ニューリーダーからの1冊

ロボティクスが専門の小森雅晴先生(京都大)がおススメ
「難題に挑戦する際の考え方が記されていて特に印象に残っている本です。」
『成功への情熱―PASSION―』
稲盛和夫(PHP文庫)
京セラを造り上げ、次々と新事業に挑戦する、京セラ名誉会長・稲盛氏が、人生と仕事の成功哲学を語ります。
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不可能を可能に。機械システムやロボットで人々を幸せに
小森雅晴先生 京都大学
<専門分野:メカニズム、ロボティクス、デザイン、超精密計測>
前後、左右、斜め、どの方向にも移動できる未来型の乗り物の開発に成功! 人の幸せに貢献する新しい機械システムやロボットの開発をめざす。小森先生は企業勤務をしていたが「世界中で自分しか持っていない技術・能力を身につけたい」という思いから大学での研究の世界に転身したユニークなキャリアの持ち主だ。
先生

小森雅晴(こもりまさはる)
専門分野:メカニズム、ロボティクス、デザイン、超精密計測
京都大学
大学院工学研究科 機械理工学専攻 准教授
(工学部 物理工学科 機械システム学コース)
1973年滋賀県生まれ 滋賀県立彦根東高校出身
研究
人の幸せに貢献するための新たな機械システムやロボットが求められていますが、私はこれまでにないメカニズムやロボット機構を生み出し、これまで不可能と考えられてきた機能を実現してきました。トラックやバスは速度に応じて変速作業が必要となりますが、その間はエンジンからタイヤに駆動力が伝わりません。もし伝わるようになれば燃費の向上とH2Oの削減に繋がります。
0.0001~0.001mmという超高精度でメカニズムに用いる機械部品を計測できるようになれば、ロボットはより正確な動作ができるようになります。これにより、人にやさしい機械システムの実現をめざしています。震災後、「機械システムを通した人類への貢献」という考えをより強く意識するようになりました。

上記は、小森先生が開発した、どの方向にも移動できる、未来型の乗り物Permoveh(パーモビー)。全方向駆動車輪を用いることにより、前後・左右・斜めのどの方向にも、素早い移動が可能に。オフィスや病室、エレベータなどの狭いスペースでの移動が簡単になるため、車いすや高齢者用の移動装置、工場や倉庫での移動車両などに実用可能と考えられます。


変速時に駆動力抜けのない変速システムを開発。減速比を滑らかに変化させることができる非円形歯車を採用しており、変速中でも駆動力を伝えることが可能となります。この変速システムを電気自動車に搭載した場合、従来と比較して、約10%の走行距離延長効果が期待できます。
この道に入ったきっかけ
大学院修士課程を修了後に、企業に就職しましたが、以前から「世界中で自分しか持っていない技術・能力を身につけたい」という思いがあり、企業勤務時代はそのような思いと環境との間にギャップがありました。そのため、大学での研究という世界に転身しました。小さなころから自動車やロボットなどの機械が好きでしたので、この分野での研究の道を進むことにしました。
先生の専門分野に触れる本
『エンジンのロマン―発想の展開と育成の苦闘』
鈴木孝(三樹書房)
これまでのエンジンの歴史が描かれています。