海洋工学

村井基彦先生おすすめ本

横浜国立大学 理工学部 

建築都市・環境系学科 海洋空間のシステムデザイン

 

『大規模浮体構造物―新たな海上経済空間の創出』

マリンフロート推進機構(鹿島出版会)

広大な海上空間を活かす浮体構造物。海の上に道をつくる。空港をつくる。発電所をつくる。森をつくる。レジャー施設をつくる…。海上は人が暮らす第二の空間です。浮体構造物の技術は着々と進化し、海に浮かぶ新しい施設の創造が始まっています。本書は浮体構造物に関する研究成果を主に技術的な観点から紹介。浮体構造物の可能性が感じられます。


まずは、“海洋空間を利用する”というイメージが広がればうれしいです。技術的なところの多くは大学・大学院そして世界中の研究者が勉強・研究していくところです。海洋工学はこれからの分野。まだまだ研究が欠かせません。本書で取り上げられたトピックの中で、一つでも、「自分が考えた方が面白いかも」と思ったら、海洋工学に来てください。


村井研究室では、海洋工学の中でも、大型の浮体式構造物の波の中での運動についての研究をしています。海洋開発は時に国の政策と大きく関わります。大きなプロジェクトが動くときには、企業や国の研究機関だけでなく、大学の研究室も一緒になってプロジェクトを実践していきます。それは、大学生や大学院生の研究(実験したり、計算したり、解析したり)が、いきなり大きなプロジェクトに対して直接的に貢献できる可能性を持っているということです。

 

『日本の海洋資源 -なぜ、世界が目をつけるのか』

佐々木剛(祥伝社新書)

日本は、実は、水産資源や海洋エネルギー・鉱物資源など、豊富な資源を備えた「海洋資源大国」。本書は、日本が持っていると考えられる資産としての海について紹介しています。海洋エネルギーに関しては、ここ4~5年の最新の動向にも触れています。技術的な話や工学的な視点は多くはありませんが、社会とのつながりなどもデータから見えてきて、誰にでも読みやすい視点だと思います。


この本を読んで、海は、日本人の普通の生活の中にいろいろな形で関わっていることに気づくのではないでしょうか。「海に関わることを大学で学びたい」という高校生には、興味を持てそうな具体的なテーマを探すきっかけになると思います。もちろん、個人的には「海洋エネルギー!!」と言っていただけるとうれしいですが、本で紹介されていることを実践するには、「どうやってやるか」の工学が縁の下でチャレンジしていることを読み取っていただければもっとうれしいです。


研究室で研究している大型の浮体式構造物の、基盤となっている学問は造船工学です。本書の中では造船工学についても取り上げられていますが、実は、造船工学まで触れられている本は案外と少ないです。海洋工学は今まで着目されてこなかった海のポテンシャルを引き出す工学です。本書で紹介されている海洋再生可能エネルギーについては、さらなる研究が必要ですし、また、どれにも浮体技術は欠かせない技術です。研究室での研究などを通して浮体運動をしっかり学べば、大学生でも大学院生でも即戦力の人材になれるでしょう。

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『日本は世界一の環境エネルギー大国』

平沼光(講談社+α新書)

変化に富んだ日本の自然環境がもたらす様々な再生可能エネルギー、世界に先駆けて開発が進む日本近海に眠る非在来型天然ガスのメタンハイドレート、日本の英知を駆使して今まさに足を踏み出さんとしている宇宙エネルギー開発。「資源に乏しい……」といわれてきた日本ですが、実は自国の中に豊富な資源を抱えているのです。


古来より足元にあるものを無駄なく上手に使って生きてきた、日本人の資源との向き合い方なども通して、「資源に乏しくない日本」を紹介しています。まずは、「日本は資源に乏しいから・・・」という固定観念を捨てて欲しいと思います。確かに、日本の排他的経済水域は、今は取り出すことは簡単ではないかもしれませんが、エネルギー・資源の宝庫です。「使ってこそ」エネルギー・資源です。自分たちに与えられている環境を十分に活かすことの重要性も気づいてくれるとうれしいです。


日本の排他的経済水域を活用するのに、海洋工学は不可欠です。日本の海は潜在的にエネルギーも資源も非常に恵まれています。ただ、それに取り組む人の数が決定的に足りていません。海洋工学を通して、「誰かがやる」のではなく「私がやる」と言う人が増えていってくれると、本に書かれた「やれば出来る」が一つ一つ実現していきます。

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『坂の上の雲』

司馬遼太郎(文春文庫)

第7巻での日露開戦のくだりで、造船や浮体工学での基本のイロハになる専門用語が出てきます。大学1年生の授業を通してその専門用語をきっちり学べば、より理解が進むでしょう。

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『海図 面白くてためになる海の地理本』

ロム・インターナショナル(KAWADE夢文庫)

海と社会についての「へぇ」がいっぱい紹介されています。海に囲まれた国の住人として、海を利用する為には、文も理も関係なく、当たり前に海について知っているとよいなと思います。

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『船舶一問一答』

日本船舶海洋工学会(編集)(海事プレス社)

海洋工学の基本となっている船舶海洋工学に関して、一般の人に船の魅力を知ってもらうため編集されています。代表的な原理から少しマニアックな言葉の定義など、一問一答形式にまとめてみました。技術的な話だけでなく、船舶海洋工学を学べる大学も紹介しています。船舶海洋工学を学べる大学が意外と少ない、だからこそ、そこで学べば貴重な存在になれるのです。


海の仕事というと、何を思い浮かべますか。本書では、海の仕事とそこへのキャリアパスが少し紹介されています。海の仕事を改めて見てみると、島国日本の生活の根幹を支えているのが海を渡る貿易で、そのほとんどを船が担っているのだと気づくでしょう。


まずは先入観を持たずに、それぞれで“面白そう”と思うところのつまみ食いから始めてください。聞いたこともない言葉や思いもよらない質問に出会い、新しい視点を持てれば、それは船舶工学や海洋工学の入り口になります。


本の中では浮かぶモノの理論的な原理や仕組みなどが書かれています。その原理や仕組みは、船や浮体構造物の用途や大きさによって変わります。原理を応用できるようになっていくのが大学の勉強の柱ですし、その後の大学院などの研究室での研究はその実践の場になります。意外と奥が深い学問です。

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『海洋エネルギー利用技術(第2版) 発電のしくみとその事例』

近藤俶郎、経塚雄策、永田修一、池上康之ほか(森北出版)

海洋エネルギーの第一線の研究者である著者陣が、多くの図表を用いて平易に解説した技術的な入門書。潮汐、波浪をはじめとする各種エネルギーについて、体系的に網羅しています。海洋深層水利用、スマートグリッド/マイクログリッドといった注目の技術も。また、アジアを中心に建設が進む大型潮汐発電所、先駆的な欧州の実証フィールド、沖縄県の海洋温度差発電実証プロジェクトなど、国内外の最新の動向も紹介しています。技術者向けであり、値段は高いですが、最新動向がわかる数少ない本です。

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海洋工学を知る

海はエネルギーと産業の宝庫 ~人類の課題に海洋工学で挑む 

<連載第1回>21世紀は海洋の時代~海のエネルギー利用で日本も資源大国に

村井基彦 横浜国立大学

 

海洋工学が学べる大学・研究者