ニューリーダーからの1冊

人類生態学専門の梅崎昌裕先生(東京大)がおススメ

『ニューギニア高地人』

本多勝一(朝日新聞出版

実際にニューギニアに赴き、現地でモニ族・ダニ族と生活を共にした記録。探検ルポとしておもしろい。

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「偏食」でも人類は生きられる? 人類生態学が人類を救う

梅崎昌裕先生 東京大学

<専門分野:人類生態学>

パプアニューギニアの人の主食はサツマイモで、肉や魚の摂取量は少ないという。しかし彼らの筋肉はすごく立派でたくましい。いったいどのような適応のメカニズムがあるのか? 人類生態学は、このようなナゾにこたえ、人類の直面する地域格差、環境問題、貧困問題に解決の糸口を与える。

 

 先生

梅崎昌裕(うめざきまさひろ) 

専門分野:人類生態学

東京大学 医学部 健康総合科学科

/医学系研究科 国際保健学専攻 准教授 

1968年長崎県生まれ 青雲高校出身

 


 研究

パプアニューギニア高地で人類学の調査をしたとき驚いたのは、彼らの筋肉がりっぱなことでした。ところが彼らの主食はサツマイモで、肉や魚はたまに食べるくらいです。パプアニューギニアの人々はなんらかの低タンパク食への適応メカニズムを備えているのではないかと考え、その解明を私の研究課題にしています。

 

このように世界には、私たちの想像もつかないような食生活をおくる人類が暮らしています。現代栄養学ではアンバランスにみえる食生活を送りながらも、人々はこれまで生きてきました。おそらく、人類には私たちがまだ知らない適応の仕組みがあるのだと考えています。現代科学で明らかになっていることは、人類が持つ生存のための能力の一部分ではないかと考えています。

 

人類生態学は、地球上の様々な環境に生きる人類が、お互いどこが同じでどこが違うのか、お互いの違いはどのようにして生まれてきたのかを研究する分野です。この研究は、人類が直面する地域格差、環境問題、貧困などの問題を解決するための基礎となると思っています。

 


この道に入ったきっかけ

自分とは異なる世界に生きる人々と暮らす体験にあこがれ、大学に入学後、パプアニューギニアの研究をしている先生の研究室に入りました。大学時代は運動部に所属していたこともあり、太陽の光を浴びながらできる仕事につきたいなとも思っていました。

 


趣味・休日は?

釣り 


おすすめの本

『自然とつきあう』

篠原徹(小峰書店)

田舎を歩くのが楽しくなります。

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『日本人の英語』

マーク・ピーターセン(岩波新書)

英語の成績が上がります。

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先生の専門分野に触れる本

『ニューギニア高地人』

本多 勝一(朝日新聞出版

読みやすく、おもしろい。

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『ニューギニア紀行―19世紀ロシア人類学者の記録』

N・ミクルホ=マクライ (中央公論社)

19世紀にニューギニアで調査したロシア人の記録。


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