HCI(ヒューマン・コンピュータ・インタラクション)

叶えたいことをテクノロジーでどう実現するか想像してみて

玉城絵美先生インタビュー

早稲田大学 人間科学部 人間情報科学科/H2L,Inc.創業者

◆先生の研究分野である「ヒューマン・コンピュータ・インタラクション」とはどのような研究なのでしょうか。

 

HCI (ヒューマン・コンピュータ・インタラクション)とは、人間とコンピュータの関係や、お互いに何らかの作用をすることに関する研究領域です。「インタラクション(Interaction)」とは「相互作用」という意味です。

 

身近なものでわかりやすいものでいうとスマートフォンにある画面タッチ機能です。画面タッチ機能でヒトが情報を入力することで、ヒトからコンピュータであるスマートフォンにスムーズに情報交換を行っているのです。この画面タッチ機能は、昔のHCIの研究成果です。画面タッチ機能は、工学的な設計だけではなく、ヒトの手の形状、ヒトが画面タッチ機能を使ったときにどのように感じるのかなど、いろいろな観点から研究されてきました。HCIは、工学的なこと以外にも、言語学、心理学、社会学など幅広い分野にまたがった学際領域となります。

 

◆先生の研究は、どのような成果につながるのでしょうか。

 

私は、触感の共有の研究から、身体の共有の研究を行っています。ヒトの身体の体験を世界中の人々と共有できることを目指しています。将来的には、1人のヒトの人生経験だけはなく、いろいろなヒトの人生経験を世界中で共有できる成果になると考えています。

 

◆研究テーマをどのように見つけたのかを教えてください。

 

「身体の共有」の研究は、高校時代に長期入院していた際に、家族旅行に行けなかったことが悔しかったのがきっかけです。もしも病院にいながらにして外に出て、皆と同じ体験ができればどんなにいいかと思い、自ら研究を始めました。

 

◆この分野に関心を持った高校生にアドバイスをお願いします。

 

HCIは様々な分野にまたがるため、とても興味深い分野です。まずは自分が実現したいことや、叶えてみたいことを考えてみて、それをテクノロジーによってどう実現できるだろうか、と想像してみてください。そういったところから始めてみるといいと思います。

 

興味がわいたら

PSVR(プレイステーションVR)(ソニー株式会社)、GearVR(SamSung)

視覚に関するHCI分野の研究成果が社会実装されたものです。

 

『誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論』

D.A.ノーマン 岡本明、安村通晃、伊賀聡一郎、野島久雄:訳(新曜社)

著者のノーマンは認知学者で、HCIにも関わる分野の方です。日常、私たちが目にするもののデザインが、どのように私たちに認知されて、良い悪いといった評価になるのかを、心理学、認知学(何かに対して脳が知覚する性質を研究する分野)の分野で説明しています。

 

本書からは、私たちの日常身の回りにあるもののデザイン(工夫)に気づかされます。何もかもが合理的で短時間で解決することが、必ずしも便利であるとは言えません。ヒトに最適な仕組みを考えて設計されている物があるという点を読んでほしいです。

 

日常的に利用しているものは、どのように考えられてそこにあるのか、どのようにして私たちに使われているのかを見つめ直し、改めて自分の周りがどのように作られているか、どのように社会が作られているかを考えるきっかけになると思います。

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玉城絵美先生 早稲田大学 人間科学部 人間情報科学科/H2L,Inc.創業者

 

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