この仕事をするならこんな学問が必要だ

<建設業界(コンクリート製品)>

コンクリート製品やスチール製品でインフラを担う

〜道路や橋、港湾、トンネルを造る部材を開発・製造

ジオスター株式会社

技術統括本部 技術部長 高松芳徳さん

 

第4回 材料工学、コンクリート、応用力学、構造力学、地盤力学、水理学の知識をもとに製品を設計

当社で技術職として採用しているのは、ほとんどが土木工学科の卒業生です。ほかには、工場でプレキャストを生産する機械を導入するために、機械工学出身者も採用しています。

 

土木工学科出身者については、土木工学全般の知識を身につけた後、材料工学、コンクリート、応用力学、構造力学、地盤力学、水理学の研究室で卒業研究や修士課程の研究を行った学生がほとんどです。

 

コンクリートは当社で扱う製品そのものですし、製品を設計する際には、応用力学と構造力学を使います。また構造物を造る地盤によって、構造物が沈む、沈まない、浮かび上がってくる、横からどのような力がかかるかなどを知った上で、製品を設計します。ちなみに地盤調査そのものは、専門の会社が行います。水理学は、水路の設計をする際、流速、勾配、摩擦をもとに流量を計算するために、ある程度知っておく必要があります。

 

ほかに、材料化学の知識も必要です。新素材の開発はセメントや鉄鋼・鋳鉄のメーカーが行うので高度な専門性はいりませんが、コンクリートは分子結合によって固まるため、新材料を導入したとき、メーカーが示した化学反応式を見て、どのように固まっていくかを理解できる知識が必要です。継手やスチールの材料も、鉄や炭素がどう固まってどんな硬さになるかや、電子顕微鏡写真の粒子の大きさや揃い方の状態から、どんな性能が実現されたかなどがわかる必要があります。

 

計算の意味を理解して、実際の場面で使えるように

 

しかし大学で学んできただけでは、知識はあっても本当の意味を理解するのは難しいため、入社して2〜3年かけて、仕事をしながら当社の戦力となっていきます。

 

本当の意味とは、例えば計算するときには、なぜその計算をするのかを理解し、実際の条件に応じてどのように考えて計算し設計すればよいかがわかるということです。例えば直径10メートルの丸い部材を設計する場合、図面とは大きさが異なるため、計算式に当てはめて計算するだけではだめで、スケールによる違いを考えて設計します。入社当初はそれがわからないのですが、実物を見ながら、どこに配慮して設計しなければならないかを学んでいきます。

 

図面を手で描けることが大事

 

若い人に身につけて欲しいこととしては、手で図面を描く力、“絵心”があります。手で図面を描いていた時代には、失敗すると全て描き直しになることから、全体のレイアウトをデザインして、形をイメージしたあとで、図面に起こしていたため、自然とこの訓練ができました。しかし現在は、実際にはCADという、コンピュータによる設計支援システムで、パーツごとに設計します。このとき、図面を手で描ける人と描けない人では、全体像を捉える力量に差が出ます。形のあるものを設計するために、手作業ができるからこそ身につく力もあることを知っておいてください。

 

また、当社の技術職は、デスクワークで製品を設計するほか、製品開発にあたって工場や現場に出向くこともあります。私は、設計から施工まで、全工程に一通り携わることができるところが魅力だと思って仕事をしています。

 

おわり

 

高松さんミニインタビュー

高校生が、貴社の技術や業務に関連する知識やスキルに関する課題研究や学習をするならどんなテーマが想定できますか。

 

1)コンクリートとは、どんなものだろう。砂、砂利、水をセメントで混合・結合して固まるメカニズムを調べてみましょう。

2)セメントにはいろいろな種類があります。それぞれどのような特徴があるのか調べてみましょう。

3)コンクリートの歴史は9000年。古代ローマ時代から、建造物からインフラに至るまで使われてきました。今後どのように進化発展するのか調べたり考えたりしてみましょう。

◆高校時代や大学時代の学びは現在の業務にどのように関係していますか。

 

物理・化学・数学という理系の学問が好きでした。また、図画工作や絵を描くことも好きで、物を作ったり描いたりに興味がありました。そのようなことから、コンクリート製品で構造物を造る会社に就職して、構造計算を行い、設計図面を描き、新製品を研究開発するという業務に繋がったのではと思います。

 

また、コンクリートとの関わりは、大学の教授の影響でコンクリートの研究室でこの材料を学んだことがきっかけです。

 

興味がわいたら

『おもしろサイエンス コンクリートの科学』

明石雄一:監修、コンクリートの劣化と補修研究会:編著(日刊工業新聞社)

コンクリートとは、砂や砂利、水などをセメントで混合・結合させてもので、現在、建築資材として最もポピュラーなものです。また、コンクリートは自由な形状のものを造ることができ、材料も比較的安価であり、水密性や耐火性に優れています。そのために、ビルや橋、トンネル、高速道路やダムなど、現代生活に欠かせない構造物を造り上げている材料です。また、高度経済成長期に建設されたコンクリート構造物の老朽化が社会問題になっています。今後は、コンクリート構造物の点検・維持補修技術が重要な課題になります。このように、現代生活に不可欠なコンクリートのメカニズムとその働き、コンクリートの再利用、未来のコンクリートなどについてわかりやすく解説した本です。

[出版社のサイトへ]

『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』

中島聡(文響社)

米マイクロソフト本社でWindows95の開発に携わり「ドラック&ドロップ」を世界に普及させ「右クリック」の概念を築いた人の本です。仕事というよりは時間の有効活用の仕方のノウハウ本です。この中で「ロケットスタート時間術」の内容では、ビル・ゲイツの仕事の仕方など実践紹介やたくさんの比喩でわかりやすく解説しています。受験勉強の効率化に参考になると思います。

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