情報検索<情報学>

人間観察からも情報検索の新しい研究は始まる

加藤誠先生インタビュー

京都大学 情報学研究科 社会情報学専攻

◆先生の研究分野である、「情報検索」を簡単にご説明いただけますか。

 

「情報検索」は、人々が持っている情報要求(欲しいと思っている情報)を検索キーワードなどから推測して、その情報要求に適した情報を発見し、上手に人に伝える方法を研究する分野です。例えば、ヤフーやグーグルなどの検索エンジン(検索を行ってくれるプログラム)に「大学」と入力してみます。このときに、検索エンジンはあなたが検索を行っている場所、他の人が行った検索行動履歴(「大学」という検索キーワードを入力した人は一般的にどのようなページをクリックするかという情報)、あなたがこれまで行った検索行動など様々な情報を統合して、あなたの情報要求を予測し、それに適した情報を探してきます。

 

ちなみに、私が「大学」というキーワードで検索すると、「京都大学」のウェブページが最上位に出てきます。これは私が「京都大学」内で検索していること、私が良く「京都大学」のウェブページを見ていることなどから、検索エンジンが私にあった検索結果を探してくれたためです。おそらく、皆さんが検索してみると違う結果(例えば,日本の大学一覧のページなど)が出てくるのではないかと思います。

 

◆研究をどのような方向へ発展させようとしているのでしょうか。

 

現在の検索エンジンはユーザの欲しがっている情報の内容(京都の観光地、日本の大学、など)を推測するのは得意ですが、ユーザの欲しがっている情報の性質(わかりやすい情報、具体的な情報、驚くような情報、など)を推定し、それを満たすような情報を探すことは不得意です。この不得意な点を補って、各ユーザが本当に欲しい情報にたどり着けるようにしたいと思っています。適切な情報を得ることは、適切な判断を下すことにつながります。より多くの人々が適切な判断を下すことで、より良い集団的な意見を形成し、より良い社会が実現できればと思っています。

 

◆先生は研究テーマをどのように見つけたのでしょうか。

 

例えば「足して2で割る検索」の着想は「聞きたいと思うような音楽が見つけられない」という自身の問題から得ました。あまり多くの種類の音楽を聴かない質で、気に入った1曲があるとそれをずっと繰り返しで聞く、という音楽の聴き方をしていたため、思い通りの音楽を探したいという欲求が常にありました。そのような、言葉ではうまく表現できないが、イメージだけはあるようなものを人はどのように表現してきたのかと考えることで、最終的に「足して2で割る」という方法に思い至ったと記憶しています。要約すると、自身の問題を突き詰めて、過去に行われてきた方法が適用できないかと考えた、ということになりますが、研究テーマと同様に発想の方法自体も自由で良いと思います。

 

◆この分野に関心を持った高校生に、具体的なアドバイスをいただけますか。

 

情報検索の分野は人間観察的な側面を含んでおり、このあたりから始めると取っ掛かりやすいかもしれません。家で、学校で、通学途中で、勉強中に、食事中に、寝る前に、会話中に、皆はどんな検索をしているのでしょうか? また、どんな検索をしたいと思っているのでしょうか? 若年層とそうでない層の間に検索行動の差はあるのでしょうか? 勉強時の検索は学習に効果的なのでしょうか? それとも、学習を妨げるのでしょうか? このような観察から新しい研究が始まるかもしれません。

 

◆加藤先生のHP

http://www.mpkato.net/jp/

 

興味がわいたら

NHKスペシャル『“グーグル革命の衝撃”あなたの人生を検索が変える』

今となっては古い内容ですが、グーグルの検索が与えた影響が、負の側面も併せて、わかりやすく紹介されています。検索の結果が今どれほど重要視されているのかがわかると思います。(DVD化されています。)

 

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