ニューリーダーからの1冊

医療系薬学が専門の大槻純男先生(熊本大)おすすめ

 

『君たちに伝えたい3つのこと 仕事と人生について科学者からのメッセージ』

中山敬一(ダイヤモンド社)

仕事としての科学者とはどういうものかの一端が見えます。たった一度の人生をどう生きるか?

[出版社のサイトへ]

タンパク質に注目した診断法でオーダーメイド治療に貢献

大槻純男先生 熊本大学

<専門分野:医療系薬学>

薬でやっかいなのは、患者によって効き目と副作用がまちまちなこと。最近、遺伝子検査で個々の体にあったオーダーメイドの薬剤治療が行われるようになっているが、これも限界に来ている。そこで大槻先生らは、遺伝子よりも、生命活動を直接担っているタンパク質に注目した新しい診断法の開発に着手。さらに難病を治す技術の実用化をめざしている。

 

 先生

大槻純男(おおつきすみお) 

専門分野:医療系薬学

熊本大学 薬学部 創薬・生命薬科学科、薬学科

/生命科学研究部 薬学微生物学分野 教授

1968年東京都生まれ ラ・サール高校出身

 


 研究

個々の患者によって薬の効き目も副作用もまちまちです。現在、どの薬が効くかということは遺伝子検査で行われていますが、限界に来ています。私は遺伝子を使うより、生命活動を直接担っているタンパク質のほうが個々の患者の特徴をつかめると考え、タンパク質の量を測るまったく新しい、用途の広い技術を開発しました。この技術は日本、アメリカ等の複数の国で特許として成立しており、さらにベンチャー会社を設立し、成果を患者や医師に還元できるよう技術の実用化に努めています。

 

私たちの技術を用いて、実際に患者さんにどの薬が効くか医師が判断し、実際に患者さんのがんが縮小したときは、自分たちの基礎研究が実際の患者さんの役に立ったという大きな達成感がありました。また、患者さんのご家族から感謝の言葉があったことを伺ったことは、研究推進の大きなモチベーションとなっています。

 


この道に入ったきっかけ

祖父、父親ともに研究者であったことが大きく影響しています。昆虫が好きで、小学校から生物の研究者となることをめざしていました。 

 


中高時代

コンピュータとサッカーに熱中していました。寮生活だったため大人数での生活が非常に印象に残っています。高校の数学の先生に大きな影響を受けました。パズルを解くように意外な解き方をする思考回路にあこがれました。

 


趣味・休日は?

研究が趣味ですが、外部へのアピールツールとして新しいwebシステムにも興味を持っています。休日のジョギングで距離と時間が延びるのも楽しみです。

 


おすすめの本

『君たちに伝えたい3つのこと 仕事と人生について科学者からのメッセージ』

中山敬一(ダイヤモンド社)

仕事としての科学者とはどういうものかの一端が見えます。たった一度の人生をどう生きるか?

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先生の専門分野に触れる本

『細胞の分子生物学』

Julian Lewis、Martin Raff、Peter Walter、Keith Roberts、Alexander Johnson 中村桂子、松原謙一:監訳(ニュートンプレス)

教科書で興味のわいた領域を深く理解するのために、いろいろなマルチメディア資料も含まれており良い専門書です。

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生物の教科書

生命科学に興味があるときは、生物の教科書で興味のあるところを探してみてください。