この仕事をするならこんな学問が必要だ<IT業界/金融・決済サービス>

データサイエンティスト 西口真央さん インタビュー

株式会社メタップス データインテリジェンス統括部 

■西口さんの担当する業務は、どんな仕事でしょうか。

 

社内外のあらゆるデータを集め、それらを利用した新サービスや事業を考える仕事を行なっています。私は、大規模なデータを実際に解析して知識を発掘したり、どのようにデータを活用できるかを、試行錯誤しながら考えたりする役割を担っています。データの利活用は、多くの組織で考えられており、これから社会のあり方を大きく変える可能性のある、非常にやりがいのある分野です。

 

■現在、西口さんが担当する業務(仕事)に、関係が深い専門知識を、3つ選ぶとすると、どんな分野でしょうか。

 

(1)「機械学習、ニューラルネット、ディープラーニング、マイニング」

(2)「統計学応用・統計科学(多変量、トレンド予測・分析、社会調査等)」

(3)「マーケティング・流通・保険」

予測モデルの構築やデータ分析が主な仕事となるので、(1)や(2)が必須になってきます。また、その前段階として、予測や分析の目的を設定する必要もあるため、マーケティングや業界の知識も必要となります。

 

■大学ではどんなことを学んでいましたか。そして、それは、今の仕事とどのようにつながっていますか。

 

大学では経営情報論を専攻していました。具体的には、データマイニングと呼ばれる、大規模なデータから興味深い知識や法則を発見する技術を、いかにビジネスやマーケティングに活かすかを考える研究をしていました。客観的事実に基づき意思決定を行う点や、人間の能力では到底処理できない量の膨大なデータから、あらゆる技術を駆使して価値ある知識を発掘することの面白さにハマり、この専門スキルを直接活かせるデータサイエンティストとして就職しました。業務ではあらゆるソーシャルゲームやメディアなどのデータ分析や新規事業開発を行なっています。

 

■大学時代で影響を受けた先生はいらっしゃいますか。

 

経営情報論の森田裕之先生です。私の担当教授でした。非常に聡明で、かつ仕事と教育にとても熱心な方です。データマイニングの本質や仕事の進め方、クリエイティブ能力など、多くのかけがえのないスキルを学びました。特に尊敬している面は、突飛なアイデアでも否定せず、結論を急がないところです。たとえどれだけ知識が増えても、こういった姿勢は大切にしたいと思います。

 

■高校時代は、どのように学んでいたか、何に熱中していたかを教えてください。

 

どの教科でもそうなのですが、特に数学や歴史を学ぶにあたって、単に暗記するのではなく仕組みや背景を理解することを心がけていました。研究とは、先人たちの知見を理解し、利点と課題を踏まえた上で新しいものを付け加える作業なので、高校時代の学問への姿勢が活きたと思います。また高校の時は、トランプや麻雀をよくやっていました。その遊びを通して、確率や心理分析の面白さを学びました。それがデータ分析という今の業務への関心につながったと思います。

 

■西口さんの業務に関連する専門分野が学べる大学を挙げてください。

 

・総合研究大学院大学 複合科学研究科 情報学専攻/国立情報学研究所

【機械学習の基礎研究全般】次世代のアルゴリズムの研究や実装を行なっています。情報系の研究に集中するには良い環境かと思います。

(情報学専攻HP http://www.nii.ac.jp/graduate/

 

 

・大阪府立大学 現代システム科学域 知識情報システム学類/人間社会システム科学研究科 現代システム科学専攻

【データマイニングや機械学習技術のビジネス応用】こちらは応用研究。基礎理論を、どうやって活かすかを考えます。生協のPOSデータの分析や様々な企業との共同研究を行なっており、社会人として必要な分析スキルが身につくと思います。

(知識情報システム学類HP http://www.kis.osakafu-u.ac.jp/

 

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『王様達のヴァイキング』

さだやす、深見真(小学館ビッグコミックス)

40代のエンジェル投資家と18歳の天才ハッカーが、サイバーセキュリティを舞台に活躍する物語。現在、あらゆるものが当たり前のようにネットに繋がり、とても便利な世の中になりました。その一方で、サイバー攻撃の脅威もすごい勢いで増大しています。この漫画を通して、テクノロジーの可能性と脅威の両面を考えるきっかけになればと思います。また、弊社と近い業界、いわゆるITベンチャーで働く人たちもよく登場してきます。新卒で大手企業の内定を蹴って起業し、数年後に20億円で売却したエピソードや、数人で起業してSNSを作りどんどん会社が大きくなっていく話は高校生にとっても刺激的だと思います。

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『インベスターZ』

三田紀房(講談社モーニングKC)

中高一貫校の各学年の成績トップ6人のみが参加する投資部が舞台の漫画。学校の資産である3000億円を運用し、様々な投資に挑戦します。お金とはなにか、投資とはなにかを楽しく学ぶことができます。

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『未来に先回りする思考法』

佐藤航陽(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

弊社CEOの著書。イノベーションはどのようにして起こるのか、テクノロジーは何を解決するものかなど、未来を予想するためのヒントが書かれています。これからの未来を共に作っていく高校生たちにもぜひ読んでほしい本です。

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『「フカシギの数え方」おねえさんといっしょ!みんなで数えてみよう!』

https://www.youtube.com/watch?v=Q4gTV4r0zRs (MiraikanChannel)

10分くらいの動画です。スーパーコンピュータで25万年もかかる数え上げの問題も、最先端のアルゴリズムを使えばたった数秒で数え上げることができることを伝えています。アルゴリズムに興味を持つきっかけになればと思い推薦します。

 

『まおゆう魔王勇者』

燈野ままれ(KADOKAWA)

魔王と勇者が手を組み、より豊かな社会の創造を目指すファンタジー小説。社会や経済の仕組みや歴史を学ぶことができます。そして魔王がかわいい。

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