大阪大学出版会×みらいぶプラス presents

大阪大学 学問本オーサービジット2017

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※こちらは大阪大学関連の先生の本の詳細ページ、および、大阪大学の実施要領のページです。

 

◆どんな先生が来るの?・どんな本が読めるの?◆

※[ ]内の数字は、提供可能な冊数を示します。

◆文学・外国語系

●松川絵里先生

(元大阪大学 特任研究員/現カフェフィロ副代表)

『哲学カフェのつくりかた』

[5冊]

哲学カフェは、1992年フランスで生まれました。私たちの暮らしや社会に関わるテーマについて、飲み物片手に、参加者同士の対話を通じて考えます。本書では、哲学カフェを実践するために大阪大学大学院臨床哲学研究室の学生・教員がつくった「カフェフィロ」というグループが、そのポイントと実践例を紹介し、哲学カフェの意義について考察しています。まずは、目次の後の「哲学カフェQ&A」を読むと、哲学カフェの歴史やポイントがわかります。あとはどの章から読むかお好みです。おすすめは、「お金」をテーマにした哲学カフェの様子が具体的に描かれている2章と、子育て中のお母さんの悩み(愚痴?)から「友だち」についての対話が展開する3章です。

 

このように、話す-聞くというコミュニケーションを介して行われる哲学は、世界的に「哲学プラクティス」と呼ばれています。「哲学」は「難しそう」「生活とかけ離れたもの」と思われがちですが、本書を読めば、哲学プラクティスが日常生活や社会とかけ離れたものではないこと、特別な知識などなくても機会とやる気さえあれば誰にでもできることがわかるでしょう。高校生のみなさんも、ひとつのテーマについてじっくり語り合い、ともに考えることの楽しさを体感してください。みなさんが関心あるテーマで、プチ哲学カフェをしてみましょう。

 

●中村征樹先生

(大阪大学 文学部 人文学科 哲学・思想文化学専修)

『ドーナツを穴だけ残して食べる方法――越境する学問-穴からのぞく大学講義』

[5冊]

「ドーナツを穴だけ残して食べるには?」と聞かれたら、みなさんはどう答えるでしょうか。ドーナツをまるごと食べてしまったら、穴どころかなにも残らないのでは? この先生、ちょっとおかしいんじゃない? そう思った人もいるかもしれません。本書は、そんな奇妙な問いに、文理を超えた多彩な研究分野の大阪大学の教員たちが、真剣に挑戦した本です。

 

それまでだれもが当たり前だと思っていたことが、大胆に覆されていく。学問はそのようにして発展してきました。「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」という、一見、馬鹿げたタイトルには、「ドーナツの穴」と格闘する研究者たちの姿を通して、学問の醍醐味を感じてほしい。そんな思いが込められています。

 

本書のもう一つの特徴は、本の企画・提案から、編集作業、装丁、広報、販売までのすべてのプロセスを、大学生が中心になって担ったことです。先生たちに原稿を依頼するだけではなく、出てきた原稿に対して「これじゃわかりにくい」と修正をお願いする場面も、一度や二度ではありませんでした。先生と学生とプロの編集者がガチでぶつかりあいながら、一緒になって作り上げていったのがこの本です。

「ドーナツの穴」を切り口に、学問という営みについてみなさんと一緒に考えたいと思います。

 

●沖田知子先生

(元大阪大学 大学院言語文化研究科 言語文化専攻)

『アリスのことば学――不思議の国のプリズム』

[5冊]

『不思議の国のアリス』(Alice’s Adventures in Wonderland) の作者ルイス・キャロルは、実はオックスフォード大学の数学の先生でした。この本は、8歳から80歳の子どもに向けたおとぎ話と言われていますが、なんでもないようなことばにとんでもないことが込められていて、ことばと論理の遊び満載です。この『不思議の国のアリス』の魅力を、ことば学の観点から読み解こうとしたのが本書です。

 

ことば学は、ことばやことば遣いを意識した立体読みをして、ことばから心を引き出すメタ語用論です。具体的には、細かい語法や表現を複眼でじっとみる「虫の目」、鳥瞰して大きな構図や仕掛けをみる「鳥の目」、時代の流れを超えて尽きせぬ魅力をみる「魚の目」といった多様な視点から考えますが、総合的に皆さん自身の「人の目」を使ってことばの面白さを感じてほしいと思います。燦然と輝く太陽の光がプリズムを通して虹色に分光されるように、ことば学というプリズムを通して『不思議の国のアリス』のことばと論理の多彩な輝き (prisms) の謎解きをしましょう。そして、生きた英語の面白さを感じたら、ぜひ原著の英語に挑戦してみてください。

