パーベイシブ・ユビキタスコンピューティング<情報学>

センサを使ってあらゆるヒト・モノ・コトを便利にしたい

内山彰先生 大阪大学 基礎工学部 情報科学科

/情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻

 

◆先生の専門分野である「パーベイシブ・ユビキタスコンピューティング」とはどのような分野なのでしょうか。

 

この分野は非常に幅広く、ウェアラブルやIoT、モバイル、センサ、ビッグデータ、AIなど様々な概念を含みます。基本的な考え方としては、センサから得られる情報をうまく組み合わせ、処理して、役に立つ新しい情報を生み出す、というものです。

 

記事で紹介した技術は、ウェアラブルセンサと環境センサから得られる情報を組み合わせて、深部体温という今までは分からなかった情報を生み出しています。研究の対象も様々で、今回のようなスポーツもそうですが、家(スマートホーム)、お年寄り・子供の見守り、災害支援、ヘルスケアなど、多岐にわたります。こういった様々な状況で、センサが自動的に状況を把握し、安心・安全・快適・効率の良い社会を実現するために、情報を提供したり、自動で機械を操作したりします。こういった技術は私たち人間の手間を省いてくれるので、私たちは機械が自動で処理できない非常に高度な仕事に集中できるようになり、生活の質や仕事の効率が向上することが期待されます。まさに、これからの社会に必要不可欠な技術です。

 

◆先生が、研究として発展させようとしているご研究とその方向性は、どのようなものですか。

 

私の夢は持続可能な社会を作ることです。環境問題ではよく聞かれる言葉ですが、情報の分野でも、同じことが言えると思います。センサを使ってあらゆるヒト・モノ・コトを便利にする。しかも、メンテナンスなどの余計な手間が無く、一度置いたらそのまま放っておけば良い。そんな社会を実現したいと思っています。持続可能な社会を考える上では、どのような応用があるのかを研究することも重要です。これらを総合的に研究し、より便利で人にも環境にも優しい社会の実現に貢献できればと考えています。

 

◆先生は研究テーマをどのように見つけたのか、研究の発想はどう考えて生まれてきたか教えてください。

 

まず、著名な国際会議の論文を読みあさることです。著名な国際会議はだいたい毎年同じ時期に開催されており、インターネットで論文が公開されているので、世界中どこにいても最新の研究を知ることができます。いろいろな研究を頭に詰め込んだ上で、自分にできる新しいことがないかを考えます。日常生活であったらいいな、と思うことや、違う分野で働く知人・友人から、その分野で困っていることを解決できないか、映画や漫画の中の何かを実現できないか、という考え方でも、何でも良いのです。この意味では、遊ぶことも研究のうちと言えるでしょう。今回のテーマの場合は、違う分野で働く知人からスポーツ分野での課題を聞き、何かできないか、と考えました。

 

◆この分野に関心を持った高校生へ、アドバイスをいただけますか。

 

今はArduino, Raspberry Piなど、センサを自由に追加でき、自分でプログラムができてしまう安価なマイコンがたくさんあり、電子工作が簡単にできます。生活を便利にする電子工作にどんどん挑戦してみましょう。日常生活の中で課題を発見し、それを解決する方法を自分で見つけ出す、研究の基本能力が身につきます。

 

◆高校時代は、何に熱中していたかを教えてください。

 

学校祭や運動会などのイベントの運営委員をしていたので、行事の度にのめり込んでいましたね。イベントの数ヶ月前から企画に入り、授業が終わってから遅くまで学校に残って準備していました。あとは、自転車通学をしていたのですが、片道15kmぐらいだったので、今思えば結構運動していたように思います。他には、今は当たり前になっていますが、当時としては珍しく家にパソコンとインターネットがあったので、オンラインゲームをしてみたり、自分でパソコンをカスタマイズして遊んだりしていました。

 

◆先生の研究室の卒業生は、どんな就職先で、どんな仕事をされていますか。

 

任天堂(開発)、Yahoo(システムエンジニア)、楽天(システムエンジニア)、日立製作所(研究職)、三菱電機(研究職)、トヨタ自動車(開発)、本田技研工業(開発)、NTT研究所(研究職)など。研究職であっても、そうでなくても、研究を通して身につけた課題解決能力や論理的な思考力は仕事に役に立っていると聞いています。

 

◆研究室やゼミでは、どのような指導をされていますか。

 

最先端の技術を学生にも分かりやすく伝えられるよう、ゼミでのテーマ選びには注意しています。研究室に配属された大学院生の研究テーマ決定にあたっては、世界を見据えた研究に取り組めるようにするため、学生と一緒に論文を調査し、何が役に立つのか、何が新しいのかを十分に議論してから実験に取りかかるようにしています。

 

 

<研究室のHP 内山先生所属の東野研究室>

http://www-higashi.ist.osaka-u.ac.jp

 

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