高校時代にしておきたいこと、読んでおきたい本

~大学生が大学の授業と本を紹介

新造真人さん(慶応義塾大学環境情報学部・1年生)

新造さんが薦める「高校時代に読んでおきたい本」

『ブッタとシッタカブッタ』

小泉吉宏(KADOKAWA メディアファクトリー)

この本には、ゆるーい豚みたいなのがでてきます。四コマ漫画や絵本に見えるかもしれないけど、これは立派な「哲学者」です。つい考えてしまう、幸せや愛や人間関係などについて、考えるヒントみたいなものも散らばっています。でも、全然押し付けがましくありません。堅苦しくもありません。ゆったりのとき、つらいとき、なんだかなーというとき、ちょっと手にとって読んでみると、「いろいろあるけど今日もいい日だなぁ」って思えます。心をラクにして、かろやかに生きていこう。そんなふうに思えたりします。

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大学の授業を紹介! 面白いと思った授業はこれだ

<慶應義塾大学環境情報学部編>

◇デザイン言語総合講座 [春学期前半]

 

ほぼあらゆるものが様々な形でデザインされているということを、毎回ゲストや教授の話を聴いて学びます。ポスターなどのグラフィカルデザインや、日常や非日常(例えば南極といった極限環境など)における人間のふるまいのデザイン、ファッションやその歴史のデザイン、未来を考え、問いをたてるスペキュラティブデザインなど。デザインの多義とその実際について学び、世界への洞察とを深めていく授業です。

 

場合によって意味が変化していく、「デザイン」の扱う世界の広さを知ることができました。デザインとは非常に多岐にわたる概念であり、授業で様々なデザイン領域に触れたことで、日常生活における洞察力が以前より敏感になったような気がします。ものを以前よりしっかり見るようになる、前とは違った見え方がしてくると、楽しいです。


◇コンピュータミュージック1

コンピューターを用いて(Ableton LiveやMAXを使用)、広義の意味での音楽を制作します。例えば、打ち込みによってクラシックをベースにダンスミュージックを制作したり、既存の楽曲や声をバラバラにして再度組み立てることによって作るカットアップミュージックや、日常の生活音、環境音を用いて音楽体験を作ってみたりします。「音楽」という言葉の意味を拡げ、また、制作に対しての姿勢を学ぶことができた授業でした。

 

既存の音楽や楽器だけでなく、日常のほんの些細なものを「音楽」として変換できることへの驚きを知ることができました。この授業については、学校の先輩に「とても労力がいるが、ためになる」と言われましたが、本当にその通りでした。毎回課題が出されて、試行錯誤のために夜の校内で作業することは当たり前で、相当な時間をかけました。その分、授業が終わった後の達成感や自身のスキルアップは相当のものだったと記憶しています。もの作りに興味がある人は、音楽への興味の有無や技術の有無に関係なく受講してほしいです。制作への哲学や姿勢が、一気に向上します。


◇SBC(Self build campus)プログラム

 

ここでは、学生、教員、卒業生、教員が主体となって、キャンパス内にできる新しい建物の建築から利用方法までディスカッションし、実際に手を動かし、建物を作り、主体的に関わっています。

大学生になって<高校との違い>

現在制作中の、プログラミングと映像と水と人体情報を合わせたアート作品
現在制作中の、プログラミングと映像と水と人体情報を合わせたアート作品

私が受講しているのはほとんどが実習型の授業なので、勉強しているという感覚はありません。ただ、実習型の授業で何かを作るとなると、それに関する参考文献や記事、論文を読むので、自主的な勉強姿勢が身についたように思います。

 

