前線

水圏動物学の研究者

生殖幹細胞を用いた“借り腹養殖”をめざす

吉崎悟朗

東京海洋大学 海洋科学部 海洋生物資源学科/海洋科学技術研究科 海洋生命科学専攻

【発生】親魚の飼育が難しい大型魚を、近縁の小型魚のお腹を借りて増やす“借り腹養殖”というユニークな研究をしている。その第一歩としてヤマメにニジマスの精子を作らせることに成功した。吉崎先生は生殖細胞の異種間移植による代理親魚養殖技術を開発したのだ。マグロの卵を大衆魚のアジやサバに産ませてマグロを育てることをもくろみ、その技術にも取り組む。研究テーマは、魚類の卵や精子のおおもとの細胞である生殖幹細胞の発生学。絶滅が危惧されている魚類の保護にも役立つ研究である。

吉崎研究室 HP

 

東大の“トラフグブランド”実現へ! 

菊池潔 

東京大学 農学部 応用生命科学課程 水圏生物科学専修/農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻 水産増養殖学講座/農学生命科学研究科 附属水産実験所

【水産化学】トラフグのオスとメスを判別するのは、性染色体のたった一塩基分だけの違いだと発見。食材としての白子の安定供給と野生フグの保護という水産業への貢献が期待される。2012年、東京大で作られたすべての子どもがオスとなるトラフグ精子の企業向けの有償分与が、いよいよ始まった。レベルの高い基礎研究が、応用成果に結びつけることに挑戦し続けている。

水圏生物科学専攻 水産増養殖学研究室 サイト

附属水産実験所 HP 

 

イルカの日を夢見て

村山司

東海大学 海洋学部 海洋生物学科(/海洋学研究科 水産学専攻)

 【行動学 動物心理学】高校1年のとき、人間とイルカが自由に会話をして友情を育てる「イルカの日」という映画を見たのが今日の研究の原点。東京大大学院生時代は、鴨川シーワールドで飼育されているシロイルカ(推定12歳)を相手に、イルカの考える能力の実験を続けた結果、人間と同様に三段論法の推理ができることを明らかにした。イルカの思考能力を科学的に検証する研究は数少なく、研究結果を発表した国際学会では大きな反響を呼んだ。現在日本でイルカの行動研究ができるのはこの研究室が唯一とあって、海洋学部は受験生の人気も抜群。研究に忙しい日々、北の地にオーロラと野生のシロイルカを見に行くのが夢だそうだ。

海洋学部 海洋生物学科 村山司 紹介ページ

 

ハーバードから来た才媛ティスト、東大へ

マーシー ワイルダー

東京大学 農学生命科学研究科 農学国際専攻、国際農林水産業研究センター

【エビの生殖】ハーバード大学在学中に、学生オーケストラのメンバーとして演奏旅行で来日したのがきっかけで、卒業後は文部省(当時)の国費留学生として東京大学大学院に留学。専攻の化学を生かせる分野として水産学を選び、ベトナム南部に生息する大型の淡水エビのオニテナガエビの生殖ホルモン研究と、現地での養殖指導に取り組んだ。現地ではエビは貴重な輸出品で、特に卵を持ったメスは非常に高い値段がつく。そのため、養殖したメスから成熟した卵を取るためのホルモン研究は、国際援助の点からも期待が大きい。こういった問題を視野に入れ、基礎および応用的研究を行っている。主にエビ類の成熟・脱皮・浸透圧調節に関する生理学的研究、親エビの成熟制御技術の開発、および陸上循環式養殖システムの開発を行っている。明るく思いやりのある人柄で誰からも慕われ、研究室には「マーシー効果」という言葉があるほど。2001年には、「日本女性科学者の会奨励賞」を受賞。2004年から東京大の連携教員(准教授)。

農学生命科学研究科 農学国際専攻 Marcy N. Wilder 紹介ページ

 

