この仕事をするならこんな学問が必要だ

<情報システム業界編>

ITで社会を大きく変えるシステムを作るシステムインテグレーターの仕事

株式会社NTTデータ

技術開発本部 城塚音也さん

第3回 人間の心理とゲームを組み合わせたシステムの研究も進む

IT化により業務の自動化があらゆる場面に浸透しています。しかし、全く人がいらなくなったわけではありません。例えば、ATMの導入後も、銀行窓口業務がなくなっていません。窓口に来るお客様が減っても、人対人の人間的な接触はやはり必要ということでしょうか。

 

ただ、IT化により、なくなった仕事もあります。昔は全部紙でしていた仕事がペーパーレス化によって、注文書の受注入力や作業・業務指示入力、経理データ入力をするデータエントリーといった仕事は大きく減ってしまいました。しかしその分、独創的な仕事に人を回せるということです。お客様が何を求めているかを見つける目や、今までにないような新しい価値を持ったサービスを作るスキルを持った人材が求められるようになるということですね。

 

私たちNTTデータの技術開発本部で行っている応用研究が、今後どう社会に生かせるかについて話しましょう。1つにはゲーミフィケーション(ゲームの仕組み)を取り入れ、人間の心をモデル化したシステムの開発が増えるだろうと予測します。例えば仕事の量や質に応じてポイントが貯まる仕組みにより、より頑張れ、業績が上がるようなシステムを作るというようなことが考えられます。つまり人間の心理のモデル化をし、そこにゲームを組み込み、仕事の効率を上げようという考えで、教育用のタブレットや事務センタの業務支援ソフトといったものに応用されつつあります。

 

また、最近よく言われるようになったものに、ウェアラブルデバイスコンピュータがあります。iWatchのように、身につけて持ち歩くことができるコンピュータのことです。グーグルグラスのようなメガネ型や指輪のように指にはめる形のものもあります。そうした身につけるというセンサーやコンピュータデバイスというコンセプトの普及により、人間の能力の自然な“拡張”が可能な社会になるのではと期待されています。

 

最近非常に注目度の高い人工知能も、人間の能力を飛躍的に拡張させる技術です。「ロボットは東大に入れるか」という目標で研究・開発が進められている「東ロボくん」プロジェクトは、人工知能の新しい流れでしょう。様々なセンサーを用いて、自動的に車両を動かす自動運転車も人工知能の新たな応用先と言えます。

 

当社では、大学、海外研究機関と連携し、先進技術を使った新たなサービスの創造に積極的に取り組んでおり、多言語ツイッター分析、次世代交通システムなどが生まれています。最近の話では脳科学を応用したマーケティングサービスが開始しました。ITの進化によって、世の中の変化は急激に加速しています。そこに常にアンテナを張ったサービス作りは欠かせません。

 

おわり

この業界を担う研究を行っている大学(特に城塚さんが関わってきた自然言語処理分野に関して)

奈良先端科学技術大学院大学

情報科学研究科 情報科学専攻 メディア情報学領域

【自然言語処理】自然言語の計算機による解析と理解を中心テーマに、世界トップレベルの研究を行っている。

情報科学研究科 HP

<主な研究室>

自然言語処理学研究室(松本裕治研究室)HP

 

筑波大学 

理工学群 工学システム学類/システム情報工学研究科 知能機能システム専攻

【自然言語処理】自然言語処理の基盤から応用に至る幅広い研究を行っている。

工学システム学類 HP

<主な研究室>

自然言語処理研究室(宇津呂研究室)HP

 

興味がわいたら

『マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話』

森川幸人(新紀元社)

かつて一世を風靡したAI(人工知能)が再び脚光を浴びている。近年、AIを備えたコンピュータが人間のクイズ王やプロ棋士に勝つようになり、あと10年もすれば、人間の仕事の半分はコンピュータに置き換わると予測する声もある。本書は、そんなAIの仕組みと、その活用方法をデザイナー・クリエーターである筆者が非常にわかりやすく説明しています。やや古い本なので、読んでみて、AIについてもっと詳しく知りたくなったら、最近のAIの動向は別の本を探してみると良いでしょう。

[出版社のサイトへ]

高校生へのおススメ本

『理科系の作文技術』

木下是雄(中公新書)

論文やレポート等大学では、わかりやすく明快な文章を書くことが求められます。本書はその助けになるでしょう。

[出版社のサイトへ]

『知的生産の技術』

梅棹忠夫(岩波新書)

大学や社会人の勉強の仕方を教えてくれる本です。古い本ですが、新たな価値を生み出す研究活動に役立ちます。

[出版社のサイトへ]

 

2016/11/21連載開始

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