この仕事をするならこんな学問が必要だ<IT業界/金融・決済サービス>

ネット上の膨大なデータを分析し新しい価値を創造 〜IT、数学、統計学を駆使するデータサイエンティストの活躍

株式会社メタップス

データインテリジェンス統括部 マネージャー データサイエンティスト

有井勝之さん

データインテリジェン統括部 データサイエンティスト

西口真央さん

 

第2回 インターネットの中のお金の流れを通じて世の中や人を理解

——御社の様々なビジネスに共通している理念のようなものはありますか。

有井さん:どの企業も、何か1つ軸を持って、ビジネスを展開しています。例えばFacebookは、人のつながりを軸にしていますし、Googleは、検索やリンク、すなわち人の興味を軸にしていると思います。これに対しメタップスは、インターネットの中のお金の流れを軸に世の中や人を理解して、ビジネスを展開しています。

 

お金の流れにはいくつかの段階があります。まず、マーケティング事業は、お金を使う前に商品やサービスに興味を持ってもらう段階です。コンシューマー事業は、実際に商品やサービスを買う段階です。eコマースのサイトを運営するだけでなく、Webサイトやアプリケーションのシステムや画面をどうデザインすれば、ユーザが使いやすく購入しやすいか、楽しいとか満足したと感じてもらうことができるかなどを、データをもとに分析し、売上げアップにつなげています。

 

ファイナンス事業は、お金を支払う段階の事業です。どういう決済手段が便利であるか、手数料をもらうならどんな手法が有効かといったことを、分析して提案します。

 

データを見ると、人がものを選ぶ基準や、どういうタイプの人が何パーセントくらいいるかなど、人がお金を使う理由がよくわかるんですね。その行動パターンは、お金を使う対象が変わってもあまり変わりません。ですから人間の本質的なお金の使い方をきちんと理解して、マーケティング戦略に応用していきます。

 

そして将来は、これらの事業を通して得られる様々なデータを解析して、新しい経済の流れや新しいビジネスを創りたいと考えています。

 

——新しい経済の流れやビジネスとはどういうことですか。

西口さん:メタップスでは、「ラプラス」と名づけた研究プロジェクトを立ち上げています。私たちもそのメンバーで、データサイエンティストとしてプロジェクトに携わっています。

 

データサイエンティストは他の部署にもいて、お取引先の事業改善をサポートしているのですが、「ラプラス」プロジェクトは既存の事業をより良くするためではなく、お金の流れにかかわる様々なデータから何らかの規則性を見つけ出して、何かを創造するのが目的です。

 

新しいビジネスは、銀行や証券に関する事業に限らず、他分野や、全く新しい分野も含めて検討します。例えば、ITという分野も昔はなかったですよね。同様に、今はまだない、何か新しいビジネスが創れればいいと考えています。新しい挑戦なので、それが何か自体まだ模索中です。

 

有井さん:私は、分野を決めること自体、もうやめたほうがいいと思っています。Amazonだってもはやeコマースだけの企業ではなく、物流企業でもあり、Amazonに出店している企業に対する融資事業も手がけています。自分たちは何の会社だからと決めてしまわず、できることがあれば全てに対応したほうがいいし、少なくとも常に他の分野に興味を持っているべきだと思います。

 

インタビュー

データサイエンティスト 有井勝之さん インタビュー

(データインテリジェンス統括部 マネージャー )

データサイエンティスト 西口真央さん インタビュー

(データインテリジェンス統括部) 

興味がわいたら

『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』

森岡毅、今西聖貴(KADOKAWA)

人間の日々の意思決定行動を数式で表現し、説明しているだけでなく、ビジネスにおける意思決定でどのように活用されているのかを具体例をもとに紹介しています。また、物事を確率的に捉えているあたりが本質的でもあり、うまく整理されています。数式もいくつか出てきますが、ビジネス的な意味合いをつけて説明しているのでとてもわかりやすくなっています。数学が実社会にどのように役立っているのかをイメージできる点がとてもよいです。

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『王様達のヴァイキング』

さだやす、深見真(小学館ビッグコミックス)

40代のエンジェル投資家と18歳の天才ハッカーが、サイバーセキュリティを舞台に活躍する物語。現在、あらゆるものが当たり前のようにネットに繋がり、とても便利な世の中になりました。その一方で、サイバー攻撃の脅威もすごい勢いで増大しています。この漫画を通して、テクノロジーの可能性と脅威の両面を考えるきっかけになればと思います。また、弊社と近い業界、いわゆるITベンチャーで働く人たちもよく登場してきます。新卒で大手企業の内定を蹴って起業し、数年後に20億円で売却したエピソードや、数人で起業してSNSを作りどんどん会社が大きくなっていく話は高校生にとっても刺激的だと思います。

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『疲れない脳をつくる生活習慣』

石川善樹(プレジデント社)

毎日、全力かつ絶好調で過ごすためのマインドフルネス入門書。パフォーマンス良く受験勉強をするための心得的な本。

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『インベスターZ』

三田紀房(講談社モーニングKC)

中高一貫校の各学年の成績トップ6人のみが参加する投資部が舞台の漫画。学校の資産である3000億円を運用し、様々な投資に挑戦します。お金とはなにか、投資とはなにかを楽しく学ぶことができます。

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『「大発見」の思考法』

山中伸弥、益川敏英(文春新書)

考え続けることの重要性を教えてくれる本。真似できるところ(すべきところ)がたくさんあります。

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『未来に先回りする思考法』

佐藤航陽(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

弊社CEOの著書。イノベーションはどのようにして起こるのか、テクノロジーは何を解決するものかなど、未来を予想するためのヒントが書かれています。これからの未来を共に作っていく高校生たちにもぜひ読んでほしい本です。

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『あさきゆめみし』

大和和紀(講談社KCデラックス)

源氏物語の勉強になることはもちろん、1000年たっても基本的に人間の本質は変わっていないんだなぁと考えさせられます。人をより科学的に理解したいと思ったきっかけの本です。(有井さん)

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『「フカシギの数え方」おねえさんといっしょ!みんなで数えてみよう!』

https://www.youtube.com/watch?v=Q4gTV4r0zRs (MiraikanChannel)

10分くらいの動画です。スーパーコンピュータで25万年もかかる数え上げの問題も、最先端のアルゴリズムを使えばたった数秒で数え上げることができることを伝えています。アルゴリズムに興味を持つきっかけになればと思い推薦します。

 

『TED』

https://www.ted.com/

様々な分野の人の英語によるプレゼンテーションは、英語の勉強に最適。教養としても幅広く学べるのでテーマは絞らず、幅広く。基本的に話が上手なので、何を聞いても面白いです。 

『まおゆう魔王勇者』

燈野ままれ(KADOKAWA)

魔王と勇者が手を組み、より豊かな社会の創造を目指すファンタジー小説。社会や経済の仕組みや歴史を学ぶことができます。そして魔王がかわいい。

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