 

●塩谷茂樹先生

(大阪大学 外国語学部 外国語学科 モンゴル語専攻)

『モンゴルのことばとなぜなぜ話』

[5冊]

本書は、モンゴルの数多くのむかし話の中から、モンゴル民族の天体、植物、動物、人間の4つの分野にまつわるお話を、とりわけ「なぜ~は…なの」という、いわゆる「なぜなぜ話」という形で、32話に編集するとともに、モンゴルのことばの成り立ちやモンゴルの遊牧文化の世界についても、あわせて紹介したものです。

 

本書では、モンゴル民族の観察眼、知恵の豊かさを学ぶとともに、モンゴルという異文化の多様性に直接触れることができます。さらに、これを一つのモデルケースとして、さらに世界の文化の多様性を認識し、ひいてはグローバル社会を理解するきっかけになればと願います。

 

参加者の皆さんには、本書の32話より、「最も強く心に残ったお話」を一つ取り上げ、それを選んだ理由や感想などを、各自順番に、自由に発表してもらいたいと思います。その際、もし何か質問・疑問点がありましたら、どうぞお気軽にお尋ねください。質問内容は、「なぜなぜ話」のほか、「モンゴルのことば」に関するものでも結構です。本書を通じて、皆さんをモンゴルの異文化にいざないます。

 

●桃木至朗先生

(大阪大学 文学部 人文学科 東洋史学専修)

『市民のための世界史』

[5冊]

「歴史=暗記科目」というイメージを覆し、日本・アジア史・西洋史の全体を捉えた「新しい世界史」を一緒に学びませんか? 「歴史」とは、過去の事実をひたすら覚えるだけの役に立たない科目というイメージを持たれがちですが、現在は過去の積み重ねであり、歴史を学ぶことは、現在そして未来を考えることでもあります。だからこそ、21世紀の世界で歴史を学ぶことが、各方面から求められています。本書では受験勉強とは異なり、固有名詞や年代の羅列を排除しながら、歴史の大きな流れを国や地域、年代を横断して解説し、皆さんを世界史の入口へと招待します。

 

グローバルな歴史の構図と日本の位置や役割の解説、現代につながる論争の紹介や読者への問いかけなどを基本に、近現代の世界経済、中央ユーラシア史・中国史や日本列島史、気候変動の歴史やジェンダー史など、新しい世界史と海域アジア史の見方も掲載しています。2022年導入予定の高校新科目「歴史総合」「世界史探究」を先取りして、「日本を含むアジア中心の世界史」の構図を示した本書をもとに、21世紀に大学で学ぶ歴史がどんなものか、一緒に考えましょう。

 

●中久保辰夫先生

(大阪大学 埋蔵文化財調査室)

『野中古墳と「倭の五王」の時代』

[5冊]

大阪府にある古市・百舌鳥古墳群は、日本史の教科書に登場する「倭の五王」が活躍した5世紀に築造された日本列島最大規模の古墳群です。世界遺産への登録も期待されているこの古墳群ですが、実のところ、どういった品物が副葬されているのか、どういう人物が埋葬されているのか、よくわかっていません。本書は、古市古墳群の内実が例外的に判明している野中古墳の出土品を中心に、「倭の五王」が統治したと伝わる古墳時代の歴史像を描き出したものです。短くまとめられた教科書の記述の背後に、重厚な研究成果があることを読んで知ってほしいと思います。

 

『宋書倭国伝』に記された内容は、わずか700字程度ですが、考古学の魅力の1つは、必ずしも文字に記録されない人々や出来事を、同時代に製作された資料の分析を基礎として、復元できる可能性があることです。野中古墳出土品の調査では、5世紀の東アジア情勢、日本列島内部における政治勢力の盛衰、当時の武装や軍事組織、経済政策、古墳上で執り行われた祭祀などが鮮やかに蘇ります。

 

東北南部から南九州までの広範囲で、古墳という墳墓が秩序だって築造されたことが、世界各地と異なる日本の古墳時代の特質です。あなたの高校の近くにも、古墳が存在し、その調査によって史書に記されていない古代史の世界が広がることを伝えたいと思います。

 

◆社会・福祉系、教育系、生活・健康系

●友枝敏雄先生

(元大阪大学 人間科学部 人間科学科/現大阪大学未来戦略機構)

『リスク社会を生きる若者たち――高校生の意識調査から』

[5冊]