勉強以外では、音楽制作、映像制作、写真制作、そして3つの中間領域での制作に力を入れています。高校時代から、絵を描くなど制作活動をしており、扱う媒体は変わりましたが、絵筆をパソコンやカメラに置き換えたような感覚で制作をしています。数年前と変わったところは、コンセプトを持って制作をするようになったことだと思います。自分は何のために制作をするのか、何を表現したくて制作をするのか、といったことを考え、思想や方法の似た、尊敬するアーティストについてリサーチしたり、他分野の技術や知識を応用したりして制作するようになりました。また、クオリティーの追求にも以前より貪欲になり、制作に研究色がつき始めたように思います。


 

進路について話そう

■進路を決めるにあたって、とった行動

 

平日に大学に行き、身体感覚などを含めてその大学が自分に合っているかどうかを考えました。また、募集要項を読んでどんな生徒を求めているかリサーチし、その人物像と自分とがマッチするかを検討しました。


そして、その大学に通う友人や先輩に学校の雰囲気を尋ねたり自分がやりたいことを話したりし、それが実現可能かどうかを測りました。また、在学生と食事や散歩をするなどして可能な限り共に時間を過ごし、その大学の人と感覚が合うのかどうかを感じることも重要だと思いました。

 

■進路や大学を決める際に、大事だと思うこと

 

長い間、その大学、キャンパスに通うことになるのですから、その大学に心から惚れることが大事だと思います。入ってみていろいろと感じることはあると思いますが、惚れてしまわないと、受験するという行動が起こせなかったと私は思います。

 

■高校時代にやっておくとよいと思うこと

大学に入る前に、というより、入った後も、様々なことにチャレンジした方がよいです。これは、いろいろなことに手を出した方がよいというよりは、自分自身が、日常の中での試行回数が少なすぎると、現在感じているからです。やりたいと思ったことを、少しでもよいから忘れぬうちに手をつけること。これは、手を動かしながら考える、理解が深まる、といったことがあるからです。また、昨日までは嫌いだったけれど今日は好きになるものもあれば、昨日までは好きだったのに一気に興味が薄れるものもあります。このように、日々更新される自分の好き嫌いを知り、もっと言えば、その好き嫌いセンサーの軸を知ることが重要だと思います。その軸がわかれば、ものを単体としてではなく、要素としてみることができるようになり、自分の好き嫌いとその波との特徴が分かるようになると思います。たくさん試せば、たくさん楽しいし、楽しいと思えることも増えます。

 

それから、最後に一つ付け足すならば、大学に入ることは手段であって目的ではないと思います。勉強、サークル、友人関係等々、それらはすべて他の環境でも代替可能だと感じています。自分が求めるよりよい環境をめざして、時には作り手の一人となり、主体的に考え、行動することが、何より大事だと思います。私自身は、「素直に、丁寧に、生きたい」と思っています。

 

■進路に影響を与えた本

『私の個人主義』

夏目漱石(講談社学術文庫)
この本や、『ブッタとシッタカブッタ』(小泉吉宏)などを読むことを通して、主体的に考えることを身につけました。

 

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■進路を決めたら、高校時代に読んでおくとよい本

『旅する力 ―深夜特急ノート』

沢木耕太郎(新潮文庫刊)

『深夜特急』を書いた沢木耕太郎の、その番外編、あるいは集大成と呼べばいいのか、彼がいかに旅をして、感じ、考え、それを言葉にしたかを知ることができる本です。彼が、自分の中にある言葉を社会に発信していく中で、自身の半生を納得する過程で生まれた、彼なりの「文体」は、まさに、「いかに生ききるのか」を問うているように感じました。彼の思考や文体に触れ、私もいつのまにか、自分だけの文体(生き方)を、探し始めていた…そんな本です。
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『もし僕がいま25歳なら、こんな50のやりたいことがある。』松浦弥太郎(講談社)

「いま、本当にやりたいことはなんなのか。」これは青年期にいる私が抱える大きな悩みであり、時に、答えなんてない、と投げ出したり、そもそも問いの立て方がちがうのではないかと思ってしまったりします。この本は、そんな私のような人たちに手を差し伸べてくれる、人生や仕事について考えるヒントが隠されているかと思います。
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