18歳、選挙に行こう! みんなで社会を作ろう!
過去の実績?政策?人柄? 18・19歳新有権者は何を基準に投票するのか
18歳の高校生2名+19歳の大学生2名が討論
7・10参院選が目前に迫った6月18日、新しい有権者4名が、討論しました。何を基準に選ぶのか。政策?政党?政治家の人柄? 発言は、投票は権利か義務か、棄権したくなきゃ白票を投じるといった奥の手まで議論が及びました。

<18・19歳有権者シンポジウム 2016・6・18実施>
◆18・19歳発言者
林恭平くん(明治大学政治経済学部2年・19歳)
藤原彩香さん(慶應義塾大学法学部2年・19歳)
久嶋晃史くん(慶應義塾高校3年・18歳)
蔵本りんさん(都立戸山高校3年・18歳)
◆司会
河野武司先生(慶應義塾大学法学部)
第1回 さあ選挙権がやってきた。びっくり? うれしい? 関心は?

河野先生(司会)選挙権年齢を調べた国立国会図書館データによると、現在、世界190カ国中167国(88%)が、18歳からの選挙権を認めています。実は去年6月にルクセンブルクで、さらに16歳まで年齢を引き下げるべきかどうか、国民投票が行われました。結果、反対が80.87%と、さすがにこれは否決されました。しかし世界の大勢は18歳なんです。さて、日本でも今回、18歳選挙が実施されるわけですが、新しい有権者の皆さんは、最初どんなふうに受け止めたでしょう。
蔵本さん(高3)私はまず驚きました。周りの友だちもびっくりしている人がいましたし、急に言われたことなので、困惑する人もいました。

久嶋くん(高3)僕はまだ選挙権を得たことにそんなに実感がありませんが、選挙権を得たことはうれしいです。今回の選挙年齢引き下げは、戦後70年ぶりということなので、その節目に自分が当たったのは、選挙に縁があるのかなと思いました。

藤原さん(大2)小中学校の社会科の授業で「他の国では18歳有権者がいるよ」というような話を聞いていましたので、驚きというより「あ、私の時に来たんだ」というふうに感じましたね。
林くん(大2)僕は、選挙権が得られて、うれしかったです。小学校のとき、父母と一緒に投票所によく行きました。まさか自分が10代で行けるとは思わなかったです。周りの友人は「選挙に行ってもなにも変わらないんじゃないか」という反応ですが。
学校ではどんな話題になっている?
河野先生(司会)目前に迫った7・10参院選、みなさんはどんな準備をしていますか?または、高校や大学で、友だちとどんな話題になっていますか。
林くん(大2)新聞やテレビとかメディアで特集が組まれたり、盛り上がっていると思いますが、友人とは話題にならないです。関心は薄いかなあって、感じています。
久嶋くん(高3)僕らも高校で話題にすることはほとんどありません。テレビで盛り上がっているだけなんじゃないのかなあ。

蔵本さん(高3)私、どこに投票しようか、ネットや政党のホームページとか冊子で調べているんです。でも今のところ、決めるところまで至っていません。友だちとはテストの話題のほうが断然盛り上がります。
河野先生(司会)今聞いていると、18・19歳選挙権は、当事者にはそんなに話題になっていない状況が浮かび上がってきました。どうもメディアが先進的な取り組みだと報道することで、誤ってイメージが伝えられているのかな、と。新しい有権者になるみなさんは、政治についてどんな基本的な関心がありますか。

林くん(大2)僕は政治に興味があったから、大学で政治学科に進んでいるんですが、政治の話をしても友人の方は「ま、投票頑張ってね」と、あんまり心に響いていない感じです。友だちはテストの出題範囲のほうが差し迫った問題で、恥ずかしい限りです。
久嶋くん(高3)僕らもやっぱりテストの話と、高3なので受験の話ばかりです。高校に「政治入門」という選択授業があり、それを取っている人はけっこういるんです。だから政治にまったく興味がないかっていうとそういうわけではないと思います。
河野先生(司会)マーク・フランクリンという学者は「20世紀中、18歳に有権者年齢引き下げの実施国では、投票率は平均3ポイント下がっている」と言っています。だからかな、今の話を聞いていると、どうも「今の若い人は政治にそんな大きな不満はない」ということに集約されそう(笑い)。
※18・19歳有権者シンポジウム 日本学術会議第1部政治学委員会政治過程分科会、平成24~28年度文部科学省科学研究費補助金特別推進「政権交代期における政治意識の全国的時系列的調査研究」、明治大学特定課題研究ユニット政治制度研究センター共催 2016・6・18実施