なぜ襲う?共食い行動の謎に迫る

阪倉良孝

長崎大学 水産学部 水産学科 海洋資源動態科学講座/水産・環境科学総合研究科 水産学専攻

【攻撃行動】水産系の魚類の実験行動学的な研究は数少ない中、養殖のブリの稚魚同士での共食いや攻撃行動に着目。フィールド調査を行ってみると、天然ブリ稚魚も共食いをしていることを発見。ブリの共食いは人工的な飼育環境下の異常行動ではなく、普遍的に見られる現象だと突き止めた。共食い攻撃するブリのいじめっ子は、群れの中の体の小さい個体を排除することで、群れを構成する個体の体の大きさを揃え、外敵に遭遇したときの「目くらまし効果」に役立てているのだろうと推論している。また、脊椎動物で唯一自家受精をするため、受精卵はすべてクローンという不思議な性質を持つマングローブ・キリフィッシュに注目し、遺伝的な素質が同じ場合に生育環境が行動に与える影響を研究している。若手教授の中でも貫禄があり、学生からも研究者仲間からも信頼が厚い。

水産増殖学研究室 HP

阪倉良孝 HP


地球温暖化は魚にどんな影響を与える? 

石松惇

長崎大学 水産学部 水産学科/水産・環境科学総合研究科 水産学専攻/水産・環境科学総合研究科 附属環東シナ海環境資源研究センター

【呼吸】魚がエラから酸素を取り入れる機能を生理学的に研究。浸透圧の変化や低酸素、二酸化炭素濃度の上昇によって、呼吸が大きな影響を受けることから、地球温暖化、赤潮や酸性水などの環境汚染の魚への影響にも研究の対象を広げている。附属環東シナ海環境資源研究センターに改組される前の海洋資源教育研究センターの活性化にも尽力し、「長崎大水産はこの先生でもっている」といわれるほど。

石松研究室 HP

 

魚の病気博士

良永知義

東京大学 農学部 応用生命科学課程 水圏生物科学専修/農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻 水圏生産環境科学講座

【魚病、病原生物学】80年代半ば以降にアサリが日本各地で激減した原因を、アサリのパーキンサス属原虫と仮説を立て病害性に関する研究を続けた。あるいは海水魚の白点病の発生メカニズムおよび化学療法に関する研究、さらには、クロマグロやカンパチ養殖において、住血吸虫の寄生による死亡が問題になっているが、その住血吸虫類の薬剤治療等々、魚の病気根絶に取り組む、文字通り魚の病気博士である。

魚病学研究室 HP

 

フグ毒博士

荒川修

長崎大学 水産学部 水産学科 海洋物質科学講座/水産・環境科学総合研究科 水産学専攻

【フグ毒】水棲生物における天然低分子毒の分布・移行経路・代謝等に関する研究を続ける。「フグ類が保有する毒の分布、蓄積機構、および生理機能に関する研究」で、平成24年度「日本水産学会水産学進歩賞」を受賞。2004年、フグの無毒化にも成功し、話題を呼んだ。

水産食品衛生学研究室 HP

 

ウナギの精子・卵を作ろう

太田博巳

近畿大学 農学部 水産学科(/農学研究科 水産学専攻) 

【生殖】ウナギの稚魚を作る種苗生産研究を行う。ウナギは飼育環境下で成熟しないので、養殖したオスメスのウナギに成熟を誘起するホルモンを3ヵ月ほど投与、受精卵を獲得。受精卵は2日ほどでふ化し、その後6~10ヵ月間飼育するとシラスウナギになる。先生は、どのように成熟させれば、品質の良い精子と卵を大量に作れるかをテーマに研究する。

水産増殖学研究室 HP

 

なぜコイやフナは海水で生きられないの?

金子豊二

東京大学 農学部 応用生命科学課程 水圏生物科学専修/農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻 水圏生命科学講座

【浸透圧調節】なぜサンマやイワシは淡水で生きられず、コイやフナは海水に適応できないのか?なぜ汽水域に生息する魚は川でも海でも平気なのか?魚類の性はどのように決まるのか? こうした疑問を個体レベルから細胞・遺伝子レベルの手法を駆使して解明。水圏における生命現象の理解を深めることをめざしている。福島原発事故では、海水魚のセシウムの取り込みと排出について調べた。

水族生理学研究室 HP

 

