環境・バイオの最前線

発酵学・有用微生物学

健康食品の陰に微生物あり

  

人間は様々な食料を食べて栄養分を補っているが、資源としても少なく、摂取しにくい栄養分がある。例えばマーガリンとして食べているリノール酸などの脂肪酸だ。それは、血圧や睡眠や免疫系などの調節になくてはならないプロスタグランジンなどのホルモンのもとになる物質だが、植物からしか取れない。それをカビを使って作ろうというのだ。清水昌先生(現・京都学園大、京都大名誉教授)は、植物のDNAを分離しカビに入れて脂肪酸を作り、さらには京都大のキャンパスの中で、脂肪酸を作る新たなタイプのカビを見つけた。また、母乳に入っている脂肪酸であるアラキドン酸を作ることにも成功し、粉ミルクをより母乳に近づける道も開いた。昨今では、コエンザイムQ10、 イミダゾールジペプチド、オルニチン、セサミン、PQQ等が発酵生産され、栄養補助剤として注目されている。昨今の健康食品ブームは、まさにこの分野が支えているともいえるのだ。

 

発酵学・有用微生物学

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