この仕事をするならこんな学問が必要だ

<精密化学製品・機器>

最先端の医療画像を提供するX線撮影システムや医療IoTを実現 〜写真フィルムやデジタルカメラで培った材料工学や画像工学などを基礎に

富士フイルム株式会社

R&D統括本部 メディカルシステム開発センター

鍋田敏之さん

 

第4回 画像処理技術で、見やすいX線画像を形成し、医師の診断をサポート

富士フイルムは、世界で初めてデジタルX線撮影装置(FCR)を開発してから、これまでに膨大な量のX線画像を蓄積しています。X線撮影は身体を通過したX線を捉えて二次元の画像にしますが、実は、二次元の画像の中には三次元の情報が隠されています。そして、これまでに蓄積した膨大な画像情報から、診断に最適な画像とはどのような画像か分析し、患者さんの体厚や、骨格、臓器の配置によって最適な画像処理を行い、診断しやすい画像が得られる画像解析技術を構築しました。

 

重い鉛の板が不要で好評

 

また、バーチャルグリッドという、X線の散乱の影響を補正してクリアな画像を実現する技術も開発しました。患者さんにX線を照射すると、一部のX線は体を透過するうちに散乱(体をまっすぐ抜けずにランダムな方向に進むこと)してしまいます。そこで従来は、散乱を押さえるために、グリッドという鉛とアクリルの格子状の板を患者さんと検出器の間に入れ、散乱したX線をカットしていました。しかし、グリッドは2kg程度の重さがあり、持ち運びがとても大変でした。そこで、これを画像処理でバーチャルに行う技術を開発しました。特にアメリカでは、病院は広く、患者さんも体格の良い方が多くベッドで撮影室まで移動するのも大変で、ベッドサイドでのX線撮影が多いため、このシステムは非常に好評です。

 

バーチャルグリッドなしのX線写真(左)と、バーチャルグリッドを使った写真(右)
バーチャルグリッドなしのX線写真(左)と、バーチャルグリッドを使った写真(右)

なお、画像処理システムの開発には、ITだけでなく、デバイスやセンシングの技術も非常に大切です。例えば、どの装置も使用する際にはノイズが発生しますが、デバイスの技術を知っていると、どれが消してよいノイズかの判断ができ、最高の画像を作ることができるのです。

 

いろいろな機器で撮影された画像情報を一元管理して共有

 

現在、医療の世界は、X線撮影、内視鏡、CT、MRIなど様々な画像のデジタル化が進んでいます。そこで、私は現在、病院の様々な機器で撮影され、別々に保存・管理されている医療画像情報をひとつに束ねるシステムを開発し、見たい画像を同じ品質で、いつでも、病院のどこでも、さらには中核病院、系列の地方病院、クリニックまで連携して見ることのできるシステム、すなわち医療IT、IoTソリューションの開発を担当しています。

 

この業界/職種に関連する技術分野として「医用画像処理」を学べる大学

興味がわいたら

『クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法』

デイビッド・ケリー、トム・ケリー 千葉敏生:訳(日経BP社)

発見・発明は、しっかりと準備し心構えがあるものだけが遭遇するセレンディピティーであると解いた良本。「天才的ひらめきが訪れるのは、単に挑戦する回数が多いだけ。もっと成功したいなら、もっと失敗する心の準備が必要だ」といった失敗のパラドックスの思考は、開発者に勇気を与える。

また、「何かをやってみる」という考え方を一貫して説いており、最終的に創造の飛躍を遂げるためには、とにかく始める必要があり、決して傍観者にならないことだ、という説は、研究開発やサイエンスに携わる者の原点といえる考え方である。

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『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』

グレッグ・マキューン 高橋璃子:訳(かんき出版)

情報の本質を掴み取る、ノイズの中からシグナルを探す、情報の本質を掴み取り、そこに集中する。こうした手法を解説。コミュニケーション能力、効率よくアウトプットを出すコツがつかめる良本。

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『イノベーションのジレンマ 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』

クレイトン・クリステンセン 玉田俊平太:監修、伊豆原弓:訳(翔泳社)

企業は競争相手より優れた製品を供給し続けるべく、性能改良にリソース割くあまりオーバースペックの製品開発をせざるを得ない状況に陥る。他方、最初は一見性能で負けているイノベーションや破壊的製品を軽視してしまい、結果既存企業が潰れていく。そうした失敗をロジカルに説明。性能改良といったリニア思考ではなく、イノベーション・エクスポネンシャル思考の重要性が理解できる良書。

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『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』

バーバラ・ミント 山崎康司:訳(ダイヤモンド社)

論理的な説明、体系的な整理の重要性とその方法を記載した良本。ピラミッドの構造のように問題解決を上位から理解し、ポイントをしっかり腹におとしてから課題解決に取り組むといった、効率的な問題解決手段とわかりやすいプレゼンスキルを獲得できる。

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