カレイ・ヒラメの目の偏りの遺伝子を発見

鈴木徹

東北大学 農学部 生物生産科学科/農学研究科 生物産業創成科学専攻 生物産業情報科学講座

【発生】左ヒラメ・右カレイという言葉を聞いたことはあるだろう。ヒラメもカレイも稚魚のうちは両側に目があるが、20~40日して片側に目が移動する。鈴木先生はこの目の偏りを決める遺伝子を発見した。このような魚類の不思議な発生現象を、分子や遺伝子レベルで解き明かす。さらに、水棲生物の初期発生、環境適応や多様性を制御している分子ネットワークを明らかにする。それらを解明することは、養殖魚の安定的な生産につながるのだ。趣味は登山、20代はロッククライマーだったという。

生物生産情報システム学分野 HP

 

ギョ!ウロコから人間の目を作る

都木靖彰

北海道大学 水産学部 増殖生命科学科/水産科学院 海洋応用生命科学専攻 増殖生物学講座

【水産学一般】魚のウロコや骨、カニの殻など、これまで廃棄していた水産廃棄物の組織の持つ特徴や機能を解明し、産業応用に結びつける研究を展開してきた。現在特に力を入れているのはウロコの研究。最終目標はウロコから再生医療用のコラーゲン性人工基質(人工骨や人工角膜として利用)を作ることだ。「ウロコから眼を作る。えっ、そんなことできるの?と思った方、ぜひ一度研究室に話を聞きに来てください」と都木先生は言う。

増殖生命科学科 増殖生物学分野 都木靖彰 紹介ページ

 

魚の性転換に取り組む

松山倫也

九州大学 農学部 生物資源環境学科 動物生産科学コース/生物資源環境科学府 資源生物科学専攻 動物・海洋生物資源学教育コース

【性分化】ベラ科のホシササノハベラをモデルとして、魚の性転換機構の遺伝子レベルの解析に取り組んでいる。メスのホシササノハベラがオスに性転換すること、性転換したオスのみを水槽で飼育すると、その中の一尾が再びメスに性転換することを見出した。性転換は脊椎動物の中では1種の両生類を除き魚類にしかみられない現象だが、その生理・分子機構は明らかではない。松山先生は、その機構解明に取り組んでいる。

海洋生物学研究分野 HP

 

魚はどうして泳ぐ?

植松一眞

広島大学 生物生産学部 生物生産学科 水産生物科学コース/生物圏科学研究科 生物資源科学専攻

【動物生理・行動】キンギョ・ウナギ・クサフグ・アユなどを実験材料として、脳と行動についての研究を行う。現在の研究テーマでユニークなのは、魚類の泳ぐ仕組みの研究。魚のほとんどは体側筋の波状運動により泳ぐ。その泳ぎ方を決める魚類の遊泳中枢、脊髄内ニューロンに関する組織化学的研究を行っている。

水族生理学研究室 HP

 

緑色光がカレイの成長促す

高橋明義

北里大学 海洋生命科学部 海洋生命科学科 増殖生物学講座(/海洋生命科学研究科 海洋生命科学専攻)

【水産化学】「カレイの王様」と呼ばれるマツカワの稚魚が、緑色の光で早く成長することを初めて発見した。発光ダイオードや蛍光灯のフィルター透過光だけでなく、屋内飼育水槽に緑フィルターを被せるだけでもこの効果が得られることがわかった。どうやら特定波長光が食欲に関わる脳ホルモンの産生を刺激し、これに応じて成長が促進されるらしい。この不思議な現象の魚類での普遍性と応用、魚類の色彩感覚―神経内分泌―食欲の三者の関連を調べている。

海洋分子生物学研究室 HP 

 

シラウオはなぜ透明なままなのか?

