音楽情報処理

ユウウツなピアノ練習、さようなら~理想のピアノ学習支援システムを目指して

竹川佳成先生 公立はこだて未来大学 システム情報科学部 情報アーキテクチャ学科

音楽好きの人でも、「ピアノの練習はユウウツ」という人は多いようです。ピアノへのマッドな愛のシステム情報学者、竹川佳成先生は、そんな人のために、誰でもピアノが弾けるようになる理想のピアノ学習支援システムを開発しました。

僕はピアノが大好きです。ピアノをベースに使っていろんなユニークな楽器作りの試みもしています。僕のかわいい子どもたちをいくつか紹介しましょう。

 

僕、楽器を切り刻んだりするのも好きなんですね(笑い)。そこで、ピアノを切り刻んで、レゴブロックを組むみたいに、ガチャガチャとピアノにギターを合体させてみました。ギター1本だと難しい演奏が、ピアノの鍵盤にギターを組み立ててみると、カンタンに、しかも芸術的・音楽的にすごいものができちゃいました。

もう1つ紹介しましょう。この鍵盤では音階的に音が足りないという時、隣の演奏者から鍵盤を借りてきて素早く合体させるんです(笑い)。

最近の研究に、ピアノ学習支援システムの開発があります。これは、成人初学者が対象で、ピアノの鍵盤の打鍵位置、譜面の読み方、指使いが勉強できる学習システムです。最終的に支援なしにピアノが弾けるようになることを目標にしています。

 

実際にやってみましょう。間違った鍵盤を弾くとシステムが間違っていると教えてくれます。さらに進むと譜面読みができるようになります。ピアノって教え方次第で全然難しくないんです。 

うまくなるポイントを、子どもの自転車上達にたとえてみましょう。自転車に乗れない子どもに乗り方を教えるとき、まず両輪の補助付きから始まりますね。次に片輪補助⇒お父さんの補助⇒お父さんのウソという具合に、段階的に補助をなくしていくっていう方法をとります。ポイントは、「補助してないよ」と言いながら実は手を離しているお父さんの“ウソ”です(笑い)。

 

学習支援システムの開発だけじゃなく、それ以外に、ピアノの技能獲得のための時間予測の研究、スランプ予報分析もやっています。

 

さて、理想のピアノ学習支援システムとはなんでしょう。大事なことは、「システムが得意なことはシステムに、人が得意なことは人に」ということ。だって先生に同じミスを何度も叱られると精神的にへこむじゃないですか。でも機械が相手ならぜんぜん平気でしょう。

 

基礎的な指導はシステムのほうが向いているんです。逆に、豊かな感性を育む応用的な指導は、人の仕事にしたほうがいい。基礎と応用練習に、人とシステムの使い分けをすれば、ピアノはうんと上達するだろうと思います。

 

竹川先生の講義を聞いて

~落合陽一先生(筑波大)×稲見昌彦先生(東京大)の一言

 

落合先生――ピアノへのマッドな愛というか、“ピアノ狂”ってオーラが漂っていましたね(笑い)。

稲見先生――竹川先生はご自身でもピアノを弾かれるということで、ご自身の興味と結びついた研究でした。

落合先生――そこんとこ、すごく重要です。ヒューマンインターフェイスの研究って、自分がまずその研究対象を愛していないと、浅い研究になるんですよ。なんだけど竹川先生、深すぎますよね(笑い)。ピアノに関してあらゆることをやってみたという感じで。

稲見先生――学習支援システムは、ピアノだけじゃなくて、書道とか他の体を使った、頭だけの技能でないものにも使えそうです。

落合先生――1つの技能をほかの分野にも展開していくというのが、本当に素晴らしいですよね。

 

興味がわいたら

『天才! 成功する人々の法則』

マルコム・グラッドウェル 勝間和代:訳(講談社)

オリンピック選手やピアニストなどの一流のプロフェッショナルになるためには、才能以外に1万時間という膨大な練習時間が必要ということを主張している本です。人間の能力に興味のある人、自分自身の能力を高めたいと思っている人などにおすすめです。

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『Mind パフォーマンス Hacks ―脳と心のユーザーマニュアル』

Ron Hale-Evans  夏目大:訳(オライリージャパン)

脳科学をもとに脳と心の働きについて分析しています。人間の知覚や運動のカラクリに興味がある人におすすめです。

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『攻殻機動隊』

士郎正宗(講談社KCデラックス)

脳をデジタル化した電脳、身体をロボット化したサイボーグが普及する未来の日本を舞台としたSFです。新しいユーザインタフェース・アプリケーション・サービス・ビジョンを発想する助けになります。

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