18・19歳よ、選挙に行こう! 投票に行かないと若者が損をする!

寒川友貴くん  早稲田大学教育学部2年・19歳

高校での模擬投票の様子(※)
高校での模擬投票の様子(※)

いよいよ、参議院選挙の投票日が間近に迫ってきました。今回の選挙より、18歳から投票ができるということで、初選挙に期待と不安を胸に抱えている高校生も多いのではないでしょうか。今回は参院選直前企画として、初めて選挙に行く高校生のみなさんが知っているようで、実は知らない政治や選挙のことについて一緒に考えていきましょう!

 

本題に入る前に、少し僕の自己紹介をさせてください。

 

僕は兵庫県出身で、高校時代は部活動のアメリカンフットボールと生徒会活動に没頭していました。当時、勉強は嫌いでしたが現代社会の授業が好きだったので、次第に政治や選挙に興味を持つようになりました。

 

しかし、高校生だった僕にとって政治はとても難しく、距離が遠い存在でした。これに問題意識を感じ、友人たちと共に「高校生と政治をつなぐ」をコンセプトとした高校生団体を立ち上げて、活動をしていました。具体的には、高校生と国会議員が社会問題について議論するイベントや選挙期間中に選挙権を持たない高校生を対象に、投票を体験してもらう模擬選挙などを実施しました。

(参考:みらいぶに紹介されています。詳しくはこちら) 

高校時代:国会議員や経営者など大人と高校生が討論するイベントを開催
高校時代:国会議員や経営者など大人と高校生が討論するイベントを開催

その後、政治教育について深く学ぶため、自己推薦入試で早稲田大学教育学部に入学しました。そこで、印象的な出来事がありました。入学直後、18歳選挙権が決まり、私の周りの同級生たちはパニックに陥っていました。「政治なんてわからない」、「投票ってどうやってやるの?」、「選挙に行ってもどうせ一緒」。このような声を数多く聞きました。当時、そこで感じたことは、18歳になり選挙権をもらっても、いきなり政治に関心を持ったり、理解を深めたりすることは難しいのではないかということ。だから、選挙権を持つ前から、政治や選挙に触れる機会が非常に大切であると思いました。

 

このような想いから昨年10月に、Kids Voting Japanという主権者教育を行う団体を立ち上げました。「未来の有権者を育てる」を理念に、街頭での啓発活動や学校での出前授業や模擬選挙などの、政治や選挙に興味、関心を持ってもらうための活動を、選挙権をまだ持たない高校生などを対象に実施しています。

 

現在は早稲田大学や慶應義塾大学などの首都圏の大学生を中心に活動をしており、これまでに全国でのべ2000人以上の未来の有権者にプログラムに参加してもらいました。参院選前の現在は、高校に出向き、これから選挙に行く同世代の若者として、高校生たちと政治や選挙について共に考える出前授業に力を入れて活動しています。

グループディスカッションの様子(※)
グループディスカッションの様子(※)

※寒川くんが代表をつとめる「Kids Voting Japan」による、兵庫県尼崎市の私立高校での出前授業から(16年3月実施)

1.政治家は若者の声を聞きたがっている

 

さて、選挙権年齢が18歳に引き下げられるとニュースで知った時、みなさんはどう感じましたか?「投票に行けるようになって嬉しい」という肯定的な声もあれば、「急にそんなこと言われても困る!!!」と否定的な声も多かったと思います。なぜそこまでして、政治家が選挙権年齢を引き下げたのかというと、それは少しでも多くの若者の声を政治に反映させるためです。選挙で投票をするということは、私たちの意思を表明し、声を届けるということです。今の日本は少子高齢化が進み、若年層の人口は急激に減少しています。そのため、日本の将来を担う若い世代の意見をさらに取り込むためにも、高校生を含む18歳と19歳240万人に新たに選挙権が開放されました。

 

 

2.選挙に行かないと損をする 

~高齢者に有利なシルバーデモクラシーが進む

 

国会議員をはじめとする、政治家は国民の代表と言われていますが、実はそうではありません。政治家は選挙に行った人の代表なのです。現在、日本の政治はシルバーデモクラシーという高齢者に有利な政治が行われていると言われています。少子高齢化の進行により、若者よりも高齢者の人口の方が圧倒的に多く、高齢者は選挙によく行きますが、若者はほとんど選挙に行きません。政治家も生き残るためには選挙で勝つ必要があるので、数も少なく、投票にも行かない若者への政策はおのずと後回しになってしまいます。これが続くと、教育など若い世代にとって必要なことにあまりお金が使われなくなってしまい、世代間で大きな格差が生まれ、結果的に大きな損をしてしまいます。

 

 

3.オススメの候補者の選び方 

~ボートマッチを利用しよう!