田川正朋

京都大学 農学部 資源生物科学科/農学研究科 応用生物科学専攻 海洋生物資源学講座

【発生・生殖】例えば、シラウオは成魚でも体が透明だ。なぜシラウオは変態しないのか、内分泌系を中心に検討を行う。ヒラメの左右非対称がなぜ起こるのか。海産魚類の種苗生産現場では、卵黄吸収が完了して摂餌を開始するころになると多量の死亡が生じる現象が問題となっている。それがなぜ起こるのか。このように魚類の発生に伴って個体レベルで起こる「面白い」現象を、実験生物学的に明らかにする。インド・太平洋産魚類の分類と系統発生ならびに魚類の“自然史”的研究も。

海洋生物増殖学分野 HP

 

ヒラメの免疫系の遺伝子を次々に発見

廣野育生

東京海洋大学 海洋科学部 海洋生物資源学科/海洋科学技術研究科 海洋生命科学専攻 

【魚病学・免疫】ヒラメの免疫系をターゲットに、発現している遺伝子の配列を比べて、次々に免疫系の遺伝子を見つけている。また、病原細菌の毒素の遺伝子の構造を解析した研究では、学会奨励賞を受賞。

ゲノム科学研究室 HP

 

クローンドジョウを発見

荒井克俊

北海道大学 水産学部 増殖生命科学科/水産科学院 海洋応用生命科学専攻 育種生物学講座

【発生】サケやマスの胚の操作を通して品種改良をめざす。ドジョウのクローン生殖など特殊な生殖様式も研究。実験室にこもるよりもフィールド調査が好きで、かつて女満別町で調査中に偶然DNAが母親と同じクローンドジョウを発見し、話題になった。同様の研究を、チョウザメ類でも行っている。

増殖生命科学科 育種生物学分野 荒井克俊 紹介ページ

 

サケの体内時計のナゾを解く

飯郷雅之

宇都宮大学 農学部 応用生命化学科(/農学研究科 生物生産科学専攻)

【日周リズム】光によって増減するホルモンのメラトニンによって引き起こされる体内時計(日周リズム)と、遊泳や摂餌などの行動の関係について研究。また魚類が日の長さの変化を感じる「季節センサー」を発見!サケ科魚類は秋に川を遡って(遡上)産卵するが、季節の変化を体のどこで感知して、繁殖を制御しているかは謎に包まれていたのだ。

応用生命化学科 生物有機化学 飯郷雅之 紹介ページ

 

地球温暖化と魚類の関係

ストルスマン カルロス アウグスト

東京海洋大学 海洋科学部 海洋生物資源学科/海洋科学技術研究科 海洋生命科学専攻 

【生殖】研究テーマは、地球温暖化による水温の上昇は魚類の再生産にどんな影響を与えるのか。絶滅危惧種を未来に残すための生殖細胞移植、配偶子・受精卵の冷凍保存の研究。さらには、イセエビ幼生の栄養摂取を解明し適切な餌料系列を見出す研究も進める。

集団生物学研究室 HP

 

漁業に貢献する進化生態学

千葉晋

東京農業大学 生物産業学部 アクアバイオ学科(/生物産業学研究科 アクアバイオ学専攻)

【進化生態学】進化から考える水産資源(魚介類)の管理に関心。自然生態系の一部としての「漁業」を考える。知床・網走の海岸の生物相や、貝類・甲殻類の生物史や行動などを調査し、進化生態学の視点から持続的な漁業への貢献をめざす。

イセエビの人工繁殖法

濱崎活幸

東京海洋大学 海洋科学部 海洋生物資源学科/海洋科学技術研究科 海洋生命科学専攻 

【海産魚介類の人工繁殖】イセエビ、ケガニ、ヤシガニなど甲殻類幼生の行動特性を解明し、安定した種苗生産手法の開発に取り組む。また、イセエビの人工繁殖手法の確立もめざす。水産資源の希少種の保護増殖と維持保全を進める。

増殖生態学研究室 HP

 

環境にやさしい養殖技術の開発

松原孝博

愛媛大学 農学部 生物資源学科 生物環境保全学専門教育コース(/農学研究科 生物資源学専攻)/南予水産研究センター

【水産生物環境学】愛媛県は水産養殖生産額日本一を誇る。この水産業を持続可能なものとするために、環境にやさしい漁業や養殖業の技術開発や、野生資源の保護を目的とした養殖への転換など、水産生物の利用と保全の両立を果たす研究を行う。

水産生物環境学研究室(南予水産研究センター 生命科学部門) HP

 

