実社会情報処理(組込みシステムの展開)

既存の価値を破壊する最新自動運転研究

加藤真平先生 東京大学 理学部 情報科学科/情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻

自動運転は現在、実用化に向けて日々進展中です。加藤真平先生は、自動運転専用の組込みシステムを開発、大学発ベンチャー企業も立ち上げました。町を丸ごと3次元モデル化し、その中でどう走行したいのかプランニングができ、地球上で今、その自動運転車がどこを走っているか、すごい精度でわかります。既存の価値に創造的破壊をもたらす最新自動運転研究を紹介しましょう。

自動運転の研究をしています。自動運転は実用化に向けて今まさに進んでいますが、まだいろいろ課題があります。走行中の周囲の把握、様々な計測のためのセンシングなど、自動運転車が、安全に走行するために解決しなければならない問題は山積みです。それらの問題を解決するために、僕たちは自動運転のための大学発のベンチャー「TierⅣ(ティア4)」を作りました。大学の研究者なので、既存のものを破壊して新しいものを創造していくという活動にチャレンジしていきたいと考えています。

 

専門は、組込みシステムです。組込みシステムとは、特定の機能を実現するために組み込まれるコンピュータシステムのことです。僕たちが作った組込みシステムを用いると、カメラに接続して人を認識したり、レーザーで360度の周囲状況をスキャンしたりできます。それによって、自動運転車の安全な走行を可能にします。さらに町丸ごと3Dモデル化していて、実際にどう走りたいかプランニングできるのです。それを僕たちは、とても小さなサイズのコンピュータで実現させました。

 

 

町丸ごと3Dモデルは、非常に高精細です。自動運転に絶対必要な、現実の道路がどうつながり、1つ1つの信号がどこにあるかまでわかります。レーザーによってスキャンされた周囲状況の映像と3Dモデルの形を比較、照合することで、今、自分が地球上のどこを走っているのか、数センチの精度で把握できます。レーザーは光を飛ばすので、夜でもちゃんと効果があります。例えば目の前に路上駐車があっても、それを発見し、走行経路を変更することができるのです。

 

この僕たちの技術はオープンソース化し公開、無料で誰でもダウンロードできます。世界初で、僕たちも非常に誇らしく思っています。

 

この技術を使えば、自動運転で、人の手を一切介さないで、目的地までたどり着けます。将来、実用化できれば、無人で車をどこでも走らせることができるようになります。これは創造的破壊です。タクシーとちがって運転の人件費がかからないから、1ドルでまかなえます。きっと既存の交通は破壊されるでしょう。

 

自動運転の潜在的なユーザー数は、世界中に3000億人と言われています。1ドル×3000億人=3000億ドルという莫大な市場があるのです。そこがベンチャーを立ち上げた面白さです。そしてこのような夢を実現する研究は、まさに破壊的創造です。

 

司会者・竹川佳成先生×森勢将雅先生の一言 

 

森勢先生――自動運転って、コンピュータにそれをやらそうと思ったら、視覚情報とかハンドル操作の仕方とか、センシングからロボット制御まで、ほんとにたくさんのテクノロジーが集約しているんですね。

それが1ドルでまかなえるって!我々からすれば、タクシー代って結構高いですから、うれしいですよね。タクシーを呼ぶ手間も省けるし、すぐに目的地に行ける。そういう未来が来ると、いい意味で私たちの生活は破壊される。そういう時代が来ることを心待ちしています。

竹川先生――そうですね。

 

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※情報処理学会第79回大会 IPSJ-ONE講演より

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