 

選挙に行くことの大切さはわかっても、正直誰に投票をすればいいかはなかなかわからないですよね。候補者を選ぶ基準は、政策、政党、人柄、年齢、出身地、学歴、職歴などが挙げられます。情報収集の手段としては、選挙前に家に届く選挙公報や気軽なSNSやネット、テレビや新聞、街頭演説やチラシ、ポスター、マニフェストなどがあります。しかし、忙しい高校生のみなさんにとっては、どれもこれも調べて比較するのはとても大変で、なかなかできないと思います。そこで、僕がオススメするのはボートマッチというシステムです。これはネットのサイト上で、政策に関する質問に答えていくと、自分はどの政党や候補者と考えが近いのか、その一致度が示されるので、是非投票先を選ぶ参考に利用してみてください!

 

<ボートマッチの一例>

毎日新聞 「えらぼーと2016」

http://vote.mainichi.jp/24san/

 

 

 

4.日曜日じゃなくても投票できる

 

今年の参院選の投票日は7月10日、日曜日です。でも、その日は部活や塾などの用事があり、投票に行けないと思っている人もいるのではないでしょうか。それでも大丈夫、投票に行けるんです!期日前投票という仕組みがあり、投票日前日の7月9日(土)まで、市町村ごとに設置されている期日前投票所(市役所や区役所など)に行けば、投票ができます。持ち物は家に送られてくる投票所入場券だけ!もし、忘れてしまっても投票できます。投票日当日に予定がある人は、事前に投票を済ませてしまいましょう。詳しくは自分が住んでいる市区町村のホームページなどを調べてみてください。今週は学校帰りに、部活帰りに、テスト終わりにみんなで選挙に行こう!

 

 

5.投票に行くこと自体に意味がある

 

ここまで、選挙に行ったほうがいいわけとか候補者の選び方について説明してきましたが、それでも「政治って難しいし、面倒くさい…」という理由で、選挙に行って投票することをためらっている人もいるかと思います。それでも、僕は高校生のみなさんに投票に行ってほしい。なぜなら、今回の選挙は千載一遇のチャンスだからです。18歳選挙権が実現し、政治家の目は確実に若者に向いています。みんなが投票に行き、若年層の投票率を上げることができれば、政治家も若い世代を見直し、若者を意識した政策が増えるはずです。だから、政治のことがわからなくても、なんとなくで判断してもいいんです。今回の選挙は高校生のみなさんが投票に行くこと自体に意味があるのです。

 

 

実は僕は現在、19歳でまだ選挙に行ったことがありません。高校生のみなさんと同じく、18歳選挙権の恩恵を受けて、今回が初めての選挙です。僕たち18歳選挙権世代は他の選挙権を持つどの世代よりもこれから長く日本で生きていくはずです。それは将来の日本を担い、背負っていくということです。未来を生きる者として、長期的な視点でどのような日本を描きたいのかというビジョンを投票という手段を通して表明することは私たち若者世代の義務であり、大きな責任だと思います。たかが一票、されど一票。僕らの一票の積み重ねで日本は変わります。だから、僕は必ず選挙に行きます!これを読んでいる高校生のみなさんも、一緒に選挙に行き、より良い日本の未来をこれからつくっていきましょう!!

 

おススメ本

『18歳 初めての選挙』

弘兼憲史:監修(アルゴ・パブリッシング)

選挙の入門書としてとてもオススメの一冊です!これさえあれば、政治と選挙の基本はマスターすることができます。白黒で文字が羅列してあるのではなく、カラーで単元ごとに見開き1ページに図やグラフなどを使って整理されているので、すごく見やすいです。比較的新しい本で、今回の参院選に合わせて、最新の情報が記載されているので、困ったらこの本を読んでみましょう。ちなみに監修は「島耕作」シリーズでおなじみの弘兼憲史先生です。

『東京ガールズ選挙 こじらせ系女子高生が生徒会長を目指したら』 長嶺超輝(U-CAN)

選挙をテーマとした学園モノのライトノベルです。高校の生徒会選挙が物語の舞台なので、テーマが身近で高校生のみなさんにとってはとても読みやすい作品だと思います。普通にストーリーが面白くて、一気読みできてしまいます!読み進めながら、自然と政治や民主主義、リーダーシップについて理解することができるので、政治にあまり詳しくない人でも気軽に読むことができます。楽しみながら、選挙について知りたい人は是非読んでみてください!

[出版社のサイトへ]

『若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!?』 森川友義(ディスカヴァー携書/新書)

現在の日本の政治の仕組みについてわかりやすく解説されており、普段の授業やニュースを見ていては決してわからない、政治や選挙の裏側について詳しく知ることができます。若者が政治に関心を持たない、選挙に行かないことでどれだけ損をしているのかを金銭的に分析されており、とても説得力がありました。高齢者と若者の世代間格差やシルバーデモクラシー、政治の裏の仕組みについて詳しく知りたい人にはとてもオススメです!

 [出版社のサイトへ]