四万十川に棲息する準絶滅危惧種を追う

三浦猛

愛媛大学 農学部 生物資源学科 生物環境保全学専門教育コース(/農学研究科 生物資源学専攻)/南予水産研究センター 

【種苗生産技術】ニホンウナギを用いた精子や卵形成の制御機構を分子レベルで解析する。四万十川に棲息する準絶滅危惧種、アカメの人工繁殖の研究も行う。海外では水環境汚染が水棲生物に悪影響を及ぼすことが懸念される、メコン川流域を中心としたフィールド調査・解析を行っている。

水族繁殖生理学研究室 HP

 

遺伝子組み換えサケで進化生物学の研究を

森司

日本大学 生物資源科学部 海洋生物資源科学科(/生物資源科学研究科 応用生命科学専攻)

【進化生物学】生物の様々な生命現象を分子のレベルから研究する。主に遺伝子組換えサケを用いた成長や老化や、捕食者(サンショウウオやヤゴ)に対するオタマジャクシの捕食者適応、耐熱性深海生物であるマリアナゴカイの研究を行う。

海洋生物資源科学科 海洋生物機能化学研究室(分子生物学グループ)紹介欄

  

水槽養殖での技術向上

秋山信彦

東海大学 海洋学部 水産学科 生物生産学専攻(/海洋学研究科 水産学専攻)

【養殖】ミヤコタナゴの産卵の開始と終了要因の解明、アオリイカ、アコヤガイやアサリなどの二枚貝の飼料開発、クロマグロの陸上養殖に関する研究、両側回遊性のエビ類幼生の塩分と水温に対する応答等々、水槽での養殖に役立てる技術の向上と飼料の開発に関する研究を行っている。好きな場所は山と川、昆虫と淡水魚マニアで、おそらくは海洋学部の中で一番海が好きでない「不謹慎な教員」。春から夏は山で昆虫採集、秋から冬は川で魚採り、それ以外は水槽の魚を眺めている時が至福のひと時、と言う。

水産学科 生物生産学専攻 秋山信彦 紹介ページ

 

餌料プランクトン=ワムシのすべて

萩原篤志

長崎大学 水産学部 水産学科 海洋生物機能科学講座/水産・環境科学総合研究科 水産学専攻

【応用プランクトン学】マハタの養殖に必要な餌料用動物プランクトン、ワムシの育種・保存・開発を行う。そのためにワムシの遺伝子解析と外来遺伝子導入法の開発を行い、海産魚のベビーフードとしてのワムシの耐久卵量産技術の開発と商品化を行っている。と同時に、ワムシの健康状態を知るための培養診断技術の開発まで行っている。

水産増殖学研究室 HP

 

マグロの代理親魚技術

竹内裕

東京海洋大学 海洋科学技術研究科 海洋生命科学専攻/先端科学技術研究センター

【発生】海のダイヤと呼ばれるクロマグロは、乱獲による絶滅が心配されている。竹内先生は、マグロの親戚“サバ”に、クロマグロの卵を産ませる世界初の研究に挑戦中だ。海産魚における発生工学の確立と代理親魚技術の水産応用に大きく貢献し,今後の発展が期待される。

先端科学技術研究センター 竹内研究室 サイト 

竹内先生所属の吉崎研究室 HP 

 

旅するウナギの研究

黒木真理

東京大学 農学部 応用生命科学課程 水圏生物科学専修/農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻 水圏生産環境科学講座

【魚類生態学】海と川を行き来する回遊魚の生態と進化に関する研究者。例えば内耳にある耳石(じせき)という炭酸カルシウムの結晶を分析して、個体の齢や生活史履歴を推定する。また、分子系統関係や地史の知見を総合して、回遊行動の多様性と進化過程を明らかにする。ウナギはなぜ何千キロも離れた海の彼方へ産卵に向かうのか?サケの母川回帰や生活史の多型はどのように進化してきたのか?これらの謎を解き明かすために、熱帯の海や温帯・亜寒帯の川で生態調査を行う。

農学生命科学研究科 水産資源学研究室 サイト

 

