ニューリーダーからの1冊

神経科学専門の村松里衣子先生(大阪大)がおススメ

 

『胎児の世界―人類の生命記憶』

三木成夫(中公新書)

解剖学者三木成夫先生が、生命の進化を紹介。科学的な内容がとても美しく書かれています。

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世界でも類似研究の少ないユニークな着眼点で、神経再生研究に貢献

村松里衣子先生 大阪大学

<専門分野:神経科学>

子どもの神経細胞の発達は大人のそれに比べめざましいということが知られている。この子どもの盛んな神経の発達を模擬し、再生しにくい大人の神経細胞に応用するという、世界でもまだ類似研究の少ないユニークな着眼点で、神経疾患治療、神経疾患の薬の開発を目指す。

 

 先生

村松里衣子(むらまつりえこ) 

専門分野:神経科学、神経化学・神経薬理学

大阪大学 医学部 医学科/医学系研究科 医学専攻 准教授 

1980年福井県生まれ 福井県立高志高校出身

 


 研究

神経細胞を再生する研究に携わっています。成長期の子どもの神経細胞に比較し、大人の神経細胞は再生することがとても難しいです。その理由の一つに、大人の神経細胞に備わる潜在的な能力が低いことがあげられます。私は学生時代に子どもの神経発達についての研究に携わっており、大人の神経を子どもの神経細胞に近づければ、子どもの盛んな神経発達を模擬でき、結果として神経再生が生じる可能性を考えました。世界的にも同じ着眼点からの研究はまだ乏しく、神経再生研究の発展に少しですが貢献できたのでないかと考えています。

 

子どもを出産し、育児をしながら研究を続けています。独身のときのように、研究で深夜まで残ることができなくなったため、限られた時間に集中し、成果がでるよう努めています。周りの先生方からのサポートや友人、家族からの応援にいつも感謝しています。

研究室の学生たちと
研究室の学生たちと

この道に入ったきっかけ

研究者の父の影響で、子どものころから漠然と研究職を意識していました。薬学部で病気を学ぶ中で、神経疾患の治療のむずかしさを知り、神経疾患の薬の開発に興味を持ちました。

 


中高時代

医療に対して興味を持っており、中学から高校卒業まで、老人ホームで母と弟と毎週ボランティア活動を行っていました。高校時代には、病院での看護体験にも参加しました。

 


趣味・休日は?

趣味はガーデニング。色を揃えて花を植えるのがマイブームで、今は青い花で揃えています。休日は家族でバーベキューによく行きます。焦がして食材を無駄にしないようにするため、メニューや焼き方に工夫するのが好きです。

  


おすすめの本、映画

『胎児の世界―人類の生命記憶』

三木成夫(中公新書)

文系の友人に勧められて、手に取りました。内容は個体発生に関することですが、科学的な内容をとても美しく記述しています。

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『ロレンツォのオイル』

アメリカ映画。難病のわが子のために、両親が治療法を自力で探す内容で、実話が基になっています。自分が何のために研究をしているのか、再認識させられます。

 


先生の専門分野の本

『神経科学 ―脳の探求』

M.F. ベアー、B.W. コノーズ、M.A パラディーソ

加藤宏司、後藤薫、藤井聡、山崎良彦:監訳(西村書店) 

専門書。神経科学の広範な領域をわかりやすく説明してあります。

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『細胞の分子生物学』

ALBERTS/JOHNSON/LEWIS/RAFF/ROBERTS/WALTER

中村桂子,松原謙一:監訳 青山聖子,滋賀陽子,滝田郁子,中塚公子,羽田裕子,宮下悦子:訳(ニュートンプレス) 

専門書。大学院入試対策などで多くの方が読んだ経験をお持ちと思います。

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