この仕事をするならこんな学問が必要だ<IT業界/金融・決済サービス>

ネット上の膨大なデータを分析し新しい価値を創造 〜IT、数学、統計学を駆使するデータサイエンティストの活躍

株式会社メタップス

データインテリジェンス統括部 マネージャー データサイエンティスト

有井勝之さん

データインテリジェンス統括部 データサイエンティスト

西口真央さん

 

第3回 IoT時代を迎え、ますます活躍が期待されるデータサイエンティスト

——データサイエンティストの仕事について、もう少し教えてください。

有井さん:昔は、企業のマーケティングは、アンケート調査をするなど自分たちで情報を集めて分析していましたが、インターネットの登場で情報は自然に蓄積される時代になりました。モノがインターネットにつながるIoTの時代になると、情報はさらに増えます。そこで、生のままでは、雑多な情報が混ざっていたり、様式が統一されていなかったりするデータを扱って、有意義な情報を見つけ出す人間が必要になったというわけです。

 

分析そのものはコンピュータがしてくれますが、「このあたりに規則性がありそうだ」と仮説を立てて、分析する視点は人がコンピュータに与えなくてはなりません、使う統計学の手法や使うソフトウエアも、人が選ぶ必要があります。また、例えばあるアクセス履歴が1900年だったらPCがない時代だからおかしいという判断も、人が行ってコンピュータに覚えさせていきます。

 

なお、データサイエンティストは、私たちのように、Webサイトやアプリケーションを通した情報を解析して売上げ向上などに活かすだけでなく、様々な場所で活躍しています。例えば、IT化された工場の大量の製造データを分析して不良品を減らしたり機械の故障を事前に察知したり、人が運転する車の情報を集めて、そのビッグデータを解析して自動運転車の開発に活かすなど、どのデータをどこでどう活用するかは、アイデア次第です。

 

——データサイエンティストにはどんな知識や技術が必要ですか。

西口さん:IT、数学、統計学に加え、応用する分野の知識が必要です。私たちならマーケティングなど経営学の知識が必要で、工場に応用するなら製品や機械、あるいは品質管理といった知識が必要ということになるでしょう。

 

ただ、同じデータサイエンティストでも、仕事によって必要なレベルは異なります。分析のためのアルゴリズムを書く人には高度な数学が必要ですが、すでにあるソフトウエアを利用して分析する人は、ソフトウエアがどのような計算をしているかを理解できる数学力があれば、ソフトウエアを使えることが条件となります。そのためには、高校の数Ⅲレベル、行列、微分積分は必要ですね。これに加えて、統計学の基礎は最低限把握している必要があります。

 

ITについては、ソフトウエア、データベースなど全ての分野が必要です。とはいえ、全ての技術をひとりで持っている必要はなく、それぞれ得意な領域を持って、仕事をしています。

 

有井さん:最も大切なのは、算出された係数が何を意味するかを読み解く力です。数学が全くダメでは困りますが、文系出身の優秀なデータサイエンティストもたくさんいます。さらに、社会や人に興味を持って、人がなぜこのように動くのだろうと、理解しようとする力が重要です。

 

——有井さんと西口さんのバックグラウンドは何ですか。

 

有井さん:私は、大学・大学院では物理学の研究をしていました。物理は物事の規則性を見つけて数式で表現する学問ですから、物理のセンスは、今の仕事に役立っています。大学卒業後はコンサルティング会社に就職し、その後保険会社に転職して、生存リスクなどリスクの評価をしていました。さらに楽天でデータサイエンティストの仕事に就き、現在はメタップスで同じくデータサイエンティストとして働いています。

 

西口さん:私は大学院で経営学の研究をしていました。データマイニングや機械学習と呼ばれる分野をどうマーケティングに活かし、売上げに貢献させるのかを考える応用研究をしていました。

 

——データサイエンティストはこれから、ますます必要になりますね。

 