異常魚の診断法で国際的に評価

芳賀穣

東京海洋大学 海洋科学部 海洋生物資源学科/海洋科学技術研究科 海洋生命科学専攻 

【種苗生産学】ビタミンA過剰によりヒラメの骨格異常と色素異常の両方が起こることに注目し研究。研究対象をゼブラフィッシュなどにも広げ、異常魚の早期診断法の開発にも着手している。これらの成果は国際的にも評価されている。

水族栄養学研究室 HP

 

魚のお医者さん

笠井久会

北海道大学 水産学部 増殖生命科学科/水産科学院 海洋応用生命科学専攻 海洋生物工学講座

【魚病学、食品衛生学、ウイルス】日本でも有数の鮭の水揚げを誇る港町、北海道標津町出身。養殖場で病気が発生するとすぐに現場に駆けつけて、病気を診断したり、原因を調べ対処したりする「魚のお医者さん」でもあり、魚病を防ぐための研究、例えばワクチンの開発なども行っている。

北海道大学産学連携本部 笠井久会 紹介ページ

 

北海道の養殖技術

松原創

東京農業大学 生物産業学部 アクアバイオ学科(/生物産業学研究科 アクアバイオ学専攻)

【生殖】養殖業者の孫という松原先生は、現場のニーズに応えられる新たな水圏生物産業技術の開発を試みる。オホーツク海産の未利用貝(ビノス貝)の生鮮食品化技術、大量生産をめざしたタラバガニ属卵の孵化誘発技術、トラフグ雄のオーガニック養殖技術などを開発研究を行っている。

アクアバイテク分野 水圏生産科学研究室 サイト

 

魚の食欲を解き明かす

阿見彌典子

北里大学 海洋生命科学部 海洋生命科学科 増殖生物学講座(/海洋生命科学研究科 海洋生命科学専攻)

【神経行動学】研究テーマは、魚類における体色調節ホルモンの脳内ネットワーク、脳ホルモンからみた魚類における摂食調節機構の多様性。お願いすれば、出前授業も可能で、「魚の食欲を解き明かす」として魚の食欲システムについて教えてくれるそうだ。

海洋生命科学科 阿見彌典子 紹介ページ

 

守れ、サンゴ礁生態系

安田仁奈

宮崎大学 農学部 海洋生物環境学科(/農学研究科 農学専攻 海洋生物環境科学コース)

【海洋分子生態学】淡水シジミを研究。近年問題化してきた、在来種を脅かす外来種タイワンシジミ大量発生の謎に迫る。また、サンゴ礁生態系を守るために、サンゴ礁の敵、オニヒトデの大量発生についても研究している。第4回「資生堂 女性研究者サイエンスグラント」受賞。

農学部 海洋生物環境学科 安田仁奈 紹介ページ

 

魚の中枢神経系の立体構造解析

池永隆徳

鹿児島大学 理学部 生命化学科/理工学研究科 生命化学専攻

【神経生物学】魚類における摂餌行動開発に関わる神経機構の解析、X線マイクロCT法を用いた中枢神経系の立体構造の解析をする。

生命化学専攻 池永隆徳 紹介ページ

 

世界的ウナギ博士

塚本勝巳

日本大学 生物資源科学部 海洋生物資源科学科(/生物資源科学研究科 生物資源生産科学専攻)

【ウナギ学】東京大・大気海洋研究所時代、「ウナギの産卵場調査航海」に乗り出し、度重なる失敗にもめげず、「海山仮説」や「新月仮説」や「塩分フロント仮説」などで絞り込み、ついに世界で初めて、親ウナギの捕獲と天然卵の採取という金字塔を樹立!アユやサクラマスなど海と川を行き来する回遊魚の生態を幅広く研究していたが、ふと気がついたらウナギにどっぷりはまっていたという。ウナギの人工種苗生産技術にも携わっている。

海洋生物資源科学科 ウナギ学研究室 紹介欄

 

完全養殖“近大マグロ”の挑戦

宮下盛

近畿大学 水産研究所 所長

【クロマグロの養殖】世界で唯一、クロマグロの完全養殖に成功した近畿大水産研究所の現所長を務める。1970年に水産庁が立ち上げたマグロ増養殖に関する初めての研究プロジェクト「マグロ類養殖技術開発企業化試験」に当初から参画した。(農学部 水産学科 農学研究科 水産学専攻 担当)

