犯罪社会学

18歳成人問題として「『少年法』適用の低年齢化」について考えてみた ~高い貧困率なのになぜ?

『若者の気分~少年犯罪の〈減少〉のパラドクス』を読んで見えたことを踏まえ、犯罪社会学者・土井隆義先生と開成中学・高校生が語り合う

土井隆義先生

筑波大学 社会・国際学群 社会学類/人文社会科学研究科 国際公共政策専攻

 

第4回 若者の状況〜敵とは戦うより、「関係ない!」

 

では、少年犯罪が減少している理由について、これまで説明してきた2つの理論を組み合わせることで、もう一歩突っ込んで考えてみたいと思います。

 

かつては、親や学校といった共通の敵に抵抗する行為の一つとして少年犯罪もありました。しかし今ではその共通の敵もいなくなり、また、どんな場面でも自分の信念・心情を貫くことが大切と考える若い人もどんどん減ってきました。それにあわせて、人間関係においても相手に合わせて付き合いの物差しを変えて行ったほうが良いと考える人たちが増えてきました。

 

新聞の投書にも「友だちを使い分けています」(17歳女子)といったものとか、「友だちは共感するならシェアするけど、気が合わなければ付き合わなければいい」(18歳男子)といった高校生の言葉が見られるように、人間関係の使い分けと棲み分けが進行しているようです。調査データでも、遊ぶ内容によって一緒に遊ぶ友だちを使い分けると答える若者が7割を超えています。また、友人と知り合った場所の数も最近は減ってきています。友人関係における若い人の行動範囲が狭くなり、人間関係の分断化が起きているようなのです。

 

若年層におけるこのような人間関係の分断化は、この世代の視野狭窄を招いている可能性があります。生活圏に分断線が走っていると、自分たちとは異質な人々と出会う機会が減っていくので、その結果として相対的不満が高まらないのです。そして、現在の生活に満足してしまう。これだけ若年層の相対的貧困率が上昇しているにもかかわらず、相反するように若年層の生活満足度が上昇している背景には、このような「生活圏の分断化」もあると考えられます。

 

連載つづく