計算科学、コンピュータシミュレーション

未来をひらくスーパーコンピュータ ~「京」からその先へ

平尾公彦先生 理化学研究所 計算科学研究機構 機構長

スーパーコンピュータ「京」がわかる本
『絵でわかるスーパーコンピュータ』
姫野龍太郎(講談社)
実験、観察が難しい課題をコンピュータ上で再現し、最適な解決策を導く、コンピュータシミュレーション。現在、その最先端にあるスーパーコンピュータ「京」は、創薬、地震・津波、気象、宇宙、ものづくり、材料の開発など幅広い分野の研究で活用されています。本書は、「京」の開発当事者が、「京」で何ができるか、どのように使われていくのか解説した1冊。

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第1回 スーパーコンピュータ「京」のすごさとは?

 ~スパコン「京」は今でも世界最先端

平尾公彦先生
平尾公彦先生

スーパーコンピュータ「京」は、2012年から本格稼働しています。「京」は理化学研究所と富士通が共同開発した、純国産のスパコンです。「京」を利用して本当に様々な分野ですばらしい成果が出てきております。

 

ご存知のように、「京」は、2011年世界のスパコンランキング、トップ500で、1位を獲得しました。これは演算速度で「京」は世界1になったということです。現在の世界1位は中国のスパコン天河2号。「京」は、目下のところ、4位です。

 

しかし2014年、ビッグデータの解析能力を問う、別の国際的な性能ランキング「グラフ500」で世界1位になりました。これは大規模グラフ解析の能力を問う世界ランキングで、ビッグデータの解析に使うアルゴリズムにおいても、「京」は非常に優れた能力を持っていたことを示しています。このグラフ500で世界1位ということは、「京」のハードウエアだけでなく、我が国がソフトウエアを開発する能力においても、非常に高い能力を持っていることを世界に証明したということが言えます。

 

スパコンは計算速度が速いというだけではダメで、それ以外にもメモリとか、ネットワークの性能などが重要な要素になってきます。もっと細かいことを言うと、アプリケーションプログラムの実効性能や、演算性能あたりのメモリ容量、コンピュータ内で演算を行う中心=CPUとメモリ間のデータ転送性能、あるいはCPU間のデータ転送性能などにおいて、「京」は優れ、非常にバランスのとれたスパコンであると言えます。

 

こうした優れた能力ですから「京」は幅広い分野で活用が可能になります。様々な分野で、科学的な成果を出すこともできるスーパーコンピュータとして、世界から高い評価を受けています。要するに「京」は、総合的なスパコンの能力という意味で、今でも、世界最先端のスーパーコンピュータなのです。


※2014.8.23「京」未来をひらくスーパーコンピュータ 講演より


興味がわいたら 

『次世代スパコン「エクサ」が日本を変える! 「京」は凄い、“その次”は100倍凄い』

辛木哲夫(小学館新書) 

6年後の完成を目標に、“エクサ”級の次世代スーパーコンピュータの開発計画が進行中だ。日本が世界に誇るスパコン「京」の後継機で、京の100倍規模の計算速度を持つ。津波発生時の到達地域や時刻の正確な予測も可能に。天気予報もより正確になる。他にも、新薬開発、難病治療など、様々な貢献が期待される。現在運用中の「京」の業績をもとに、次世代スパコンの可能性を考察する。

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情報処理2014年8月号別刷『《特集》(続)スーパーコンピュータ「京」の利用』

横川三津夫、辛木哲夫(情報処理学会)

スーパーコンピュータ「京」を使ってどんな研究がなされているか。ウィルスの全原子分子動力学シミュレーション、心疾患のメカニズム解明を目指すマルチスケール心臓シミュレータ、5.1km格子間隔を切る大気大循環シミュレーションや大規模津波シミュレーション、ダークマターの超大規模シミュレーション。創薬や自動車工学にも活用。最新の状況がわかる。

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