水産増殖学研究室 HP

 

魚病の重鎮

岡本信明

東京海洋大学 学長

【魚病】DNAウイルスが引き起こす「リンホシスチス病」に抵抗性を持つヒラメの識別方法を確立し、特許を取得した。この発明で、ヒラメ養殖での同病による経済損失を回避し、水産業発展にも貢献した。今度は学長として、大学改革に意欲を燃やす。その一方科学技術振興機構と国際協力機構(JICA)の『次世代の食糧安全保障のための養殖技術研究開発』プロジェクトで、タイと日本の二人三脚で養殖業の未来を切り開け!と岡本先生、まだ研究代表者として活躍中である。先生は、金魚を上手に飼う金魚博士でもある。そもそもは日本一の金魚をつくりたくて、名古屋から上京し、東京水産大学(当時)に入学したが、趣味だと言われて相手にしてもらえなかったそうだ。

学長の窓 ページ

 

今も役立つ増養殖技術開発の第一人者

青海忠久

福井県立大学 海洋生物資源学部 海洋生物資源学科(/生物資源学研究科 海洋生物資源学専攻) 

【増殖・養殖】増養殖の現場に近い、役に立つ技術開発の第一人者。ロシアのタンカー・ナホトカ号の重油流出事故では、汚染海水中でふ化したヒラメの稚魚に高い率で奇形が発生するという実験結果を発表し、注目を集めた。ヒラメやカレイを人工種苗生産すると、養殖しても低価格になる裏と表を間違ったような体色のおかしな魚が大量に出来てくることがある。現在、この体色異常のしくみと防除方法を研究している。

水産資源生物学研究室 HP

 

宇宙基地で利用できる閉鎖循環式養殖システムをめざす

竹内俊郎

東京海洋大学 海洋科学部 海洋生物資源学科/海洋科学技術研究科 海洋生命科学専攻 

【水産養殖学】ブリの仔稚魚はエサにDHA(ドコサヘキサエン酸)を含んでいないと、本来の姿である群れを作らなくなるという。そのようなエサの成分が行動に及ぼす影響を研究する。またビルの中で高級魚を生産するような閉鎖循環式の養殖システムの開発している。それによって、飼育管理が容易になり、病気の発生を防いだりできるのだ。将来的には、月や火星などの宇宙基地での魚の供給ができるようにと考えている。

海洋科学部 海洋生物資源学科 水族養殖学研究室 サイト

 

魚の腸内細菌の研究

杉田治男

日本大学 生物資源科学部 海洋生物資源科学科(/生物資源科学研究科 生物資源生産科学専攻)

【海洋微生物学】魚の腸には細菌が棲む。水産増養殖場における環境微生物や魚介類の腸内細菌に関する研究を行うことによって、環境にやさしい増養殖システムの開発を目指している。海洋微生物が生産する生理活性物質は新たな医薬品としても注目されている一方で、未知の部分が多く、その全貌は未だ解明されていない。「あなたも海洋の最後のロマン『微生物狩り』に挑戦してみませんか」と杉田先生は誘う。趣味は旅行と「実験に使えるサイズの魚が掛かれば最高」の魚釣りという。

増殖環境学研究室 HP

 

近大マグロの重鎮

村田修

近畿大学 水産研究所 白浜実験場、富山実験場

【水産増殖学】クロマグロの完全養殖に成功した近畿大水産研究所の前所長。マダイなどの海水魚類の品種改良および新魚種開発を研究テーマとする。

水産増殖学研究室 HP

 

魚類寄生虫の大家

小川和夫

目黒寄生虫館 館長

【魚病】魚類寄生虫学の専門家。平成23年までは東京大で研究を続け、現在は、寄生虫学を専門に扱った世界で唯一の研究博物館「目黒寄生虫館」の館長。クロマグロの種苗生産過程で発生する寄生虫病の制御について研究を続ける。

目黒寄生虫館 HP

 

水圏動物学を知る

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