この仕事をするならこんな学問が必要だ 
<住宅設備、金属・セラミクス業界>

材料工学、機械、電気・電子工学の技術を結集し、世界に誇るハイテクトイレを開発

株式会社LIXIL 

トイレ・洗面事業部 洗面開発部 羽柴千明さん

 

第2回 汚れも水アカもつきにくい衛生的なトイレを開発

最近では、汚物や水アカの付着を防止する新技術を使った『アクアセラミック』と名づけた衛生陶器を開発しました。

 

陶器は親水性が高い素材です。親水性が高いということは、陶器と汚物の間に水が入り込み、きれいに汚物を流すことができて衛生的であることから、水回りに使われています。しかし一方で陶器は水と化学反応を起こし、水アカがつきやすい性質も持っています。陶器の表面の水酸基(-OH)に、水アカ成分(シリカ)が化学結合すると水アカになり、これが固着すると、そこにホコリ、鉄分が付着し、細菌が繁殖して黒ずみやピンクカビが発生してしまうのです。汚物と水アカ、どちらも付着しないようにするのが、水回り製品開発の長年のテーマですが、今回、LIXILは、超親水性によって汚れがこれまで以上に付着しないようにするのと同時に、陶器の表面に水酸基が露出しない物質を釉薬と一体化させて、水アカがつかない性質の衛生陶器の開発に成功しました。こうした商品の開発には、材料工学の知識が必要になります。

 

さらに、衛生陶器で実現した「抗菌」の技術を、他の商品素材に順番に広げ、抗菌作用のあるタイル、抗菌作用のあるユニットバスの壁や床などのプラスチック製品の開発へとつなげました。開発にあたっては、対象となる商品の材質の特性にあった材料や方法で、抗菌作用を実現する手法を模索していきました。

 

このようにLIXILでは、セラミックス(陶器)、高分子(プラスチック)、金属など材料の種類にこだわらず、どんな材料がどこに使えるかを幅広く研究し、商品に活かしています。

 

研究所が長期、開発部署が短期の目標を目指し商品を開発

 

トイレに限らず当社の商品はどれも、お客様の使いやすさを追究して、進化し続けています。ちなみに当社には、開発の部署のほかに技術の研究所があります。両者は協力しながら商品を開発しますが、商品開発は、例えば「清潔」がテーマであれば、このレベルの「清潔」はいつまでに、このレベルはいつまでにと、目標を立てて開発しています。このとき、遠い目標に対しては、研究所で様々な可能性を探って研究を進め、近い目標に対しては、今ある技術を使って、開発の部署で商品化のための研究を進めるという役割分担をしています。

 

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