有井さん:データをマーケティングに利用する場合、かつては、自社内のデータ量が豊富な大企業が有利だと言われていましたが、現在、データはそれほど膨大になくても、有為な規則性を見つけられるようになりました。そのため、メタップスのような企業にデータの分析と提案を依頼することで、小さな会社もデータを活用できるようになりました。今後、データサイエンティストの活躍の場は、さらに大きく広がると考えています。

 

おわり

 

インタビュー

データサイエンティスト 有井勝之さん インタビュー

(データインテリジェンス統括部 マネージャー )

データサイエンティスト 西口真央さん インタビュー

(データインテリジェンス統括部)

興味がわいたら

『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』

森岡毅、今西聖貴(KADOKAWA)

人間の日々の意思決定行動を数式で表現し、説明しているだけでなく、ビジネスにおける意思決定でどのように活用されているのかを具体例をもとに紹介しています。また、物事を確率的に捉えているあたりが本質的でもあり、うまく整理されています。数式もいくつか出てきますが、ビジネス的な意味合いをつけて説明しているのでとてもわかりやすくなっています。数学が実社会にどのように役立っているのかをイメージできる点がとてもよいです。

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『王様達のヴァイキング』

さだやす、深見真(小学館ビッグコミックス)

40代のエンジェル投資家と18歳の天才ハッカーが、サイバーセキュリティを舞台に活躍する物語。現在、あらゆるものが当たり前のようにネットに繋がり、とても便利な世の中になりました。その一方で、サイバー攻撃の脅威もすごい勢いで増大しています。この漫画を通して、テクノロジーの可能性と脅威の両面を考えるきっかけになればと思います。また、弊社と近い業界、いわゆるITベンチャーで働く人たちもよく登場してきます。新卒で大手企業の内定を蹴って起業し、数年後に20億円で売却したエピソードや、数人で起業してSNSを作りどんどん会社が大きくなっていく話は高校生にとっても刺激的だと思います。

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『疲れない脳をつくる生活習慣』

石川善樹(プレジデント社)

毎日、全力かつ絶好調で過ごすためのマインドフルネス入門書。パフォーマンス良く受験勉強をするための心得的な本。

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『インベスターZ』

三田紀房(講談社モーニングKC)

中高一貫校の各学年の成績トップ6人のみが参加する投資部が舞台の漫画。学校の資産である3000億円を運用し、様々な投資に挑戦します。お金とはなにか、投資とはなにかを楽しく学ぶことができます。

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『「大発見」の思考法』

山中伸弥、益川敏英(文春新書)

考え続けることの重要性を教えてくれる本。真似できるところ(すべきところ)がたくさんあります。

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『未来に先回りする思考法』

佐藤航陽(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

弊社CEOの著書。イノベーションはどのようにして起こるのか、テクノロジーは何を解決するものかなど、未来を予想するためのヒントが書かれています。これからの未来を共に作っていく高校生たちにもぜひ読んでほしい本です。

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『あさきゆめみし』

大和和紀(講談社KCデラックス)

源氏物語の勉強になることはもちろん、1000年たっても基本的に人間の本質は変わっていないんだなぁと考えさせられます。人をより科学的に理解したいと思ったきっかけの本です。(有井さん)

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『「フカシギの数え方」おねえさんといっしょ!みんなで数えてみよう!』

https://www.youtube.com/watch?v=Q4gTV4r0zRs (MiraikanChannel)

10分くらいの動画です。スーパーコンピュータで25万年もかかる数え上げの問題も、最先端のアルゴリズムを使えばたった数秒で数え上げることができることを伝えています。アルゴリズムに興味を持つきっかけになればと思い推薦します。

 

『TED』

https://www.ted.com/

様々な分野の人の英語によるプレゼンテーションは、英語の勉強に最適。教養としても幅広く学べるのでテーマは絞らず、幅広く。基本的に話が上手なので、何を聞いても面白いです。 

『まおゆう魔王勇者』

燈野ままれ(KADOKAWA)

魔王と勇者が手を組み、より豊かな社会の創造を目指すファンタジー小説。社会や経済の仕組みや歴史を学ぶことができます。そして魔王がかわいい。

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