この本は、2001年、2007年、2013年の3時点にわたる高校生の意識調査の分析結果を、2013年の調査を中心にしてまとめたものです。データの分析から、現在の高校生は、規範意識は高まっており、「お行儀よく」なっていること、現状肯定感とナショナリズム感覚が強まっていることを明らかにし、また、「震災・原発」に関して、「文系の生徒より理系の生徒の方が原発支持である」「女子生徒の方が男子生徒よりも脱原発志向である」という興味深い知見が得られました。私たちが若者に対して何となく抱いている感覚を、意識調査のデータにもとづいて客観的に解明することを試みた書籍です。

まず第1に、我々のデータ分析の結果が、高校生の実感にマッチしているものかどうか、第2に、もしマッチしていたとして、そういう意識はなぜ生み出されるのか、という2点については、高校生と話し合えればと思います。さらにできれば、日本社会の将来について、どのように考えているのか、高校生の皆さんに自由闊達に「思いの丈」を表明してもらい、その上で議論できればよいですね。

 

●岡田千あき先生

(大阪大学 人間科学部 人間科学科 教育学科目)

『サッカーボールひとつで社会を変える』

[5冊]

世界には紛争や貧困を始めとした多くの問題が今なお厳然と存在しています。近年、開発途上国が抱える問題は、より個別化し複雑になり、ボーダーレス化した世界で生きる私たちも、これらの問題に無関係ではいられません。近年では、先進国による資金や物資、技術などの開発援助が行われる一方で、「スポーツを通じた開発」という新しいかたちの国際協力が注目されつつあります。スポーツには、心身の健康の維持、楽しみや気晴らしの機会を提供するといった価値に加え、他者との関わりを生み、社会性を身につけること、さらには、コミュニティや国づくりにも影響を与える包括的でダイナミックな役割があると考えられています。

 

本書では、とくに競技人口や観戦者が極めて多く、時には政治や域内平和にも影響を及ぼす「サッカー」に着目して、個人、地域、国などへの具体的な貢献に関する事例を紹介しながら、サッカーを通じた「人と人とのつながり」、「コミュニティ形成」、「豊かな市民社会」の実現を提言しています。将来、国際協力や社会開発の仕事に就きたい人、スポーツに関心のある人、皆さんも「スポーツの持つ力」について一緒に考えてみませんか。

 

◆経済・経営系

●廣田 誠先生

(大阪大学 経済学部 経済・経営学科)

『日本の流通・サービス産業――歴史と現状』

[5冊]

本書は、現代の日本において、人びとの暮らしにもっとも身近な産業である流通・サービス産業について、その成り立ち(歩み、歴史)を振り返ることによって、こうした産業の現在のありさまを理解するとともに、その未来を占う手引きとなるよう執筆したものである。プロ野球やお笑い、アニメといった、通常こうした書籍では触れられることの少ない分野について取り上げたこと、また日本の流通・サービス産業が発展する上で鉄道会社(とりわけ関西の)が果たした役割を重視しているところが本書の特徴です。また、日本経済の歴史については鉱工業や農林水産業といった「ものづくり」の視点から語られることが多いのですが、本書は流通・サービス産業の観点から日本経済の歴史を振り返ったところに類書にはない特色があります。

 

高校生のみなさんにとって、歴史とは受験勉強のために学ぶ、暗記科目というイメージが強く、また、遠い世界のことをなぜ学ばなくてはいけないのか理解できないと考える人も多いでしょう。しかし本書は、歴史の教科書にはあまり取り上げられないが、高校生の皆さんにとって身近なことがらが中心です。本書を通じて歴史を学ぶことの意義を理解し、あるいは歴史を学ぶことに魅力を感じていただければ幸いです。

 

◆理学系

●橋本幸士先生

(大阪大学 理学部 物理学科)

『マンガ 超ひも理論をパパに習ってみた』

[5冊]

「異次元はなんで見えへんのやと思う?」超ひも理論が専門の浪速阪教授の娘、美咲はある日パパが異次元とひもの研究者だと知ってうろたえる…。本書は、そんな日常の一コマから始まりまります。「異次元なんてない」と言い切る高校生の美咲に、パパは1日10分、7日間で「ホンマもんの異次元を教えたろう」といいます。 パパの研究室へ通うこととなった美咲は、はたして異次元を理解することができるのでしょうか? 

