人工知能/機械学習

濱上知樹先生おすすめ本

横浜国立大学 理工学部 数物・電子情報系学科/工学研究院 物理情報工学専攻

知能の謎 ~認知発達ロボティクスの挑戦 (講談社ブルーバックス)※出版元に在庫無し

けいはんな社会的知能発生学研究会 (著)

 

目に見えない「知能」を、ロボットを介して目に見える形でとらえ、これを明らかにしようとする「認知発達ロボティクス」という分野の入門書です。身体を持ったロボットが外界と係わり合いながら知的な振る舞いを獲得(学習など)していく様子からは、単なるプログラムの振る舞いという以上の知能の本質に迫る様々な可能性がみえてきます。

 

人工知能研究の入門書としてはもちろん、「心」、「脳」、「社会」といった人の深い部分に根ざした対象に、人工知能技術はどのように接近しようとしているのか、未来の知能ロボットの姿に触れることのできる一冊です。著者は、瀬名秀明、浅田稔、銅谷賢治、石黒浩、茂木健一郎など気鋭の研究者10人。そのお一人、浅田先生の『ロボットという思想~脳と知能の謎に挑む』(NHKブックス)もお勧めです。(敬称略) [出版社のサイトへ]

 

◆高校生に、この本全体で伝えたいこと、読んでほしい観点は何でしょうか。

 

コンピュータプログラムにしてもロボットにしても、それらが人の能力に近づけば近づくほど、知能や人間との違いも際立ってきます。それは、私たちが自分自身の存在について考えれば考えるほど、自分というものがよくわからなくなってくることに似ています。IT革命により、私たちの社会の中における人工知能技術は身近なものになってきましたが、その本質的な部分ではより多くの謎の存在が明らかになるなど、人と人工システムとの間にはまだ深い溝があるように思えます。人工知能や知能ロボティクスを介して、この溝を越えようとする試み、ーつまり人の知能の謎に迫ろうとする研究の魅力を知ってもらいたいと思います。

 

◆先生の研究分野とどのように関係していますか。

 

単に大量の情報をコンピュータに与えても、人と同じような知的な振る舞いは実現できません。その中から有益な規則性や構造を見つけ出す「学習」や効率を上げる「最適化」のアルゴリズムが必要です。また、自ら必要な情報を探し出し、改良しながら精度を上げていく「自律性」や「能動性」も求められます。さらには、他のコンピュータや人と協力しあって、さらによりよい結果に結びつけるための「協調性」や「社会性」も不可欠です。

 

これらが総合して機能することで、初めて人と伍す「知能」を持ったロボットやシステムとなります。人工知能の分野では、それらの要素となる技術はもちろん、そんなロボットやシステムの設計、そしてそれを用いた様々な知的サービスなど、幅広い研究が進められています。

 

 

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

フィリップ・K・ディック(ハヤカワ文庫)

古い小説ですが、人工知能についていまなお多くの示唆を含むSFです。人造とそうでないものの違いはなにか、意識や心、生命とはという根源的な課題を問いかけてきます。この小説が原作である映画「ブレードランナー」もおすすめです。

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ミンスキー博士の脳の探検 ―常識・感情・自己とは―

マーヴィン・ミンスキー (共立出版)

高校生向けの専門分野の入門的な書物。人工知能の父、ミンスキーの著作です。私がこの分野に入るきっかけとなったのは、同著者による『心の社会』でした。『心の社会』は高校生にはやや少し難しいかもしれませんが、この本は、かなり高い本にはなりますが、比較的平易で読みやすいです。今こうして考えている自分とはなんであるのか、誰しもが一度は持つ疑問に、人工知能の立場から答えてくれます。

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先生が中高生に薦める本

ピンポン 

松本大洋(小学館コミック)

スポーツにしても進学にしても,思うようにいったりいかなかったり。才能なのか努力なのか運なのか、その疑問に答えはなくても、楽しくやっていれば人はそれぞれの成長を遂げられるのだと、元気づけられるコミックスです。映画・アニメにもなっています。

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砂漠 

伊坂幸太郎(新潮文庫刊)

大学が舞台の小説ですが、高校生もきたるべき大学生活を想像しながら楽しめるのではないでしょうか。昨今(?)の若者の群像と乾いた空気感が魅力です。

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人工知能/機械学習を知る

人工知能が社会を変える ~人工知能と機械学習の挑戦

<連載第1回>45年前に描かれた50年後の未来像とは?~人工知能の可能性

濱上知樹 横浜国立大学

 

人工知能/機械学習の研究者・学べる大学