ニューリーダーからの1冊

感染症学が専門の西川義文先生(帯広畜産大)がおススメ
「感染症研究に従事する研究者の使命感が伝わります」
『ホット・ゾーン』リチャード・プレストン(飛鳥新社)
2014年西アフリカで猛威を振るったエボラ出血熱。死者は1万人を超えている。そのエボラ出血熱の脅威の感染メカニズムから、医療関係者や軍関係者たちの命をかけた戦いまでを描く、手に汗にぎるノンフィクション。全世界で大ベストセラー。
[出版社のサイトへ]
食糧生産を脅かす、家畜の寄生虫感染症と闘う
西川義文先生 帯広畜産大学
<専門分野:感染症学>

ヒトや動物に深刻な被害をもたらす寄生虫感染症を予防できるワクチンの開発をめざす。研究への意欲を駆り立てるのは、開発途上国での現地調査で家畜や畜産関係者の悲惨な状況を目の当たりにし、自分がワクチンを作ることで、世界の食糧生産や、それにかかわる人々の生活に貢献したい!という思いだ。
先生
西川義文(にしかわよしふみ)
専門分野:感染症学
帯広畜産大学 原虫病研究センター 生体防御学分野 准教授
1973年愛知県生まれ 愛知県立中村高校出身
研究
感染性の病原体が動物の中で病気を引き起こす仕組みを理解し、予防や治療法の開発につながるような基礎研究を行っています。
感染症の研究分野は、ウイルス学、細菌学、寄生虫学に分けられます。私の研究対象である寄生虫については、ヒトの寄生虫感染症であるマラリアが有名ですが、食糧生産と食の安全の観点から、家畜に深刻な被害をもたらす寄生虫感染症の予防も重要な課題です。
私の研究目標は、寄生虫感染症を予防できるワクチンを開発すること。寄生虫は動物の体内に潜り込み、その中で分裂・増殖を繰り返し、動物を死に追いやります。したがって、体内に潜んだ寄生虫を、いかに発見して殺すかが鍵になります。私は寄生虫が感染した細胞をまるごと殺滅する戦略でワクチン開発を進めています。小動物を用いた実験ではワクチンの有効性を確認できているため、現在はウシ等の大型動物を対象にした実験でワクチン効果を検証しており、できるだけ早く実用化につなげたいと考えています。

この道に入ったきっかけ
学部4年・修士課程では、ウイルスに関する研究をしていましたが、研究者になるということまでは考えていませんでした。そんなころに寄生虫のことを知り、宿主に寄生することで生存するというユニークな寄生戦略に好奇心を抱きました。さらに、寄生虫のワクチンは実用化されてないという現状を知り、自分が世界に先駆けてワクチンを作りたいという思いを抱き研究の道に進みました。
大学時代
自分のアイデアによって、世界で初めての仕事を成し遂げたいという思いがありました。大学院では自分で研究テーマ設定し、論文を10報以上書くことを目標として研究に取り組んでいました。
趣味・休日は?
大学の留学生とサッカー交流をしています。休日には娘と料理とお菓子作りをします。

おすすめの本、雑誌