 

皆さんは、この宇宙は、いったい何からできていると思いますか。超ひも理論は、宇宙のすべての物質と力を統一する、物理の理論です。そこには、異次元空間という考え方が登場します。いつも皆さんが見ている「空間」は縦・横・高さの3次元ですが、なぜ空間は3次元なのでしょう? 実は、素粒子は粒子ではなく「振動するひも状のものである」という仮定から物質世界の本質を解こうとする「超ひも理論」を用いると、今まで謎に満ちていた異次元のしっぽをつかまえることができます。この世界は3次元が当たり前だという常識が覆ります。まずは自分たちの常識を疑うことから始め、異次元空間の話、そして最先端の物理学の世界を、皆さんと一緒に考えたいと思います。

 

●倉光成紀先生

(元大阪大学 理学部 生物科学科)

『生物学が変わる!――ポストゲノム時代の原子生物学』

[5冊]

※第3章の「高度好熱菌 丸ごと一匹 プロジェクト」を取り上げます。

 

最近になり、ヒトを含めた多くの生物の遺伝子が解析され、その結果、生物が生きるために必須で、どの生物にも共通に存在する遺伝子(および各遺伝子から作られるタンパク質)は約1,500種類であることがわかってきました。しかし、そのうちの3分の1(約500個)は、これまでに世界中の誰も研究したことがなく、そのタンパク質分子の機能は不明です。そのため、その機能が明らかにできれば、大発見です。その発見を試みて成功し、学会で発表した高校生もいますので、発見は難しいことではありません。

 

私たちは、(1) 機能不明なタンパク質の機能を次々に大発見し、その次に、(2) 細胞全体の生命現象を、すべての分子の「立体構造と分子機能」から化学的に理解する、そして、(3) その方法を、iPS細胞を含めたヒトの病気の治療や、健康維持などにも応用することによって、新たな生命科学の研究分野を作り、人類の未来に貢献したいという最終目標の壮大な新研究分野「高度好熱菌 丸ごと一匹 プロジェクト」に挑戦しています。その壮大な新研究分野の基本的な考え方が、第3章に記載されています。

 

高校生の皆さんには、生きているということは、いかに複雑な生命現象のおかげであり、いかに不思議で素晴らしいことかを(タンパク質の機能に関するクイズを考えてもらいながら)伝えることによって、「日々を大切に生きよう」と思ってもらえるようなメッセージを伝えたいと思います。

 

松田准一先生

(元大阪大学 理学部 物理学科)

『隕石でわかる宇宙惑星科学』

[5冊]

『隕石でわかる宇宙惑星科学』は、宇宙や恒星の基礎知識から、最近の惑星探査や隕石の研究などで太陽系についてどのようなことが研究されているのかを書いた本です。隕石はどのぐらいの量が地球に落ちてくるのか、どこから来るのか、どのような惑星科学の研究がされているのかが中心です。

●松田准一先生

(元大阪大学 理学部 物理学科)

『地震・火山や生物でわかる地球の科学』

[5冊]

『地震・火山や生物でわかる地球の科学』は、最近頻発する地震や火山について正しい知識を持って欲しいと思い、また地球内部の元素の同位体比がどのような値になっているのか、それらの知識から地球の大気・海洋の進化についてどのように研究されているのかを知ってもらいたいと書いた本です。また、知っていると楽しい地球科学の知識も含まれています。

 

どちらの本にも、読書の途中でほっとできるような研究の面白いこぼれ話などを入れました。また、隕石中のダイヤモンドの起源や地球の大気の形成・進化の研究など、私が大学で行った研究のことなども詳しく紹介しました。大学で自然科学の研究がどのように進められているのかについても楽しく知ることができると思います。また、私自身が本文に即したイラストを描いているので、イラストのユーモアも一緒に楽しんで欲しいと思います。

 

◆医薬系

●那須正夫先生

(元大阪大学 大学院薬学研究科)

『セルフメディケーションのためのくすりの話』

[5冊]

くすりは、食べ物とどこが違うのでしょうか。食べ過ぎならおなかをこわす程度で済みますが、くすりをいいかげんに服用すると、期待した効果が得られないばかりか、身体に対してマイナスになることもあります。比較的作用が穏やかで、ある程度注意さえすれば大きな問題が起きにくい、健胃薬、整腸薬、保健薬などは、コンビニでも買えるようになり、私たちにも基本的な薬との付き合い方が求められています。「セルフメディケーション」の基本は、自分の健康は自分で守ること。くすり、また薬学をとりまく様々な話題、例えば経験を科学で裏付けた生薬、使用期限や飲酒後の服薬、ジェネリックや個人輸入、お茶やチョコレートのカフェイン、健康食品・サプリメントの課題など、実例をもとにわかりやすく紹介しています。

 

薬学というと医薬品関係の研究だけと思われがちですが、私が専門とする「環境・衛生薬学」は、ヒトが健康で安全に、安心して過ごせる環境をつくりだすことを大きな目的のひとつにしています。広い視野を持ち、理系、文系の枠を越えた取り組みも必要となります。身近なくすりや食品、また地球環境問題、さらには宇宙居住についてディスカッションしませんか。