この仕事をするならこんな学問が必要だ
<情報システム業界編>
ITで社会を大きく変えるシステムを作るシステムインテグレーターの仕事
株式会社NTTデータ
技術開発本部 城塚音也さん
第2回 お客様がどんなサービスが欲しいか、半歩先を先読みして提案。それには「サービス情報学」が必要

NTTデータの仕事について話しましょう。
お客様の業務を把握し、課題解決のためのコンサルティングから設計、開発、運用・保守までを請け負うのがシステムインテグレーターの仕事です。システムインテグレーターによってはコンサルティングと設計のみ、開発のみなど全工程の一部分のみを請け負う企業もありますが、NTTデータはトータルコーディネーターとしてコンサルティングから運用・保守までの全工程を一貫して請け負い、ハードウェアメーカーや通信キャリアなどと協力しながらシステム開発およびプロジェクトの全体統括を行っています。
求める人材は、システム作りの会社ですから、計算機科学が必須と思うでしょう。でも、当社の採用においては特に理数系に限定されているわけではなく幅広く採用をしています。
研究部門における配属も同様で、私も文系の出身です。当社の研究開発の場合、基礎研究はNTTの持ち株研究所が担い、NTTデータはビジネスに適用させるための応用研究が中心です。
お客様にどんなサービスが求められているのか、もしくはお客様のニーズの半歩先を先読みし、どのようなサービスが役に立つのかなど、仮説を立て、予想・検証をします。検証においては、POC(プルーフ・オブ・コンセプト)といって、その仮説が実際に役に立つのか、お客様にもご協力いただき、実証を行うこともあります。応用研究は、研究分野でもお客様の声により近いところでできるのが魅力のひとつです。
求める人材は幅広くと言いましたが、強いて言えばNTTデータの仕事に必要な学問は、「ウエブ情報学・サービス情報学」というあたりではないかと思います。例えば新しいサービスを作るためのサービスサイエンスやサービスデザイン、サービス工学などのようなサービス情報学の出身者がますます必要になってくると思います。
また、NTTデータグループの場合、海外にもグループ会社社員が多く、国際的に連携しながら進めるビジネスが増えています。例えば最近も、飛行経路設計システムの「PANADES」がミャンマーやカンボジアなどに採用されています。そういう意味では、英語力の必要性は高まっています。
興味がわいたら

『マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話』
森川幸人(新紀元社)
かつて一世を風靡したAI(人工知能)が再び脚光を浴びている。近年、AIを備えたコンピュータが人間のクイズ王やプロ棋士に勝つようになり、あと10年もすれば、人間の仕事の半分はコンピュータに置き換わると予測する声もある。本書は、そんなAIの仕組みと、その活用方法をデザイナー・クリエーターである筆者が非常にわかりやすく説明しています。やや古い本なので、読んでみて、AIについてもっと詳しく知りたくなったら、最近のAIの動向は別の本を探してみると良いでしょう。
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高校生へのおススメ本


2016/11/21連載開始
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