ニューリーダーからの1冊

細胞生物学が専門の末次志郎先生(奈良先端科学技術大学院大)がおススメ
「とにかく力強い人です。勇気づけられます。」
『ヒトゲノムを解読した男 クレイグ・ベンター自伝』
(化学同人)
ベンチャー企業「セレーラ」を率い、世界中の科学者を敵にまわして、熾烈なヒトゲノム解読競争を繰り広げたクレイグ・ベンター。今、最も熱い科学者の待望の自叙伝。
[出版社のサイト]
秩序だった細胞は美しい。なぜ規則正しい構造になるのか探る
末次志郎先生 奈良先端科学技術大学院大学
<専門分野:細胞生物学、構造生物学>

すべての生き物の最小構成単位である「細胞」。その形態の変化をみつけることで、ガンなどの診断が行われる。細胞の形態と機能は密接に関わっているのだ。 末次先生は、シャボン玉のような不定形な「細胞膜」を持つ細胞がどうして規則正しく、決まった大きさの構造を保てるのかの研究で貢献。
先生
末次志郎(すえつぐしろう)
専門分野:細胞生物学、構造生物学
奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 分子医学細胞生物学 教授
1974年広島県生まれ 神奈川県立光陵高校出身
研究
私は、すべての生き物の最小構成単位である「細胞」の形態を研究しています。なぜそれが重要かというと、例えば、ガンは、ほとんどの場合、細胞の形態が変化していることを見分けることによって診断がされます。つまり、細胞の形態は細胞の機能と密接に関わっているため、その形態と成り立ちを研究しているのです。
特に、細胞の一番外側の、直接細胞外とやり取りを行う「細胞膜構造」を研究しています。細胞は、シャボン玉のような不定形な細胞膜を持ちますが、何かが、細胞を規則正しい構造に変換しています。私はそのような変換素子であるタンパク質を見つけ、それがどのように機能するかに関して、重要な成果を上げました。進歩の著しい生命科学にあって、新たな方向性も探っています。

この道に入ったきっかけ
生命の研究をしようと思ったのは、大学に入り、DNAからRNA、タンパク質に至る転写翻訳の原理を知り、あいまいでない明快な論理があることを知ったため。大学に入った1990年代後半は、全ゲノムがまもなく解明されるだろうという時期で、これからすごいことが起こるのではないかというわくわくする感じがありました。
中高時代
小さい頃から鉄道が好きでした。今も変わりません。生物学とは遠く感じますが、要素の構成やネットワーク等共通することは多いと思います。細胞の形が単一でなく、しかも細胞の形が変化すると細胞そのものが動くと知ったときに、細胞の形態の形成の仕組みを知りたいと思いました。
登山の部活に所属していました。山では、自分の脚で最後までどんなに苦しくても歩かなければ行けません。登山を始めて、自分でやらなければどうにもならないことを学んだと思います。

趣味・休日は?
東京の大学にいた時は、皇居の周りを走っていましたが、奈良に転居してからは、周囲の田園をジョギングしています。空気が良く、走りやすいです。
おすすめの本、漫画